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「Time After Time」
午後五時の入場開始

午後五時の入場開始 8   冬威

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いくつかの入場口には、長い人の列ができている。
少し離れた関係者用入場口へと、伊織を庇いながら歩いた。

スタッフには連絡済みであったのだろう。
自分の顔やチケットの名前を見ても、驚く者はいなかった。
逆に、薄いトートバッグを渡されて驚いたのは、自分の方だ。

中には、パンフレットとメンバー全員からの手紙。

優児の「しっかり最後まで聴いてけよ」という、短いメッセージに目を細めた。


建物に入り、目立たない場所へ移動する。
洋一に電話をかけるためだ。


「洋一君、まだ列に並んでる?
 パンフね、手に入っちゃった。だから、俺のは必要ないよ。
 自分や友達の好きなグッズ、選んでね。
 風邪引かないように、気をつけて。また後で」


通話を終わると、隣に立っている伊織が、ニコニコと嬉しそうだ。






会場へ入ると、空調と観客の熱気で、室温がかなり高い。
コートをクロークに預ければ良かったと、少し後悔した。

しかし、関係者ばかりのクロークへ行くのは、知り合いに会う可能性が高い。
一度立ち上がりかけたが、諦めた。

今回は、横長にステージを設定してあり、薄い白い幕の向こうで作業をしている気配がある。

アリーナ一階、上手側の前から五列目。
少しステージとは距離があるので、全体は見渡せそうだ。


席に落ち着いて、トートバッグの中身を出してみた。
伊織にパンフを渡し、それ以外のチラシを眺める。

ふと、協賛企業の欄を見て、目が止まる。


「伊織さん、これって...」

「うん、うちのグループ会社からも、いくらか出しといたって。
 元々、孝徳がファンなんだよね。
 それに、姪っ子がね、おんなじ病気で苦労してるからさ」


......同じ病気?

一瞬、間が空いたが、長生の孫が難病患者なのを思い出した。


「サムんとこの、孫と同じってこと?」

「そう。完治しない病気で、食事制限は一生続く。
 BANZAI-SANSHOやREALが、支援しているでしょ。
 弟も、医者のくせに、わかった時は、かなりショック受けてた。
 ただ、やっぱりあの父の跡取りだなぁと思ったよ。
 すぐに立ち直って、姪のために最高の環境を整えてたもの。
 姪は、今、研究者の卵として、頑張ってるよ」

「そっか。よかったなぁ」


単純な言葉だが、心からすっと出てきた。

伊織が、甥や姪を可愛がっていることは、以前から知っていた。
そして、会ったことはないが、長生の孫の話は、英一から聞いていた。

二人ともが、厳しい制限はあっても、無事に日常生活が送れている。
それが、とても喜ばしく思えた。



ああ、これも年食ったって証拠かな。

自分のことでもないのに、なんか嬉しくなったもんな。
ボランティアとか、事務所の指示でしかやったことなかったけどさ。
仲間や大事な人の身内が関わってると思うと、今まで無関心だったのが申し訳ない気にもなるし。

そう言えば、コウセイは、ちゃんとしてたよな。
実家の影響って言ってたけど、結婚してからは、スーが熱心だったから、余計にさ。



そして、もう一つ。

自分にとっては、嬉しいことがあった。


「仕事抜きで、それも大事な人とライブなんて、初めてだよ」


伊織が、珍しく驚いた顔をしている。
しかし、すぐに嬉しそうに微笑んだ。


「そうだったね。君は、そんな余裕なんかなかった。
 余裕ができてからも、知り合いのライブには、迷惑がかかるって、顔出さなかった。
 仕事絡みでしか行けなかったんだよね」

「うん、それに仕事が絡むと、「勉強」になっちゃうから、楽しんだ記憶はないなぁ。
 ...あ、Quiet Lifeだけは、勉強のつもりだったけど、いつの間にか入り込んでた!」

「カッコよかったよねぇ...僕も大好きだったなぁ」


二人で、思い出話に花を咲かせていると、電源を切ったはずのスマホが震えた。
慌てて見ると、弟からのメッセージ。


『無事、全員が会場入りしたよ。
 笙が頼んでくれたから、関係者用の駐車場に駐車してる。C-12ね。
 ライブが終了したら、駐車場に集合でいいかな?』

「わかったよ。俺たちの駐車場は、B-24だ。終わってから、メッセか電話する。
 電源切るからな。お前も忘れるな」


返信を終わり、電源を切る。
今どきは、スマホでの撮影は問題ないらしいが、自分はどうしても気になる。
これも、隔世の感がある。

伊織も、電源を切ろうとして、メッセージに気づいたらしい。


「笙ちゃんからだった。
 終わってからの移動は、向こうの方が時間がかかるだろうって」


関係者席の自分たちと違って、一般席では駐車場までの誘導はない。
大勢の客の波をかき分けて、駐車場まで歩くには、そこそこの時間がかかる。
そんな、普通のことを、すっかり忘れていた。


「評判通り、細かいこともよく気がつく子みたいだね」

「んー、普通に「女の子」だと思ってると、驚くよ。
 まぁ、会ってのお楽しみかな」


伊織の言葉の意味が気になったが、質問しようとした瞬間、会場内の照明が落ちた。

いよいよ、始まる。
急に、鼓動が激しくなった。

最初は、息子たちの出番だ。


そう思っていたのに、ギターソロの「君が代」が響いて、優児と勘違いしそうになる。
ステージにいるのは、BANZAI-SANSHOのメンバーだ。
君が代を優児のように、会場内に響かせているのは、長身の海。



曲のスタイルは全然違うのに......父親そっくりのギターが、耳に染み込んできた。











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