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「Time After Time」
午後三時のメッセージ

午後三時のメッセージ 10   幸宏

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運び込まれて、三日目。
自分でも驚くほど、体調は回復していた。

伊織の許可が出たので、洋一の付き添いで自宅へ戻り、衣類などの必要なものを取ってきた。
勤務先に、診断書を郵送したついでに、郵便物の転送も届けを出した。

自宅療養は、伊織が認めないのだ。
診断ミスだと後悔しているようで、かなり慎重になっている。
転送届も伊織の指示だ。


「うつと違って、大きなストレス源と離れていれば症状は出ない。
 でも、自宅で一人だと、アクセス制限しにくいでしょ?」


携帯の電源を入れてみると、卓也からの着信履歴とメールがズラッと並んでいた。
確かに、伊織の言う通り、自宅に一人でいれば、つい応対してしまう可能性は高い。
ここは、指示に従った方が、自分のためだろう。



俺が倒れたからって帰国しようとするくらい、あいつ、動揺してやがるもんな。
今、そんな顔見ちまったら、絶対になし崩しになるの、目に見えてる。
きちんと納得して、許すんならまだしもさ。
前みたいに、なし崩しにしてたら、思い出しては、もやもやするに決まってんじゃん。
んで、何かの弾みで、また爆発すんのなんか、無理過ぎ。

伊織さん、言ってたもん。
今は、まだ軽い適応障害の段階だけど、拗らせるとうつ病になるって。
そうなると重症化しやすいから、今のうちに治そうってさ。

部長が、やたら気にしてんのって、そんな人がいたってことだろ?
自殺とかって、考えたこともなかったけどさ。
自分の意志とは関係なく、飛び降りたりするらしいじゃん。 





「ここで、少々、お待ちいただけますか?
 すぐに戻って参ります」


自宅から戻る途中で、洋一が車を停めた。
言葉通り、すぐに戻るつもりなのだろう。
エンジンはかけたままだ。

しばらくすると、大きな紙袋を抱えて、洋一が戻ってきた。
袋から漂う匂いで、パンだと気づいた。
この近くに、お気に入りのパン屋があることを思い出す。


「お待たせしました。伊織様から言い使っておりまして。
 今日の昼食は、こちらになります」

「ここのパン、すっごく美味いんすよ。
 特にベーグルサンドとか」

「はい。幸宏様から教えてもらったと、嬉しそうに話していらっしゃいました」

「あー、俺には、様とか敬語とか要らないっすよ。
 職場でもねぇのに。堅苦しいの苦手なんで」


洋一が、クスッと小さく声に出して笑った。
笑っているのは何度か見たが、初めて声まで聞いた気がした。


「では、幸宏さんも、敬語なしでお願いします。
 それと、俺、一回りも年下なんで、完全に敬語なしはキツいです」

「え、一回りも?!
 しっかりしてて頼りがいがあるから、そんなに差があると思ってなかった!」

「早く大人になりたくて、背伸びしてましたから。見た目もごついですしね。
 高校でも大学でも、あだ名は「オジサン」でしたよ」


本人は「ごつい」と言うが、威圧感はない。
体型も、肩幅は広いが筋肉隆々というわけでもなく、高い身長に均整が取れていて、羨ましくさえある。
大阪組の四人ほどではないが、充分に「スタイルのいい」部類に入る。

顔は、母親の加代によく似ている。
加代は、どちらかと言えば、すっきりした和風美人だ。
一重で切れ長の目元や締まった口元など、親子だとすぐにわかる特徴を受け継いでいる。
鼻だけは、少しだけ鷲鼻で、父親似か。


「オジサンかぁ。そんな感じじゃねぇけどな。
 モテるだろうし、やっかまれたんじゃね?」

「そうなんですかね。モテるってのも、よくわかんないんですけど。
 好きな人に好きになってもらえれば、それ以外はどうでもいいっすよ」

「そりゃそうだよな。俺なんか、下手に女にモテても、鬱陶しいだけだしな」

「......俺も同類です。
 っていうか、最初に惚れたのが男で、諦めきれてないからかもしれません」

「............」





惚れた相手は、予想がついた。
しかし、そこまで突っ込んだ話をしてもいいものか。

自分と同じ、他人との距離が近いと息苦しくなるタイプだろう。
あまり馴れ馴れしくすると、嫌われてしまいそうだ。


「ああ、バレバレですよね。
 もう、十二年も前に、バッサリと振られてるんで、気にしないでください」

「......そばにいるの、つらくないか?」


自分なら、そんな状態で十二年もは保たない。
さっさと遠くへ逃げ出しただろう。


「生まれた時からずっと、そばにいるのが当たり前でしたから。
 いっそ、離れてしまおうかと思ったこともありましたけどね。
 でも、離れてどうしたいかって、何のビジョンもなかったんですよ。
 ......それに、最近、やっと薄くなってきた気がします。
 伊織様が、ずっと幸せそうに過ごしてらっしゃるんで」


洋一の言葉には、少しだけ苦さが混じっていた。
自分では成し得なかったことを、別の男が成し遂げた。
それを、目の当たりにしているのだ。
同じ男として、忸怩たる思いがあったことは、簡単に想像ができた。



「それに、最近わかってきたんですけど。
 澤井様って、本当は誠実で真面目な方なんですよね。
 先入観で警戒心バリバリにしてたのが、恥ずかしいです」


一回りも年下とは思えないくらい、洋一の器は大きいと感じた。
自分なら、これほど柔軟に考えられるだろうか。



高島がどんなヤツかさえ、俺、よく知らねぇしな。



自分の立場に置き換えてみて、心臓がキュッと縮こまるような感覚に陥った。











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