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「Time After Time」
午後三時のメッセージ

午後三時のメッセージ 12   幸宏

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「あのさ、REAL WORLDのカウントダウンなんだけど。
 ゲストに、SMSとBANZAI-SANSHOが出るんだ。
 よかったら、二人も一緒に行かない?」


朝食の席で、澤井冬威がにこやかに話しかけてくる。
どうやら、ライブへの誘いで、二人とは自分と洋一のことらしい。

REAL WORLDにはあまり興味がなくとも、SMSがゲストなら久しぶりに行ってみたい。
しかし、病気療養中でライブ・コンサートとは、さすがにマズいような気もする。

洋一は隠そうとしているが、興味を惹かれているようだ。
REALの大ファンだと話していたし、そのREALは解散危機で、カウントダウンは最後になるかもしれないと噂されている。
自分が断ると、洋一も行けなくなるかも知れない。

伊織の許可次第だと返事をしようとして、疑問が浮かんだ。



あれ?

澤井さん、そんなとこ行ったらヤバいんじゃね?
REALのコアなファンって、トーイに厳しいよな、確か。



考えたことが表情に出たのか、冬威が笑いながら説明する。


「俺と伊織さんは、関係者席の目立たないところだから、大丈夫だよ。
 心配してくれて、ありがとう。
 それに、メンバーとも和解してるんだ。
 チケットくれたのは、ユージだしね」

「え、仲直りしたんすか?!」

「ああ、エイチが間を取り持ってくれてね。
 お互い、若い頃は未熟だったって、笑えるようになったんだ」


驚いていたが、洋一だけ、話についてこれない可能性に気づいて、少々焦る。
彼にとっては、遠い昔に解散した「HAKONIWA」の詳しい事情など、調べでもしない限り知らないだろう。
REALの音が好きだとは言っていたが、HAKONIWA時代には興味がないと話していた。

しかし、気を遣って説明しようとした自分に、洋一は笑って首を横に振った。
どうやら、興味がないだけで、知識はあるのだろう。

考えてみれば、冬威が伊織のそばに寄ってきた時点で調べていたはずだ。
警戒していたと、本人も話していた。


では、残るは、「病気休暇中なのにライブに行く」ことだ。

それについては、伊織が説明し始めた。


「幸宏は、聴覚過敏の症状は出てないし、対人恐怖も軽い。
 その頃までには、大丈夫になるようにリハビリしようね。
 ライブは、目標にするのにちょうどいい。
 家に篭ってばかりじゃ、つまんないでしょ?
 主治医の僕が許可出してるんだ。特に問題にはならないよ。
 一人だと心配だけど、冬威が洋一の分もお願いしてくれるって言ってるからさ」

「それと、三ヶ日は、俺の弟やその友達と過ごす予定なんだよね。
 初詣とかも、みんなで行かない?
 あ、幸宏君は、笙ちゃん知ってるよね?」


確かに笙には面識があるが、なぜここで名前が出てくるのか。
さらに、澤井冬威に弟がいたというのも初耳で、ただポカンとしてしまった。


「君たちにも、言ってなかったよね。
 俺、公開してないけど、妹と弟がいるんだ。
 で、すごい偶然なんだけど、弟は笙ちゃんと同じ大学で、サークルも同じだったんだ。
 バンド組んでて、今でもスタジオでは演ってるらしいよ」


冬威が、ニコニコと楽しそうに喋っている。
初恋の王子様だった頃の甘いマスクと声、そのままに。
ただ、表情と口調で、全くの別人に見えるのは、自分の気のせいか。

いや、気のせいではない。
テレビやライブで見ていた「トーイ」より、ずっと人間くさいのは確かだ。

よく考えれば、夢中になっていたのは、彼が二十代半ばから三十代にかかる時期だ。
ギラギラとした若さと強さを漲らせ、時には妖艶とも思えるステージ姿を披露していた。

年月と伊織との生活が、彼を穏やかにしたのだろう。
最初に病室で会った時、すぐに動揺が収まったのは、それが理由かもしれない。





朝食が終われば、自分の部屋へと戻る。

昼食までの間は、洋一と雑談かゲームをすることがほとんどだ。

卓也を思い出すから、オンラインゲームはやらない。
ゲーム専用機で、シューティングやサッカーなどの対戦ゲームを二人で楽しんでいる。
仕事だと冷静でいられるのに、ゲームになると熱中してしまうところも、洋一とは共通している。



「やっぱり、ドライビングは負けるなぁ。
 俺、免許持ってないし、車運転しないからかな」

「あんまし関係ない気がしますよ。
 だって、俺、このゲームやってたの小学生の頃ですから」

「げー、そっか、一回り下なんだよな。
 俺、大学入ってたもん。
 すっかり、年の差忘れちゃってるけど」

「俺も、幸宏さんと遊んでると、ダチと遊んでるみたいで楽しいっす。
 あ、伊織様から叱られそうなんで、内緒にしといてくださいね」


伊織のそばに控えている時には想像もつかない、洋一の大きく笑う顔。
それを見ていると、「若い」とは思う。
しかし、患者と看護師という出会い方だったせいか、あるいは、頼りがいがあって甘えられるせいか。
なんとなく、自分の方が下のように思っていることが多い。



疲れる前にゲームを終えて、REALのライブの話になった。

夢中になって徹夜していた、学生の頃とは違う。
いくら熱中していても、目が疲れて続かない。
洋一に切り上げようと言われて、素直に止められるのは、病気のせいもあるだろうが、経年劣化が大きな理由だ。



卓也なんか、老眼が始まったとか言ってたもんな。



思い出さないように努力していても、つい引き寄せて考えてしまう。
こんなざまでは、一人で自宅療養などできるわけがない。

伊織の判断は、正しかったということだ。





「俺、今度がラストかもしれないって、すっげ焦ったんですよ。
 休みもらって行くつもりで、伊織様にも話してて。
 でも、ファンクラブ、一次、二次と、全部、落選しちゃったんすよね。
 まさか、行けるなんて。澤井さんに感謝っす」

「伊織さんが、頼んでくれたんだろうね。
 俺、ライブ行くの、久しぶりなんで、エスコートよろしく」


軽い冗談のつもりで言うと、真顔で「もちろんです」と返された。

彼にとって、伊織の言葉は絶対なのだと、こういう時に感じる。



それを、少し淋しいと思っていることには、まだ気づいてはいなかった。 











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