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「Time After Time」
午後五時の入場開始

午後五時の入場開始 1   幸宏

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少しずつ、リハビリは進んでいき、人混みも地下鉄も平気になった。
伊織から、カウントダウンへの外出許可も出た。

そして、とうとう、卓也からのメールを読んでみることになった。


「いいかい?絶対に、無理しちゃダメだよ。
 少しでも気分が悪くなったら、すぐに中止してね。
 僕がそばにいると読みにくいかもだから、リビングで待ってる。
 ただ、洋一がそばにいるのは、我慢してね」


伊織の指示は、逆にありがたかった。
洋一が隣にいれば、多少のことはなんとかなりそうな気がしたからだ。

最初の頃は、溜まったメールをフォルダに振り分けるだけで、吐き気がしていたほどだ。
謝罪ならまだしも、言い訳などが並んでいたらと思うと、気が重いのは確か。

それでも、前に進むためには、避けてばかりはいられない。
伊織の指示で行うのだし、洋一がそばにいるのなら、症状が起きても対処はしてもらえる。



内村や大樹との連絡を再開した時のように、大きく深呼吸。


卓也専用のフォルダを開けると、ずらっと並んだメール。

順を追って眺めていると、途中から間隔が空いたことがわかる。
内村に聞いたのだろうか。
それでも、自分の存在を忘れられまいと、ポツポツと送ってきたのだろうか。


直近のものを、まず開いてみた。


『大樹君から、治療は順調だと聞いて、安心した。
 こうやって、俺がメールすることが、お前の邪魔になるとも聞いているのだが。
 それでも、お前に着信拒否されていないかと不安になって、メールしてしまう。
 すまん。内村からも、待てと言われているのに、情けない話だ』



逆の立場だったら...自分でも、そうしてしまうかもしれない。

情けない、自業自得だ、未練たらしい......。

自分にそんな悪態をつきながらも、つい文章を打ってしまっただろう。



卓也を想いながら、遡って読んでいくと、高島について書かれているものがあった。


『帰ってからと先延ばししていては、変に期待させてしまうと考えた。
 メールではなく電話を使い、はっきりと「気の迷いだった」と伝えた。
 あいつもわかっていたようだ。
 俺が部屋を引き払ったことで気づいたと、返事があった。
 転職したのは、条件がよかったからで、俺のことは関係ないとも言っていた。
 あいつにも悪いことをしたと思ったから、ちゃんと謝ったよ』




バッカだよな、卓也。鈍いにも程があるっての。
高島だってプライドがあるんだから、そう言うしかないじゃんよ。
気の迷いとかって謝られて、いくらわかってても、あいつも傷ついたんじゃねぇの?

やっと部屋に入れてもらえて、思いが叶ったと思ったら、即、引っ越しされてるってさ。
どんだけきっぱりした拒絶だって話だろ?





「大丈夫ですか?」


洋一に声をかけられて、我に返った。

視界がぼやけていると思ったら、涙が溢れていた。


「あ、ゴメンな。吐き気とかはしてねぇよ。頭痛もないんで、心配要らない。
 なんつーかなぁ...読んでるうちに、卓也のことも高島のことも、気の毒になってさ」

「気の毒、ですか?」

「うん。俺が、卓也の立場だったら、高島の立場だったらって、考えてた。
 そしたら、あんなに怒り狂ってたのが嘘みたいでさ」


怒りとショックでパニックになっていたとは思えないくらい、落ちついて読んだ。
それどころか、簡潔な文章の向こうに、必死な卓也が見えて、切なくなった。
離れていた、この八年近くを思い出しては、この状況を作り出したのは自分なのだと噛み締めた。

だからと言って、簡単に許して、何もなかったように振る舞えるかどうかは、自信がない。
卓也にしても、それがわかっているからこそ、必死なのだろう。


これが、お互いに、何人もと経験があれば、また違っていたのかもしれない。
純粋培養とからかわれていた、海と完を思い出す。

あの真面目で堅い和哉や、幼く見えるパートナーの翼でさえ、互い以外に過去があると言う。



海と完は、生まれた時からの幼馴染で、仕事も一緒にやってる、運命共同体だもんな。

俺と卓也とは、状況が違う。




「思い出さないようにって言われても、つい思い出してはムカついてた。
 でも、ここにいると、誰かが必ずそばにいてくれたし、何かやって気が紛れてた。
 少しずつ、冷静に考えられるようになってきたんだな」

「ええ、幸宏さんのこと、伊織様はかなり心配してましたからね。
 慎重に様子を見ては、判断してらしたはずですよ。
 先に感情が暴走して、体が拒否反応を起こしてたのが、落ちついて思考できるようになったんです。
 次は、直接、対話できるようになると思います」



洋一の言葉で、「治ったらどうするのか」を考えていなかったことに気がついた。

直接、会えるようになれば、ほぼ完治ということになる。

当然、ここは出ていかなければならない。
今までは、患者だから、甘えていられたのだ。

会社に戻るにしても、転職するにしても、先のことは考えなければ。
しかし、それも卓也との話し合い次第だということに、思い至り、堂々巡りを繰り返す。

今回の病歴が、転職に影響を及ぼすのではないか。
そんな現実的なことも、やっと思いつくが、これもまた、動いてみなければわからない。


「ここって、居心地良すぎて、やらなきゃなんねぇこと、忘れそうになるな」

「あー、先のことは心配しなくていいんじゃないすか?
 たぶん、伊織様のことだから、転職するなら、いくらでも紹介してくださると思います。
 なんなら、ここにずっといてくださっても、構いません。俺が養いますから」


洋一にしては珍しい、からかうような笑顔で、サラッと言い切った。
あまりにもさりげないので、一瞬、聞き流しそうになった。
しかし、頭の中でリピートして、意味を飲み込んだ。

よく見ると、口元は笑っているが、目が真剣だ。

どう返していいかわからずに固まっていると、洋一が苦笑いに変わる。


「今は、考えなくていいっす。忘れてください。
 つい言っちゃいましたけど、タイミング悪かったですね。
 治ったら、仕切り直します」 











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