FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←午後三時のメッセージ 14   幸宏 →午後三時のメッセージ 16   冬威
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ  3kaku_s_L.png Time After Time
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【午後三時のメッセージ 14   幸宏】へ
  • 【午後三時のメッセージ 16   冬威】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「Time After Time」
午後三時のメッセージ

午後三時のメッセージ 15   幸宏

 ←午後三時のメッセージ 14   幸宏 →午後三時のメッセージ 16   冬威

居候期間が一ヶ月を越え、気がつけば師走。

治療は、さらに次の段階に進んだ。



「もう、大樹君に会っても大丈夫になってきたね。
 人混みや地下鉄に慣れるのに外出しよう。
 ただし、少しでも気持ち悪くなったりしたら、中断すること。
 緊張や動揺がなくなるまでは、一人では行わないこと。
 以上、注意点は、二つ。必ず、守ってね」


伊織の指示を受けている隣で、洋一も頷いている。
そばについていてくれると思うと、心強い。



仕事をしない・卓也と連絡を取らないこと以外は、すっかり普段通りの生活だ。
体を動かしたり、ゲームや雑談をしたり、近くなら外にも出かけていく。

ただ、一人では外へは出してもらえない。
まだ発作が出る可能性が高いからと、説明されている。

そして、ほとんどの場合、世話係としての役目は、洋一が担う。

今では、完全に打ち解けて、二人だけの時は話し方も違う。
洋一は少しの丁寧語だけで、自分はタメ口で。
冗談を言い合い、ふざけあって、笑って過ごせるようになっている。
一回りも年下相手に、すっかり気を許している自分が不思議だった。

それは、洋一も同じように感じているらしい。


「俺も不思議なんですよね。
 こんな見た目だし、警戒心強いから、友達も少ないんすよ。
 なのに、幸宏さんは、すっと馴染んだっていうか...よくわかんないんすけど。
 一緒にいても、気を遣わないでいられて楽しいんです」





洋一との会話を、二人だけの診察の時に、何の気なしに話すと、伊織が笑っている。
この敏い医師には、自分たちには不思議なことでも、理由はお見通しなのだろうか。


「僕としても、二人が仲良くなってくれて嬉しいんだ。
 そして、二人には理由がわからないみたいだけど、僕なりに考えたことはあるよ」

「やっぱ、伊織さんレベルになると、簡単にわかるもんなんですか?」

「いや、僕じゃなくても、北川や笙ちゃんにもわかると思うよ。
 だって、二人とも性格が似てるもの」

「......お互い、他人と仲良くなるのが下手なのは、感じてます。
 あと、他人に言えなくて、いろんなもの抱え込むのも共通してっかなぁ」

「そうそう。それにプラスして、タイミングもあると思う」

「タイミング?」

「うん。ちょうど、僕が冬威とつきあいだして、洋一が冬威を渋々受け入れたとこだったからね。
 僕以外のことに、目を向けられるようになってたんだ。
 それに、君が病気で弱ってて、虚勢を張る余裕がなかったでしょ?
 洋一って、元の世話好きの性格に、環境もあって、庇護欲掻き立てられたんだよ。
 二人ともが、他人を受け入れられる状態で、似たタイプの人間と出会ったってこと。
 こんな素敵な偶然は、そうそうないと思うよ」



素敵な偶然という言い回しが、伊織らしいと思う。


自分が使うと、まるでオネエ言葉のように気持ち悪くなるだろう。
しかし、伊織が話す分には、とても自然でオネエ言葉どころか「品の良さ」を感じる。
自分とは大違いだと思う、瞬間。


伊織と話しながら、自分との違いを見つけては、後でそのことについて考えるようになった。
それがなぜかは、つきつめては考えていない。
なんとなく、あまりにも違う世界の人間だから、好奇心からだろうと思っている。


自分と違って「守られる」ことに躊躇がない。
本人が説明したように、子供の頃からの環境がそうさせるのだろう。

だからと言って、自尊心や矜持がないわけでもない。
ただ守られているだけの弱い存在ならば、医師としての責任など考えつきもしないだろう。





「あれだけ凄い人のこと好きになっちまうと、後が大変そうだよな」


洋一は、伊織に用を言いつけられて外出していた。
いないと油断していたから、つい、口から思っていたことが零れた。


「確かに、思い切るのも時間がかかりましたよ」


背後からの声に、慌てて振り向けば、洋一が苦笑して立っている。
思いの外、考え込んでいた時間は長かったのか。
それとも、すぐに済むような用だったのか。


「そろそろ、人混みにも慣れた方がいいから、一緒に行くように言われたの忘れてたんすよ。
 ちょっと、買い物につきあってください」

「......ゴメンな。勝手にあれこれ想像したりして」

「いえ、大丈夫っすよ。実際、伊織さんは凄い人だし。
 でも、もう普段は、ほとんど忘れてるんすよ。
 ずーっと、痛い思いしてきたのに、不思議なくらいに」


洋一の言葉と表情には、無理している様子は見えない。
納得できるだけ、伊織に良い変化があったと言うことなのかもしれない。


「澤井様がここに来る少し前からかなぁ。
 伊織様が、淋しい顔しなくなったんすよね。
 いつもニコニコはしてるけど、ふっと暗い顔する人だったんですけど。
 それに気がついたら、「あー、俺じゃダメなんだ」って、思い知らされた感じっす。
 で、思ってたより、ずーっと、澤井様って、良い人なんすよねー」

「ああ、俺も驚いた。事務所に作られたイメージと違いすぎだっての。
 まぁ、本人は、すっきりした顔して楽しそうだから、何も言えねぇけど」

「そっか、初恋の王子様でしたっけ...」

「笑うなっての!本人にも伊織さんにも、すっげ笑われて、恥かいてんだっ!」


大きく表情を崩して、洋一が笑う。
その声を聞きながら、部屋着を脱ぎ、外出用に着替える。



「コート、ないと寒いっすよ」


クローゼットから取り出して、後ろから着せてくれる。
最初は戸惑った動作も、今ではすっかり馴染んで。


心が浮き立つのは、久しぶりの外出のせい。


自分に、そう言い聞かせていた。











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ 3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ 3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ 3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ 3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ 3kaku_s_L.png Time After Time
総もくじ 3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ  3kaku_s_L.png Time After Time
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【午後三時のメッセージ 14   幸宏】へ
  • 【午後三時のメッセージ 16   冬威】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【午後三時のメッセージ 14   幸宏】へ
  • 【午後三時のメッセージ 16   冬威】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。