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「Time After Time」
午後三時のメッセージ

午後三時のメッセージ 1   幸宏

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笙たちから忠告と激励を受けた翌日、日曜午後。
卓也との話し合いに臨んだ。




「メール、読んだか?」


画面に広がるのは、冷静さを取り戻してはいるものの、すっきりしない表情の卓也。
自分が思い込みで動こうとしていたように、卓也も「基準が自分になっていた」と気づいたようだ。

そのことについては謝ってきた。
しかし、東京への転勤か他社への転職は、実行したいと主張する。


『お前の予想通り、米国研究所への誘いもある。
 ただ、これは論外だ。俺は、日本でしか生活できないからな』



仕事では、きちんと自分の意見をはっきりと主張し、ぶつかることも厭わない。
しかし、一旦、仕事を離れると、いちいち自己主張するのが面倒くさい。

ある程度、空気を読んで、その場に合わせる。
些少なことは、流してしまう。
そんな日本で生まれ育つと、欧米型の生活習慣では息が詰まる。
実際、今も、研究所と宿舎の往復のみで、誰に誘われても断っている。

二十代、三十代の頃は、自分も仕事に対して貪欲で、食事の席で討論することも必要だと思っていた。
しかし、体力気力がついていかない。
この出張だけでも、かなりストレスが溜まってしまっている。



うんざりした顔で説明する、卓也。
アメリカ勤務は、本心から希望していないのだと、納得できた。


「それはわかったけどさ。東京に来るのは、なんでだよ?
 大学かどっかの企業か、宛はあんのか?」

『今、いろいろとツテを探ってるところだ。
 とにかく、神戸の研究所に長居したくないんだよ』


これは、どうやら、裏に何かがありそうだ。


以前なら、問い詰めたりはしなかった。
しかし、北川たちのアドバイス通り、今回は引かないと肚を括った。
ここで聞かなくては、また遠慮しあって、いつかは潰れる。



「長居したくない理由、説明してくれ。
 じゃないと、俺が納得できねぇ」

『...............』


眉間に皺を寄せて、卓也が黙り込んだ。



そう、この顔されんのがイヤで、ずっと我慢してきたんだよ。
言いたいことは飲み込んで、気づいちまったことは知らん振りして。

でもな、今日は、絶対に引かねぇぞ。
きちんと納得できるまで話し合わなきゃさ。

...もし決裂って結果になるとしても、だ。

もう歪みは出ちまってんだ。
こっから先、ずっと一緒にいたいなら、完全に腹割って話さねぇとダメなんだ。




卓也が、小さくため息を吐き、肩を落とした。
らしくない仕草に、少し戸惑う。


『高島、覚えてるか?』

「...高島って、あの高島?」




忘れるはずがない。
大学の同期で、卓也にとってはゼミの後輩だ。

そして、二人が同類なことに勘づいて、卓也を口説いてきた。
何度断っても、しつこくつきまとって。
気づかれてしまったのは、まだ若く経験値が足りなかったからだろう。

卓也が修士論文のための実験で大学に泊まり込んでいる時も、差し入れと称してはまとわりついた。
自分も卒論で忙しく、あまりフォローしてやれなかった。
高島も卒論だったはずなのに、なぜか、卓也の前に現れる時間だけはあったのが、不思議でしかたなかった。

高島のしつこさに辟易して、修論が上手くまとまらない。
そんな生活で、卓也が胃をやられた。
胃潰瘍で入院し、危うく修論が間に合わないところだった。

救急車で運ばれたと聞かされた時、生きた心地がしなかった。
自分の実験を放り出して、病院へ走り込んだ。
卓也の母親が付き添っていたから、その時は詳しいことは話せなかった。
二人きりになって、高島のことを聞いた時には、殴り殺してやりたい衝動に駆られた。




『あいつ、転職してきたんだよ。チームは別だけど、相変わらずなんだ』

「......いつ?」

『一年前だ』

「そんな前かよ?!」


すぐに言わなかった理由は、予想がついた。
ちょうど、吸収合併のための業務が忙しく、週に一度のメールが精一杯だった時期だ。
心配させたくなかったのだろう。
逆の立場なら、自分も同じように行動したはずだ。


だが、もうそんなことは言ってはいられない。


『お前に心配かけたくなかったからな。
 さっさと、異動か転職してしまおうと思ってた。
 そしたら、長期出張だろ?離れられはしたけど、身動き取れなくなってな』

「もしかして、マンションの契約更新しなかったのって...」

『そう、バレて押しかけられたからだ』


らしくないと戸惑っていた行動の裏には、そんな理由が隠れていたのか。
一人悩んでいただろう卓也に、やはり、自分たちはこれではいけないと確信した。


「うっし、んじゃ、決まり。
 お前がこっちに来い。仕事は、お前が好きなようにしろ。
 物理的に距離ができれば、あいつも諦めんじゃねーの?
 たったの一年じゃ、またすぐに転職っつーわけにはいかねぇだろうから。
 ただな、俺も、東京で転職すっかもしんねぇ。
 それは、文句ナシな」

『どうしてだ?今の仕事は気に入ってるんだろ?』

「んー、確かに給料はいいけどなぁ。元の会社と違って、堅いんだよ。
 元の緩さが好きだったし、あのまんまなら、ゲイだってバレても問題なかったと思う。
 でも、今んとこは、やっぱ歴史があって外資じゃない分、考え古いし。
 なんつーの?ああ、滅私奉公当たり前って感じ。
 体調おかしくなったのは、それもある気がしてな」

『お前、そんなこと言ってなかったじゃないか』

「お互い様だろ。俺だって、お前に心配かけたくなかったんだよ。
 それに、給料が安くてもいいから、もっと緩い転職先が見つかったら、の話だっての」


宛はある。

野上建設の東京支社という、分野違いもいいところだが。
この話し合いの後、連絡することになっている。
細かい条件は知らない。
しかし、あの笙が勤務しているところだ。
公正であることだけは、予想がつく。



「とにかく、そっちの仕事終わらせて、異動なり転職なりしてくれるか?
 俺は俺で、住むとこ探しとくからさ」


問題は何も解決していないが、お互いに言えなかったことを言い合った。
この時は、それだけでもかなりの前進だと思えた。

二十年近くもの間、言いたいことも言えなかった関係。
遠慮に性格も加わって、どれだけ飲み込んできたのか。

これから先、どう変化していくのかは、予想もつかなかった。











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