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「Blue Sky,True Mind」
秋桜、揺れる

秋桜、揺れる 1  翼

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瑛士さんと過ごした、最後の日。

俺のワガママを聞いてもらって、一日中、ベッドで過ごした。
たくさんたくさん、キスして、体中に瑛士さんの印つけてもらって。
体だけじゃなく、心も瑛士さんでいっぱいになった。
瑛士さん、優しく笑ってくれたけど、時々、泣きそうになってたな。


「ごめんな」

瑛士さんが何度もそう言うから、自分からキスして、言葉を飲み込んだ。
悪いのは、瑛士さんじゃない。
瑛士さんが謝る理由は、どこにもないじゃん。



何度も思った。これが、最後なんだって。

体の気持ちよさより、心の気持ちよさが勝つことってあるんだな。
切ないって感情も、この時、初めて知った。


瑛士さんは、たくさん、ほんとにたくさん、俺にくれた。
物だけじゃない、俺なんかでも、頑張ればできることがあるって教えてくれた。
目一杯に楽しむこと、無理せずに泣くこと、甘やかされて安心すること。
瑛士さんに出会わなければ、知らなかったことは、数え切れないくらいある。





晩メシ食って、ニコニコ笑って、さよなら。
瑛士さんは、もう、無理するなって言わない。
言えば、俺が崩れるってわかってたんだろな。
瑛士さん自身も、すごく悩んでたのは、俺、気づいてた。


「今まで、ありがとう。瑛士さんは、俺の一番の恩人だよ」


瑛士さんは、何も言わずに奥歯を噛み締めてる。
しばらく、哀しそうな顔で、俺の顔見てた。

この顔もちゃんと覚えとく。
俺なんかのことで、そんなに哀しんでくれるのは、瑛士さんだけだもん。
最後だから笑ってほしいけど、それは俺のワガママだ。


「どこに行くつもりなんだ」

いつもの優しい甘い声が、少し掠れてる。

「今度は東京まで行ってみる。さすがに、探せないんじゃないかな」


瑛士さんは、黙って頷いた。
そして、何か思い出したように、机の引き出しを開けた。
取り出したのは、紙袋と誰かの名刺。何か書き付けてる。


「この人たちを頼りなさい。俺からも連絡入れとく」

紙袋には、タブレット。驚いてたら、瑛士さんの手が優しく頬を包む。

「いいか、絶対に連絡取るんだぞ。何度だって、確認するからな。
 それと、携帯変えるなら、俺には絶対に連絡してこい。
 頼む。最後のお願いだ。無事だって、連絡だけはくれ」

「うん、わかった。でも、このタブレットは?」

「もうすぐ誕生日だろ?プレゼントだよ。
 携帯と同じキャリアのだ。名義は俺になってるし、料金も払う。
 これから先、役に立つだろうから、遠慮なく使いなさい。
 使わなくなったら、ここに送ってくれれば解約できるから」


そんなのもらえないじゃん!
自分で料金払うならまだしもさ。
瑛士さんが払い続ける義理なんてないじゃん。

昨日、少し出かけてくるって、これのためだったんだ。
俺、パニクってて、全然、気がつかなかった。


「こんなに高いもの、もらえないよ。それも料金込みなんて」

「俺の最後のワガママだ。好きだから、一緒にいようって言ったのにな。
 お前が言う通り、職場でバレたら、仕事は続けられない。
 行くなって、守ってやるって、言ってやれない。
 何もしてやれないから、せめて、これくらいはさせてくれ」


瑛士さん、涙ボロボロ零しながら、そんなこと言うんだ。
わかってたから、俺、大丈夫なのに。
俺なんかが、ずっと一緒にはいられない、それぐらいはわかってたよ。





玄関を出ようとしたら、瑛士さんに引き寄せられた。


「やっぱり、行くな。東京に異動願い出す。一緒に行けるようにする」

ギュッと抱きしめてきて、瑛士さんは涙声。


「ダメだってば。希望して、やっとこっちに来たんでしょ。
 来れたのが嬉しかったって、話してくれたの、ちゃんと覚えてるよ」

「翼がいないと、俺がダメなんだよ。
 お前が喜ぶ顔が、もっともっと見たいんだ」

「俺、瑛士さんが大好きだからさ。迷惑かけたくないの。
 俺のせいで、瑛士さんが我慢したりイヤな思いすんの、死にたくなるもん」


好きだって言うの我慢してたけど、やっぱり言っちまった。
言ったら、もっとつらくなると思ったけど、ポロッと口から零れた。


少しだけ、腕の力が緩んだから、すっと抜け出した。
真っ赤な目をした瑛士さんに向かって、ニッコリと笑ってみせた。
無理して笑ってるんじゃない。
本当に嬉しかったから、心から笑えたんだ。


俺なんかを好きになってくれて、ありがとう。
たくさん、たくさん、ありがとう。

そう思ったら、笑顔しか出なかった。


いつも憧れてた。
瑛士さんみたいになりたかった。
だけど、やっぱり、俺は底辺で。


......瑛士さんのそばにいるのは、間違ってるんだ。


ババァは、それを教えに来ただけ。


瑛士さんがしてくれるみたいに、ほっぺたにキスしてみた。
俺、チビだから、精一杯、背伸びした。


瑛士さんは、もう何も言わなかった。
切なそうに、俺を見つめるだけだった。

俺はドアを開けて外に出て、振り向かずにそのまま閉めた。





どこでババァに会うかわかんなかったから、タクシーに乗った。
瑛士さんの家がバレるくらいなら、贅沢でもなんでもない。
泣くのは、部屋に帰ってから、そう思って、ずっと我慢した。


部屋に帰り着いて、もう泣いてもいいんだって、そう思ったのに泣けなかった。
代わりに、ババァをぶっ殺したい、それだけが浮かんできた。
しばらく、頭に血が昇って、それしか考えらんなかった。


でも、俺が人殺しなんかしたら、絶対に瑛士さんは哀しむ。


だから、さっさと逃げ出さないとな。
ババァに会ったら、もう、昔の俺じゃねぇ。
殺すまでは行かなくても、マジギレして、殴る蹴るくらいはやっちまいそうだ。
前みたいに、給料全額取り上げられたら、もう生活していけない。
四、五万の仕送りで済むなら我慢できるけど、あのババァは、そんなんじゃ絶対に満足しない。


落ち着いてきたから、ガシガシと荷造り。
元々、荷物は少ない。
衣類や生活用品は、詰められるだけ、キャリーバッグに詰めた。
圧縮袋のおかげで、冬物も詰められたのはラッキーだったな。
貴重品はボディバッグ、デイパックにタブレットや電子辞書、合格証書。
ここに来た時よりは、荷物が増えててさ。
増えた分は、ほとんどが瑛士さんからもらったモノだった。


片づけてもらうにしても、ある程度は整理しとこうと思った。
世話になった社長の親戚だもんな。

ちょうど留守にするから、冷蔵庫は空っぽにしてあった。
冷凍は、普段からしない。氷捨てて、電源抜いた。

夜だから、掃除機はかけらんない。
ハタキ使った後に、ほうきで掃いて、雑巾がけ。
狭いから、あっという間に掃除は終わる。

掃除してたら、汗と涙がぼたぼた落ちてきた。



やっと、泣けてきた。 
泣いて、終わりにしねぇとな。
泣くのは、これで最後だ。

泣き虫で弱虫の、いつまでも幼い翼は、卒業。

もっと強くなる。ババァが来ても、次は逃げずに済むように。


シャワー浴びて、昨日から着てた古い下着とTシャツは、燃えるゴミへ。
ベッドのシーツと枕カバーも、同じゴミ袋に放り込んだ。
どうせ、今夜は眠れない。

会社のみんなに、挨拶くらいしたいけどな。
急がねぇと、ババァがまた会社に来るかもしんないし。

ああ、眠れないなら、朝までにお礼の手紙を書いとこうって思いついた。
みやげもんと手紙は、社長に預けりゃいいよなって。

その前に、明日やることを確認。
明日の朝、社長に会って、区役所で朝一に転出届出して、そのまま新幹線に乗る。

東京に行ったって、どっこも行く宛はない。
ただ、瑛士さんと約束したから、名刺の人に挨拶には行く。
その後のことは、新幹線の中ででも考えるか。

元々、無駄遣いしなかったし、そこそこの貯金はある。
瑛士さんとつきあってる間は、金出させてくんなかったしな。


ま、東京のネカフェにだって、ナイトパックはあるだろ。
シャワーもあるから、しばらくはネカフェでいいよな。
アパート見つけるまでは、ネカフェで過ごそう。

仕事探すにしても、住所不定じゃ無理だろなぁ。
ボロボロでいいから、なんとか住むとこ探さないとな。
節約して、どれぐらい金が続くか。
とにかく、行ってみないことには、家賃も仕事も、どんなもんかわかんねぇし。

ああ、そんなこと、今、考えてもしかたないか。
とにかく、手紙を書かないとさ。
みんなには、散々世話になったんだもんな。

いろいろ会社のこと思い出しながら手紙書いてたら、あっという間に朝が来た。


部屋の中を見回して、忘れ物がないか確認。



いつもの月曜の朝みたいに、会社へ向かった。
ただ、違うのは、一時間早いこと、キャリーバッグなんか持ってること。

そして、もう、働かないこと。











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~ Comment ~

NoTitle

大丈夫かなあ・・・。

どうか、継母に嗅ぎ付けられませんように。
ネットで探すと、本当にたっくさん居るんですね、’どく親’。

翼くん、気を付けて。

Re: NoTitle

翼は、まだ継母な分だけマシかもですねー。
父親も、放置してた毒親ではありますが。

毒親に囚われないようにするには、どうすればいいか。
翼のこれからを応援してやって下さい。
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