「Double Fantasy」
Mission 5

物語はまだ続く 9

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久しぶりのDF。

三神と並んで、少し緊張してログインする。
すぐ誘われて、グループ通話に参加した。


「こんばんはー、お久しぶりです!」

「同じく、久しぶり」


二人で挨拶すると、みなが一斉に話しかけてくる。


「サイッチ、もう大丈夫?」

「リチさんから聞いて、驚きました。無理しないでくださいね」

「うんうん、ブラックは早く見切りつけなきゃ。
 俺やリチさんみたいにさ」

「公務員でも、そんなにブラックなとこあるんだね。
 安定してるからって、楽とは限らないんだ」

「転職するなら紹介するよ。俺、何度か転職してるから、ツテ多いんだ」


しみじみ、ありがたいと思った。
ゲームで知り合っただけの関係なのに、みんながこんなに心配してくれる。


「ありがとうございます。もう無理はしません。
 転職先は、決まりました。また東京なので、よろしくお願いします」

「私と一緒に、ミカっちとミカっちの友達の音楽事務所やることになったから。
 絶対に無理させない、心配しなくていいよ」


サラッと竹中が喋ってしまって、少し焦った。
隣の三神を見ると、こちらを見て笑っている。


「え、リチさんって、旦那さんは転勤多くなかった?」

「うん、元旦那はね。本橋から竹中へ戻ったんで、報告しとく」


しばらくの沈黙の後、何人かが声を上げた。


「えーーーー!!離婚したの?!」

「うん、理由は尋かないで。つっても、尋いても答えないけど」


ビシっと言い切る竹中に、誰も食い下がろうとはしなかった。



そうこうしているうちに、見慣れない名前がログインした。
即座に竹中が通話に誘う。


「話したでしょ?Sheenaちゃんだよ。
 シーナちゃん、マミカとサイッチ」

「はじめまして、シーナです。ルドさんに無理言って入れてもらいました。
 まだ初心者ですが、よろしくお願いします」

「はじめまして、サイッチです。よろしくお願いします」

「俺、マミカ。りっちゃんの従姉弟で、サイッチの彼氏。よろしく」


!!!!!!

すぐさま、マイクをミュートして、三神にもミュートさせる。


「いきなり、何言ってんの?!」

「別にいいじゃん、他のみんなは知ってんだしさ。
 新人さんにだけ言わないのって、変じゃね?」


ヘッドセットから、みなのクスクス笑う声が聞こえる。

「サイッチ、焦んなくても大丈夫よ。
 前もって、シーナちゃんには言ってある。
 そういうことに偏見があるようなら、入会させないって」

竹中が、落ち着かせようとしてくれた。

「俺がゲイでジュピさんがバイなのも知ってるから、安心していいよ」

Pontaがかぶせるように言ったので、安心して、ミュート解除する。


「私、友達に何人かいるんで、慣れてます。
 ただ......」

「ただ、何?」

Sheenaの言葉に、Yueroonが敏感に反応した。
竹中の言ったとおりだと、三神と顔を見合わせて笑いを堪えた。

「ルドさんにみなさんの画像見せてもらったんです。
 マミカさんとサイッチさんって、すごく素敵だからなんとなく悔しいです」

Yueroon以外の全員が大笑いした。

「わかる!俺ね、マミカさん好みだったんだけど、どノーマルだから諦めてたの。
 そしたら、サイッチとくっついちゃったから、すごく悔しかったもん」

Pontaが思い出したように悔しがるから、笑いはさらに大きくなった。

「あ、いえ!Pontaさんほど本気じゃないですよ!
 ほら、好きなアイドルが結婚しちゃうとがっかりするじゃないですか。
 そんな感じなんですって」

焦って言い訳するSheenaが可愛く思えて、これなら楽しく遊べそうだと嬉しく思った。



「んじゃ、久々に二人を連れて、地下に行きますか。
 ユエさん、シーナちゃんのこと頼んだよ」

「了解ー、通話抜けとくね。混乱するからさ」

浮かれたように、YueroonがSheenaを誘って、二人でグループからいなくなった。


「あれ、ユエさんは地下に行かないの?」

「ああ、ユエさん、全ジョブの裝備が揃っちゃったんだよね。
 だから、シーナちゃんのトレーナーやってもらってる。
 レベル上げとかクエストの手伝いね。
 シーナちゃん、もうすぐ竜騎士が50になるんで、それから二人で地下に来るでしょ」

確かに、あの調子ならSheenaの裝備が揃うまでは、張り切って参加しそうだ。



久しぶりのダンジョン、最初のうちは緊張したが、すぐに勘を取り戻した。
Yueroonがいないので、三神が白騎士で盾をやり、その回復を白魔術師の自分が担当した。
声だけでなく、お互いの表情でどう動くかを合図する。
そのおかげか、攻略はスムーズに進み、戦利品も上々だった。


「サイッチ、退院祝いでダイスなしだよ!」


竹中が向こうのギルドに話をつけておいてくれたらしい。
最後の一つだったドレスを、ダイスなしで入手できた。
三神はダイスで勝利し、騎士の冠を入手。

「これで、二人とも本職の裝備は揃ったね。おめでとう!」

竹中を皮切りに、メンバーの「おめでとう」が次々に聞こえてくる。

「ありがとうございます。この裝備でもっと役に立てるよう、頑張ります」

「ああ、俺も盾、頑張るよ。たまには、ルドさんに別ジョブさせてあげないとな」


顔を見合わせて、声を出さずに「よかった」と言い合う。
二人、同時に揃ったのが、嬉しくて仕方なかった。




「再来週ね、うちの家族も笙さんも、予定空けとくって。
 俺が、金曜に先に帰って、父さんと母さんに話す」


二人でベッドに横たわり、眠くなるまで話をするのが習慣になった。
もう、時間の制約はない。
自分が三神に合わせれば済む。

三神が、肘枕をしながら、もう片方の手で頭を撫でている。
穏やかに笑っているその顔を見てると、温かさに満たされて安心できる。


「ああ、勇気がいるけど、きちんと話さないとな。
 ご両親やお姉さんだけじゃなく、及川さんにも挨拶しなきゃさ。
 あの人に会うのは、ちょっと怖いけど」

「大丈夫だよ。普段は、すごく優しいんだから」

「お前に対する態度見てたら、それはわかるよ。
 ただ、絶対に敵に回したくないな」

三神が、目を閉じ、小さく首を横に振る。
その様子が可笑しくて、つい笑ってしまう。


あれだけ脅されたら、そう思うよね。
でも、帰る時はもう怒ってなかったし、俺の大事な人なら同じように可愛がってくれるはず。
笙さんって、そういう人だもん。


「もう、寝るぞ。おやすみ」

「うん、おやすみ」

額に軽くキスされて、目を閉じた。



心の底から強く願い、そして心をこめて祈る。


『この幸せがずっと続きますように』










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