「Happiness!」
一発逆転?!

一発逆転?! 5

 ←一発逆転?! 4 →bonus track 4

カオルって、しっかりしてるとは思ってたけど、怒らすと怖いって、親父がキレた時思った。
親父が帰った後、カンが大爆笑しながらも感心してたんだ。


「ロウが、他人、それも、女にケツ叩かれてんの、初めて見たぜ。
 ユージも最後は笑ってたくらいだから、ほんとのリーダーはカオルだな」


からかってる感じじゃなくて、マジで感心してるから、ロウも苦笑い。
当のカオルは、少し考えこんでる。

そして、俺たちを見て、マジメな顔で話しだした。



「三人とはつきあいの長さも違うし、女だから、やりにくい面も出てくると思う。
 でもね、メンバーとして対等ではありたいから、いくつか提案があるんだけど」


優しくて穏やかなだけじゃない。
しっかりした性格で、はっきり自分の意見を言う人なんだってのは、俺もカンも、かなりわかってきた。
その意見も、ほとんどが理に適ってる。
だから、カンも素直に話を聞く気になってるんじゃないかな。


「まず、ライブやオーディションについては、事前に話し合って参加を決める。
 そして、それぞれのパートについては、担当の意見が優先。
 ただし、曲作りは、カイがメインなんだから、もっと主張していいと思うんだ」

「おお、それそれ。いいこと言うじゃん!
 俺も、もっとカイは主張しろって、思ってたんだよな」



ああ、カンがカオルに同調してるなんて。
ほんとに頑なさが取れてきたんだって、俺、感動。

俺が、ジーンと噛み締めてたら、ロウはクスクス笑ってて、カンとカオルはポカンとしてる。
話の流れを止めちゃマズいか。


二人の言いたいことはわかる。
でもね、俺にも一応考えはあるんだ。


「んー、俺の意見って言っても、譲れないとこは、ちゃんと言ってるよ?
 曲作る時って、それぞれのスキルや適性は大前提だからさ」


笑ってたロウが、補足をしてくれた。


「カイは、ギターが一番好きだけど、それ以外のパートも二番手くらいのスキルはあるんだ。
 だから、ベースヴォーカルなのも考慮に入れて、俺とカオルの特性も活かしてる。
 黙ってるってことは、カイのイメージ通りに演れてるってことだよ」

「ほんっと、似てねぇようで、ユージと似てるよな」


カンが呆れたように言ってる。

親父って、そうなの?
キャシーに対しては、きちんと言葉にしてるよ?


「コウセイが言ってたぜ。口を開いた時は、クレームしかないって。
 音についても、ステージについても、OKなら黙ってんだってよ。
 メンバーは慣れてっからいいけど、スタッフさんなんか、よく困らせてるんだと」

「それ、マジ?」


俺、恥ずかしくなっちゃって、固まった。
顔が熱いから、赤くなってると思う。

まさか、親父と同じようなことしてるなんて、思ってもみなかった。


気をつけなきゃいけないよね。
クレームだけじゃない、どう思ってるかを、周りにきちんと伝えなきゃ。

親父は親父、俺は俺。

親父みたいな、周りを圧倒するオーラはない。
周りが気を遣うのが自然だってタイプでもない。



「ゴメン。これから、きちんと言うようにする。
 無意識だったけど、黙っててもわかってもらおうなんて、ワガママだよね」

「お前、二人の時は、イヤってほど口に出すのにな」


カンがポロッと言った後、真っ赤になった。
つい、言っちゃったんだろうけど、ここはツッコむと後が怖い。

ロウとカオルが、微笑ましいって感じでニコニコしてるから、余計に恥ずかしそうだし。


「ああっ、もう。練習再開!さっきの続きからやろうぜ」


顔をブンブン振って、カンが叫んでる。

可愛くてしかたないけど、ハグは夜までガマンガマン。





カオルは、順応性が高いんだろうな。
俺たちの音に馴染むのも、俺とカンの性格を掴むのも早かった。

夏休みの間、対バンやイベントにガンガン参加して、終わる頃には、すっかり違和感がなくなってた。

そんな話を晩御飯の時にしてたら、親父が気軽に聞いてくる。


「んじゃ、そろそろ、知り合いに聴いてもらうか?」


ああ、キレた後に、そんなこと言ってたよね。
でも、知り合いって誰なんだろ。


「あ、うん。みんなに相談してみるね。
 で、知り合いって、誰なの?」

「あ?エイチに頼むつもりだ。あいつなら、プロデューサーとしても信用できるしな」


え......今、エイチって言った?

エイチって、あのエイチ?


「親父、今、エイチって言った?SMSのエイチ?」

「他にいるか?プロデュース頼むかは別にして、あいつなら耳は確かだろ」




うっわー、うわー!!

マジで、俺たちの音、エイチに聴いてもらえるの?!


ああ、ダメダメ。ひとりで決めちゃダメだ。
先に、みんなに連絡しなきゃ。

ロウに先走るなって言っといて、俺が先走っちゃダメじゃん!!


あれ、でも、プロデュースって、SMS以外もやってるの?


俺が疑問に思ってたら、親父が表情読んで笑ってる。


「お前、ファンじゃなかったのかよ?
 ほら、ちょっと前、バカ売れしてたI.W.は、途中からエイチがプロデュースだ。
 アイドルやよそのミュージシャンに、楽曲提供もやってるぞ」

「全然、知らなかったよ。俺、日本の芸能界とか詳しくないし」

「ま、業界に疎いのは、俺も同じだけどな。
 とりあえず、エイチに話してみっから、あいつらに言っとけよ」


ボソッと言ってるとこが、やっぱり、似てるのかもって、この前の練習思い出しちゃった。 



御飯を食べ終わって、さっそくグループメッセに、親父の話を送信した。


『え、マジ?知り合いなのは知ってたけど、エイチってトーイとも仲良いよな?』


カンが即、返信してきて、俺、慌てた。

親父は、それ知ってるんだよね。
じゃないと、頼もうとはしないだろうし......。


不安になって、リビングにいる親父に質問してみた。


「あのさ、親父...」

「あ?」

「エイチって、トーイと仲良いらしいけど、知ってる?」

「ああ、ほぼ同期だしな。馴染みのバーが同じだってのも知ってるぞ。
 別に、トーイは関係ねぇだろが。エイチはエイチ、トーイはトーイだ」


おー、丸くなってるなぁ、ほんとに。

いや、エイチともつきあいが続いてるんだったら、丸くなったわけじゃないのか。
確か、独立する時も世話になったって話だよな。

本人が言うとおり、エイチはエイチで、トーイとは別枠なわけか。


「つーか、トーイよりは、俺のがエイチとはつながりは強いんだって。
 あいつらの二十周年記念アルバムもライブも、参加が決定してんだぜ?」


.........マジ?


俺が、驚いて固まってるの見て、親父、大笑い。
声上げて笑ってるもんだから、キャシーがびっくりして、キッチンから走ってきた。


親父は説明なんかしないから、俺がかいつまんで話すと、キャシーまで笑いだした。


「カイ、覚えてないの?独立した頃、エイチとシュンは、時々、家に来てたわよ。
 エイチがユージとスタジオに篭ってる間、シュンに肩車してもらって、大喜びしてたじゃない」


えー、えー、えー?!
シュンって、確か、SMSのマネージャーだったっけ?

全く記憶がないんだけど......。



まさか、自分の好きなミュージシャンが家まで来てたなんて。
キンダー生の頃だから、覚えてなくても不思議じゃないけどさ。



部屋に戻ってスマホを見ると、ロウとカオルからも返信があった。


『エイチに聴いてもらえるなんて、光栄じゃないか。
 ちっちゃい頃、エイチとシュンに遊んでもらったことあるよね』


ロウは二歳上だから、ちゃんと覚えてたわけね。


『SMSのエイチ?!私、すっごいファンなの!
 ちゃんと指動くかな...緊張しそう』


あは、しっかりもののカオルでも、そんなこと考えるんだ。



とりあえず、カンを安心させるために、親父の話を入力して、みんなと作戦会議。

文字だけなのに、みんながワクワクしてるのがわかる。


楽しみだね、みんな。











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ 3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ 3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ 3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ 3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ 3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【一発逆転?! 4】へ
  • 【bonus track 4】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【一発逆転?! 4】へ
  • 【bonus track 4】へ