「Happiness!」
一発逆転?!

一発逆転?! 11

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カオルをロウが送ってくって、二人とも帰っていった。

コウセイがスタジオ使いだしたから、俺の部屋で話し合う。




「お前、当分の間、ラブソング作んの禁止な」

「うん、しばらくは作るより、人の曲聴いて分析するね」


カンが、ガシガシと頭を掻いた。
親父と同じ、伝えたいことが上手く伝わらない時の、癖。


「いや、こんなこと言うと、お前が傷つくかなって悩んだんだけどよ。
 俺たち、ゲイじゃん?ノーマルのヤツらとは、感覚が違うのかもなって」

「............」




そんなこと、考えたこともなかった。
好きな気持ちに、ノーマルでもゲイでも違いがあるとは、俺は思えない。

俺は、カンが好きで、愛してる。
一番大事で、守ってあげたいし、傷ついたり、悲しんだりするのは、見たくない。

それに、ゲイだって噂されてるミュージャンも、ちゃんとヒット飛ばしてるじゃん!!



「ああ、もう。んなに、怒るなよ。
 もしかしたら、と思っただけだってば。
 しばらくは、日本のヒットしてる曲聴いてみて、分析するのを優先しようぜ」


俺がむっとしたのに気づいて、慌てて宥めてくる。
以前なら、自分の意見を言いっ放しで、フォローすることもなかった。

そう考えたら、一方的に怒るのも、悪いような気がしてくる。
カンはカンなりに、いろいろ考えたんだろうしさ。

確かに、普通の日本人の感覚も、まだよくわかってないんだから、二重にハンデってことなのかなぁ。



あ、でもさ。


「エイチはゲイなのに、しっかり売れる曲作ってるじゃん。
 だから、ゲイかどうかは関係なくない?」

「は?マジで?」


え、気づかなかったの?
カン、鈍いもいいところじゃない??


「シュンがパートナーだろ?一緒に住んでるんだし。
 この前来てくれた時も、ただのマネージャーって感じじゃなかったじゃん」

「うっわ、俺、全然、わかんなかった!
 ...でも、言われてみれば、すげぇピッタシだな。
 肩抱いてたのも、不自然じゃなかったっけか。
 ああ、馴染みすぎてて、逆にわかんなかったのかも」



俺はね、最初は噂だと思ってたんだ。
だけど、ライブDVDの特典映像見てて、気づいたんだよね。

楽屋とかで、端っこに写ってた二人の雰囲気とかさ。
シュンがエイチを見る目が、他のメンバーとは違うとことかさ。

二人とも、気を抜いてる時に出ちゃったって感じ。


SMSは、全員、一切プライベートを公開してない。
エイチが、レンの息子だってことだけ。
だけど、ファンの間では、エイチ以外の三人は結婚してることや、ゴイチとシンジには子どもがいるって、SNSで出回ってる。


その中には、エイチはゲイなんじゃないかって噂もある。


イクヤが提案してくれたんだ。
日本語の勉強や普通の日本の感覚を知るには、SNSで興味のあるものを検索するのもいいんじゃないかって。

それで、SMSを検索したら、出て来る出て来る。メンバーのプライベート情報。
まぁ、子どもや奥さんの画像なんかは、事務所が削除させてるのか、あまり見ない。

だけど、アンチが少ないのか、エイチがゲイなのも、別にスキャンダルにもなってないみたい。

SMSのファンって、親父たちのファンと違って、おとなしくてマジメなイメージあるよな。
イベントで見た時、「ずっと応援してる」感じで、親子で来てる人も多かった。

おとなしいって言っても、ノリがいい曲では、手拍子も掛け声もするし。
お約束っていうのかな、同じタイミングでジャンプしたりしてて。
でも、しっとりした曲では、しっかり聴き込んでて、静かだったよな。

親父たちのファンは、男も女も過激な感じが多い。
うおーって叫んでる男が、結構いた。

それ見てるから、SMSの時に、対照的な感じがしたんだった。




「おい、まだ怒ってんのかよ?」


つい、考え込んじゃって、カンが心配そうに覗き込んできた。
恐る恐るって感じなのが、すごく可愛く見える。


「ううん、怒ってるんじゃなくて、ちょっと思い出してた」

「何をだよ?」

「SMSのファンと親父たちのファンって、全然、タイプが違うなって」


カンも思い出してみてるんだろう。
視線を外して、首を傾げてる。



「ああ、体温高いかもな、親父たちの客って」


カンの表現は的確だと思う。
演ってる曲自体、親父たちのがハードでスピードがある。
そこに熱狂するんだから、温度が高くなるのは当然だ。


「どんな人たちに聴いてもらいたいのか、考えるのってさ。
 どんな曲を作るかに通じるかもね。
 普通は、逆なんだろうけどさ」

「んー、俺たちは、手探り状態だから、何でも考えてみるのはありだろ。
 木曜のライブも、しっかり聴いて見てこようぜ」



ニヤっと笑った顔は、前向きなカンらしくて、頼もしくなる。
ギュッとハグして、パワーをもらって、今日は残念だけど、ここで終了。


腕を外すと、カンが、不満そうに唇を尖らせた。



「明日は朝イチから授業なんだよ。もう、かなり遅いから寝なきゃ」

「......そっか。俺はもうインター卒業しちまったからなぁ。
 また、バイトして、金貯めとくか」

「何か欲しいもの、あるの?」


ベースは、卒業祝いに、新しいの買ってもらってたよね。


「いや、スーたちと約束してっからさ。
 もう学生じゃないから、少しは家に金入れなきゃな。
 いつかは出てかなきゃなんねぇから、そん時に金いるだろ」




エイチの言葉を思い出した。


『どーせ、優児さんが甘やかしてんだろうから、ハングリー精神も少ねぇだろ。
 そこら辺が、甘さに通じてんだと思うよ』



大当たりじゃん......。

親父が甘えさせてくれるからって、俺、金の心配なんかしたことなかった。


プロになるっていうことは、生計を立てるってことだ。

ああ、ゴイチも言ってたな。


『聴いてくれる客がいてこその、音楽なんだよ。お金もらうんだからね』


施設で育ったって言ってたよな。
働きながら練習して、プロになったんだ。
どれだけの努力をしたんだろう。



「俺って、ほんとに甘いんだなぁ」


情けなくなって、ポソッと零したら、カンが頭を撫でてきた。


「そこが、お前のいいとこでもあんだよ。
 エイチたちに言われたことでも、思い出してんだろうけどよ。
 俺たちは、金のこと考えなくてもいい環境なんだから、お前は素直に甘えるのもありだろ。
 俺は、大学行かねぇから、バイトで普通の感覚をもっと覚えてくっからよ。
 お前は、その分、大学で一生懸命勉強しろっての」



あーあ、守りたいなんて言えないよ。

カンのが大人で、俺のが守られてんじゃん!

いつの間に、そんなに大人になっちゃったのさ?


カンが、いたずらっ子みたいに笑って、キスしてくる。


「お前のがデカいからって、いっつも守ろうとしなくていいんだよ。
 俺だって男だっつーの。たまには、甘えてこい」











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