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「Time After Time」
午後三時のメッセージ

午後三時のメッセージ 9   冬威

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「こうなると、今、卓也君がアメリカにいるのは、運が良かったかも」


朝食を摂りながら、伊織が加代に話しかける。
給仕をしていた加代が、動作を止めて少し考え出した。


「...そうですね。
 症状が治まるまでは、ストレッサーに近寄らない方がいいでしょう。
 幸宏様が、冷静になって、どう向き合うか考えられるようにならないと」

「うん、卓也君と会うのは、それができるまでは止めてもらう。
 もちろん、メールや通話もね」


二人の会話を聞きながら、自分の経験と重ね合わせて考えていた。


HAKONIWA解散前後、アルコールに頼って生活していた。
バンドとしての活動より、ドラマや映画の仕事の方が、まだ楽に息ができていた。

あの頃の自分には、「才能のなさ」というコンプレックスが、最大のストレスだったのだろう。
だからと言って、解散して楽になったかと言えば、そうではなかった。
伊織のカウンセリングがなければ、アルコール依存症になっていたのは、瞳でなく自分だった。

幸宏は、アルコールに逃げることはなかった代わりに、ショック症状を起こしていた。
運ばれてきた時の顔色の悪さは、母親の危篤の時を思い出させたほどだ。




「冬威、昔の君ほど追い込まれていないから、そんなに心配してなくていいよ。
 弱っているせいもあるけど、あんなに頑なだった彼が、他人に甘えるようになった。
 自分が病人だと自覚しているのも、こちらとしてはありがたいしね」

「とても聡明な方とお見受けしました。
 あれだけの症状が起きたら、もっと混乱していてもおかしくないですよね。
 洋一も感心していました」


加代の言葉で、交代した時の洋一が思い浮かんで、つい笑ってしまう。
幸宏に対する態度が、とても丁寧で細やかだった。
初めて見る、穏やかで優しい表情をしていたのだ。


「どうしたの?」

「...いや、加代さんには悪いけど、洋一君のあんな優しい顔、初めて見たからさ」


加代が、笑って頷いている。
彼女も、息子の様子の変化に気づいていたようだ。


「最初に幸宏が来た時、珍しく機嫌が良かったんだ。
 洋一には、理解しやすいタイプなんじゃないかな」

「理解しやすい?」

「そう、二人とも頭の回転が早いし、普段はとても冷静。
 だけど、思いつめやすくて、ストレス発散するのが不得意で抱え込む。
 似た者同士ってことだと思うよ」

「俺と伊織さんみたいだね」


伊織は、くすぐったそうに微笑んで、頷いた。
そして、医師の顔になり、洋一と交代すると言う加代に、いくつかの指示を出した。


「......一番重要なのは、しばらくは卓也君とは接触しないこと。
 携帯やパソコンを使ってる時は、必ずチェックして止めてね」


最後に念を押すと、加代は復唱して、離れへと移動していった。





食器を片づけていると、伊織の携帯が鳴った。


「あー、やっぱり。大樹君には口止めして正解だったね。
 うん、落ち着いたら、本人から連絡が来るから、それまでは待てって。
 そうそう、え、今週?それは無理じゃないかなぁ。
 とにかくさ、幸宏のために協力しろって伝えてくれる?」


どうやら北川が相手だったようだ。
通話を終了したと思ったら、すぐに離れへ急いでいる。
すぐ後ろを歩き、会話内容を確認した。


「彼氏がアメリカから帰ってくるの?」

「そう、どうやら心配して、マンションの管理人に連絡したみたい。
 個人情報流出には厳しいから、管理人は何も言わなかったらしいけど。
 何かあると思ったんだろうね。大樹君のところに、本人が電話掛けてきたって。
 チケット取れ次第、一時帰国するって言ってるらしいんだ」

「下手すると、幸宏君に直接電話掛けてるかな」

「それが心配だから、今急いでるの!」



病室へ入ると、幸宏は洋一と談笑していた。
動揺を隠して、伊織が問診を始める。


「おはよう。よく眠れた?」


昨日が嘘のように、幸宏の顔色は良くなっていた。
朝食も、念の為に雑炊にしたが、普通食でも問題なさそうだとも。

そして、症状が治まるまでは、ストレス源には近寄らないように、念を押す。


「伊織さんの許可が出るまでは、卓也とは接触しません。
 今話しても、冷静になれないのは、自分でもよくわかります」

「よかったぁ。んー、卓也君、チケットが取れたら帰国するって言ってるんだよね。
 大樹君を通して、釘は刺してもらってるけど、君がぐらついたらマズいしさ」


幸宏の表情が曇った。


「俺が、オッサンのくせに潔癖過ぎるんでしょうね。
 淋しいのは、あいつも同じだったの、わかってるんですけど...」

「今は、悩む必要なし!動けるようなら、お風呂でもシャワーでも好きにしていいよ。
 思ってたより、胃も大丈夫みたいだし、食欲もある。
 ただ、しばらくは一人にならないでね。何かの拍子に、症状が出るかもしれないし」

「はい、ありがとうございます」


頭を下げた幸宏は、とても病人には見えなかった。
明るい陽の光が、室内に差し込んで、顔色が明るく見えるせいか。



伊織が、加代や洋一と話している間、することもなく、幸宏の顔を観察していた。
白い肌、細めの顎、高いが小さい鼻梁に薄い桜色の唇。


昨日から、誰かに似ていると考えていたが、思いつかなかった。

それが誰か気づいたのは、しばらく経ってからのことだった。











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