「Happiness!」
一発逆転?!

一発逆転?! 2

 ←一発逆転?! 1 →一発逆転?! 3

「その新しいメンバーってね。カオルなんだけど」


カンが顔を顰めた。
やっぱり、イヤなんだろうなぁ。


「でも、ロウは、カンがイヤなら別の人探すって言ってる。
 カンがいい感情持てないなら、一緒には演れないだろうって」


先走っちゃったかなぁ。
ロウから話す方がよかったかも。

どうしようか考えてたら、カンが頭を掻いた後、真っ赤な顔になった。


「どうしたの?大丈夫?」

「いや、思い出したら、恥ずかしくてよ。
 あの女には、俺がガキくさいのバレてんじゃん?
 顔合わせる時、どーしよーかと思ってさ」


あれ?思ってたのと反応違う?
カオルのこと、嫌いってわけじゃないのかな?


「カオルでも、カンはガマンできる?」

「ガマンつーか、初対面で失礼なことしてっしさ。
 単に、こっ恥ずかしいだけだから、心配すんな。
 ロウが入れるっつーんなら、テクは問題ないってことだろ?
 最近のお前の曲は、スリーピースよりは、サイドやキーボが入った方がいいのもわかるし」




ああ、あんなに他人を寄せつけなかったカンが、こんな反応するなんて。
失礼なことをしたって、自覚はあるんだよね。

その上、思い出して恥ずかしがってる!

嬉しくなって、ギューっとハグしたら、苦しいって怒られた。
少し力を抜くと、腕が背中に回ってくる。



「カオルは四歳からピアノ演ってるし、ギターもロウより巧いんだって。
 対バンやってた時は、ヴォーカルばっかだったけど、ほんとは楽器演りたいらしい」

「ああ、さっきも言ったけど、ロウが言うくらいだから心配してねーよ。ただなぁ...」


ん、どうしたんだろ?
俺たちについてこれるか以外に、何か心配することあるのかな?


「ロウとカオルが、ケンカしたり、別れたりしたら、やりにくくねぇか?
 インディーズの時のバンド、リーダーがメンバーと女取り合っててさ。
 それがめんどくさくて、俺、キレちまったんだよな」



あああっ、カンの方が大人かも!

俺、そんな可能性まで考えてなかった!!




「ま、もう二年以上も続いてんだし、俺が何か言うことでもねぇか。
 俺とカイだってつきあってんだから、バンド内恋愛禁止ってわけにもいかねーしな」


抱きついたまま、カンが耳元で照れくさそうに、そう言った。
俺が戸惑って固まってるから、カンが背中をトントンと叩いて宥めてくれた。


カンはカンなりに、外の世界で俺とは違う経験をしてきた。
そのことが、すっぽり抜け落ちてたな。




「加入するんなら早く決めねぇとな。
 あの女も就活とか他のバンド探すとか、やんなきゃいけねぇと思ってるだろうし」

「カン、そこまで考えたんだ...。俺、ロウに言われても、思いつきもしなかった」


カンが体を離して、俺の顔をじっと見つめてる。
また叱られると思って、ちょっとびびってたら、くしゃくしゃな顔で笑った。


「バーカ、俺だって、少しは考えるようになってんだよ。
 プロデビューすんのに、充分な力をつけた方がいいってくらいはわかってっし。
 バンドやるなら、やっぱコウセイたちみてぇに、お互いの信頼関係ができてねぇとな。
 テクやソングライティングだけじゃ、長続きはしねぇって」

「............」





そっか、そうだよね。


俺たちには、一番身近なお手本がいる。


親父たちが、どうして一度解散しなきゃならなかったのか。

再結成してから、ずっと売れ続けてる理由は何なのか。


カンなりに、ずっと考えてきたんだろう。




「それに、手のことがあってから、お前の作る曲って変わってきたじゃん?
 ビートのノリやテク重視じゃなくなった分、メロディが繊細になってきた。
 スリーピースでも演れねぇわけじゃねぇけど、もうひとりいると、もっと良くなる。
 それくらいは、俺でも感じてたよ」

「それは、俺も思ってたんだ。以前は、結構、思いつきだけで作ってたんだけど。
 カンのヴォーカルをもっと活かそうと思うと、今の感じになるんだよね」


俺としては、素直に意見を言ったつもりだった。
だけど、カンが顔を真っ赤にして、俯いちゃって。


俺、何か地雷踏んだ?!



...ほんと、情けないけど、俺、カンに対しては、オタオタしっぱなしなんだよね。
つきあいだすまでは、振り回されても、どこか冷静だったんだけどさ。

カンが、つらそうだったり、哀しそうだったりすると、心がズキッとする。
そんな顔させたくなくて、必死になっちゃう。





「......嬉しいだけだって。んな、焦るな」


俺が焦ってたら、横向いて、ボソボソとカンが言う。
顔は真っ赤なまんまで、つられて俺も赤くなってる気がする。


抱き寄せて、カンの頭に何度も頬ずり。
可愛くて可愛くて、どうしていいかわからない。


カンが、俺の腕からすり抜けて、ノートパソコンを起動した。
あ、まだ終わってなかったんだ。ごめんね。



「マジ、ヤバかった。終わってねぇのに、ガマンできなくなるとこだった」

「ゴメン。俺がガマンしようって言ったのに、邪魔しちゃったね」

「謝んなよ。そん代わり、明日は金曜だから、期待してるぜ」



赤い顔を、普段通りに戻して、軽くウインクまでしてくる。
カンってば、なんか余裕出てきて、ここでも、俺の方が負けてるなぁ。

...期待してるって言われて、下半身が落ち着かなくなってるしね。


必死で他のことを考えて、頭と下半身を落ち着かせる。



カンかOKなら、ロウに連絡した方がいいな。


「カンにカオルのこと話したよ。心配は必要なかったみたい」


メッセしたら、すぐに既読がついた。


『よかった。じゃあ、土曜の練習に来るよう、カオルに連絡するよ。
 カンにも、そう伝えてね』


隣にいるの、バレバレなんだろうな。
それも、恥ずかしいけど、よく考えたら、カオルだってロウの隣にいるんだよね。




って、俺、ひとつ重大なこと忘れてた!


ロウしかいなくても、カンはすごく恥ずかしがって、機嫌が悪くなる。
だったら、カオルまでいたら、絶対につきあってる雰囲気なんか出しちゃいけないんだ。

メンバーになるなら、カオルには話さなきゃいけないけど。
それとこれとは別、カンならそう考える。


あー、これは、かなり気をつけないとダメなんじゃん!
ロウの前で甘やかしてると、すっごくキレるもんな。
下手すると、お泊りの約束はナシにされちゃうんだよ。




「明後日の練習から、カオル来るって」


画面から、こっちに視線を移して、カンが頷いた。
そして、軽く睨んできた。



「先に、言っとくけどな」


やっぱり、牽制が飛んでくる。


「わかってる!絶対にベタベタしない!誓う!!」


俺が先回りすると、満足そうにニッコリ笑った。

...でも、目が笑ってないんだ。
そこは、信用されてないんだと思う。


だってさぁ、俺、甘やかすの大好きなんだよね。
もちろん、カン限定で。

つきあいだして、知ったんだけどさ。











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ 3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ 3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ 3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ 3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【一発逆転?! 1】へ
  • 【一発逆転?! 3】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【一発逆転?! 1】へ
  • 【一発逆転?! 3】へ