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「Time After Time」
午前六時のアラーム音

午前六時のアラーム音 9   幸宏

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相馬を訪れた翌日、日曜。

約束の時間に、PCからコール音が響く。
画面に広がる、卓也の顔。



『どうだった?』


真剣に心配していたのは、一見してわかる。
それだけ自分を大事に思ってくれているのだ。



照れくさいだの、恥ずかしいだの、言ってらんねぇよな。
これだけ、心配してくれてんだ。
真面目に話し合わねぇとさ。



「軽い適応障害なんだと。いろいろ、重なってたしな。
 ...ただ、一番の原因は、はっきりした」

『会社の人間関係か?業務量か?』

「いや、お前に会えねぇからだよ」

『...............』


一瞬、ぽかんとした後、表情はそのままに、卓也の顔は真っ赤になった。
自分には甘い言葉を吐くくせに、言われ慣れてないから恥ずかしいのだろう。


「俺、合併の後、お前に会いに行くの目標にしてたからさ。
 こっちに来てくれたけど、すぐにアメリカ行っちまったじゃん?
 あれで、なんか、折れたっつーか...がっくり来ちまったみてぇ。
 自覚はなかったけど、先生と話してて、一番はそれだって思いついた」

『......そっか』


卓也は、何か考え込んでいる。
ここは、待った方がいいのだろうが、ここで話を止めては有耶無耶にしてしまいそうだ。
そのくらい、さっきの言葉は気恥ずかしく照れくさかった。


「んでさ、俺、本気で転活するわ。
 収入は落ちても、お前と一緒のがいい。
 ずるずる先延ばしにしても、何もいいことなさそうだしよ」

『今の仕事、気に入ってるんじゃないのか?』

「まぁ、合併して慣れてきたとこだし、給料もいいし。
 人間関係もベタベタしてなくていいけどさ。
 大阪には帰れねぇの、確定しちまったもん。
 このままだと、結局は、体調おかしくなってくのが、目に見えてる」

『あのな、俺がそっちに行こうかと考えてるんだ』

「はあ?!」


卓也が東京に転勤してくる、ということは、以前からあった昇格の話を受け入れるつもりなのか。
そうすれば、研究職ではなくなり、完全に企画開発の管理職としての勤務になる。


「お前、現場から離れるのイヤなんだろ?
 だから、ずっと断ってきたんじゃなかったっけ?」

『お前にずっと無理させてきたから、今度は俺が我慢する番だ。
 俺もお前も実家はないし、大阪にこだわらなくてもいいしな』

「いやいやいや、お前、研究すんの、大好きじゃん!!
 我慢にも限度があるだろ?
 ここで現場から離れて、後になって戻りたいは効かねぇぞ!」


卓也の表情が曇った。

しばらくの無言が続き、二人の間に重い空気が漂う。




『......俺だって、もう限界なんだよ』


ボソッと零した卓也の呟きは、低く小さいだけに、切なさを纏う。


「俺が女だったら、もっと簡単だったのにな」


言ってもしかたのないことが、つい口をついて出た。


『莫迦...女だったら、つきあってないよ』

「それはそうなんだけどよ。なーんか、悔しいじゃん?」



東京行きは、拒否しようと思えばできたはずだ。
しかし、先を見通せずに、慣例だからと受け入れたのは、自分自身。
出世コースに乗ったことは、誇らしくもあった。

何より、卓也とここまで続くとも考えていなかった。

冷静に考えれば、全てが自分の浅はかさのせい。


だから、今度こそはと、肚を括ったのだ。

卓也に我慢を強いて、その上、自分は体調まで崩している。
これ以上、先送りにしていては、何もかもが壊れる。




「とにかく!お前に無理させたくねぇの!」

『...どのみち、今すぐは動けない。
 帰国まで、まだあとニヶ月以上あるから、ゆっくり考えよう』

「ああ、一人で突っ走らないって、約束しろよ!
 じゃねぇと、俺が後悔することになるんだ」



卓也が、「わかった」と、ため息混じりに笑って、通話は終了した。




やべぇなぁ。
慎重過ぎるくらいのヤツが、あんなこと言い出すってよ。

マジ、こっちに来るつもりなんじゃねぇの?
そんなんしたら、今度は、あいつがストレス溜めまくるに決まってんじゃん。

俺は、今の仕事、気に入ってるけど、卓也みたいに「好き」までいかねーもん。
それに、あいつ、特許とか取りまくってるエースだろうに。
管理職になってから、研究所にいる時間が減ったって、愚痴ってたくせに。

俺だって、お前に好きなことやらせてぇんだってば。



あれこれと考えているうちに、袋小路に入り込んだ気分になった。
そして、先程の卓也の声を思い出した。



『......俺だって、もう限界なんだよ』



自分が適応障害を患ったように、卓也にもその可能性は充分にあるのだ。
その事実に行き当たって、いても立ってもいられなくなる。


「あーっ、もう!!どーしたらいいんだよっ!」


頭を掻き毟り、大声で叫んでしまった。
転職する覚悟でいたのに、卓也が先に動いてしまっては、意味がなくなる。



賢者の贈り物、だっけか。
あれは、取り返しがつくじゃんね。
髪の毛はまた伸びるし、時計は金貯めて質から出せる。
だけど、俺たちはそうじゃない。
どっちかが先走ったら、それこそ、後戻りはできねぇ。


とりあえず、まだ猶予はあるよな。
卓也の出張が終わる前に、なんとか転職先を見つけておかないとさ。

勝手に会社辞めたりすっと、あいつ、絶対に怒るだろうな。


でも、さ。

こんなに必死になれるのは、卓也相手だからなんだよなぁ。
自分でも、驚くっつーの。











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Re: NoTitle

幸宏も卓也も、もう少しいい加減だと悩まなくて済んだんでしょうね(笑)
中途半端な年でもあるし。

再会するまでに、カタがつくといいんですけど。
頑張ってくれとしか言いようがないです(汗)
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