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「Time After Time」
午後五時の入場開始

午後五時の入場開始 9   幸宏

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年が明けた直後に始まった、一曲。

夜明けというタイトルに相応しい、明るさと希望に満ちた歌詞。
苦手なはずの重くて早い、典型的なREALのメロディとアレンジが、この頃には完全に気にならなくなっていた。
それどころか、体の芯にまで響くようなサウンドが、快感にさえ思える。
普段とは大違いの、隣で熱狂している洋一に同調して、味わったことのない興奮を覚えた。



ああ、ライブで聴かせることが大前提なんだ。
HAKONIWAやSMSみたいに、日常生活に溶け込む音ってわけじゃなくてさ。
洋一君が言ってたもんな、ライブ行かないと本当の音がわからないって。



ドラムセットが横に三組。
真ん中にREALのゴウ、その上手にはSMSの新治、下手にBANZAI-SANSHOのロウ。
新治もロウも、自分たちのバンドよりREALにプレイを寄せているのは、疎い自分でも気がついた。

腰を故障して、真っ直ぐ立つのもままならない。
澤井からは、そう聞いていた。
それでも、痛そうな表情は見せずに、渾身の力を込めているのが、凄いとしか言いようがない。
自分に文才があれば、もっと言葉が湧いてくるかもしれないが、今は「凄い」の一言のみ。





曲が終わった。

口笛と歓声と拍手の嵐の中、ゆっくりと三組が立ち並ぶ。
REALの四人が、前へ出てきた。


「ありがとなー!またなー!」

「次のステージで、また会おうぜ!」

「最後まで、ありがとう!」

「いい年にしろよー!」


それぞれが大声で叫んで、頭を下げる。

ステージの照明が消え、幕が完全に下りた。

客たちは、会場の照明が点灯され、案内放送が流れる中で、しばらくの間、拍手と歓声を止めなかった。


洋一を見ると、泣いていたのか、目と鼻が赤い。
自分の視線に気がついて、照れくさそうに笑った。


「マジ、カッコよかったっす。
 俺も、あんな風にカッコいい男になりたいっす」

「うん、カッコよかった。俺、感動した。
 俺も、カッコいい生き方したくなったよ」


返事をすれば、満面の笑みになる。
普段は頼りがいのある男が、年下らしく可愛らしいと感じる。


「名残惜しいですが、伊織様が風邪引くとマズいんで、移動します。
 あまり人混みに出ないせいか、風邪もらいやすいんすよ」


洋一が先導して、ざわざわとした人混みを、逆行して泳ぐ。
関係者席に近い出入り口から、駐車場へ向かった。





「こっちだよー!」


車まで行くと、既に伊織と澤井は到着していた。
澤井のコートにすっぽりと潜り込んで、伊織は楽しそうに声をかけてくる。


「屋内で待っててくださいって、俺、言いましたよね?」

「ごめんな。俺の知り合いが絡んできそうだったから、先に出てきたんだ。
 俺のせいだから、伊織さんは叱らないで」

「冬威のせいじゃないよ。僕が、嫌がったからじゃん!」


さっきまでの熱狂が嘘のように、すっかり普段どおりの三人に吹き出しそうになった。


「ああ、洋一。携帯の電源入れて、メールチェックしてくれる?
 笙ちゃんからのを転送してあるから、そこに書かれてる住所に向かうよ」

「はい、えーと、本郷ですか。マンションですね?」

「そう、笙ちゃんが、会社のマンション借りてくれたんだ。
 一度、そこに車置いて、一休みしようって」


カーナビに手早く入力して、洋一は、すぐに出発しようとした。


「ちょっと待って」


開演前に買っておいた、スポーツ飲料を洋一に渡し、汗を拭いてやる。
あれだけ熱狂した後だ、髪も汗で濡れている。


「いくら若いからって、無理しちゃダメだよ。
 まだ汗が乾いてないし、飲まず食わずじゃん。
 ぬるくなってるけど、これ飲んで」

「これじゃあ、いつもと逆ですね」


洋一が照れくさそうに言うと、後部座席の二人が口を挟む。


「幸宏は、気が利くよ?Crossroadでも、笙ちゃんまではいかないけど。
 翼君や英一君の次くらいは、よく周りを見てる。
 家では、僕の指示で大人しくしてくれてるだけだよ」

「それに気づいてる伊織さんも、気が利くよね」

「僕は、見てるだけ。してもらうことに慣れてるからね。
 何していいか考えるのに、時間がかかるもん。
 笙ちゃんみたいに、的確には動けないよ」

「その笙ちゃんに、いよいよ会えるんだなぁ。
 名前だけは、ずっと聞いてたけど、ほんと楽しみだ」

「結構、冬威の好みかもね。僕たち、女の子の好みはかぶるでしょ?」

「ああ、そうだった」


後半のカップルとは思えない会話に、洋一と顔を見合わせてしまう。
やはり、バイセクシュアルで経験豊富な二人とは、次元が違うと言わざるを得ない。


「あ、向こうも移動を始めたみたいだよ。
 そろそろ、出発しようか」

「はい、行きと同じように高速使いますね」


メールを受信したらしい伊織の声を合図に、洋一が車を発進させた。
周りの車は、まだ動く気配がない。


「楽屋に集まってるんだろうな。
 みんな、気が気じゃないと思うけど、挨拶はしないとダメだしなぁ」


澤井が、心配そうな声で言い、ため息を吐いた。
聞けば、救急車がサイレンなしで通過していったらしい。


「ゴウが、運ばれていったってことっすか?!」

「うん、エイチからメッセが来たよ。
 袖でストレッチャーが待機してたんだって」


さっきのステージを思い出し、ゴウのプレイや表情を頭に浮かべてみた。


「絶対に、戻ってくるよ。ゴウは治るから心配しなくていい」


洋一を落ち着かせるためか、自分に言い聞かせるためか。

澤井が、自信に溢れた声で、ゆっくりとそう言った。











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