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「Time After Time」
午後十時の薄明かり

午後十時の薄明かり 7   冬威

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「あいつら、もうすぐ、ここに来るからな。
 いい機会だから、話つけとけ」


鮎川の言う「あいつら」が、REALのメンバーなのは、話の流れで理解した。
しかし、穏やかな性格の康生や長生はともかく、優児は、まともに話せるとは思わない。



エイチがいるから、殴ったりはしない、か。



優児の息子、海が冷静に話していたのを思い出した。
康生の息子、完の方が、感情的になりやすく、若い頃の優児のようであったことも。



あの二人、中身は父親とは似てないよな。
うちの春樹もそうだけどさ。



春樹との電話を思い出して、自嘲の笑みが浮かぶ。






「遅くなりました」


午後十時

やってきたのは、康生と長生の二人だった。
薄暗い店内を、華やかさが明るく照らすようだ。

薄くぼやけていた想いが、一瞬だけ、色鮮やかに蘇る。


「優児と剛には、俺たちから話します。
 剛の腰のことで、ちょっと荒れてますからね」


長生の説明で、剛の体調の悪さが伺えた。

優児とメンバー三人とは、幼馴染で絆が強い。
リーダーとして、他の三人を大事に思っていることは、デビュー前から感じていた。

仕事に差し支えるほどの故障をした、剛。
その剛を心配しているはずの、優児。

目の前にいる二人も、当然、剛を心配しているはずだ。
呼び出しに応じたのは、英一と鮎川には恩があるからだろう。
独立した時に、あれこれと世話になっていると聞こえてはきていた。



解散してしばらくは、社長、キレてたよなぁ。
妨害したくても、レンさんと鮎川さんが、先手を打ってたらしいし。
ああ、エイチのお袋さんもだっけ。
今じゃ、エイチ一人でも敵に回すとヤバいって話だしな。




「悪かったよ。海と完に近づいたりして」

「殴られなくてよかったよ。
 うちの息子、滅多にキレないんだけどね。
 一度キレると、手がつけられないんだ」

「海だって、完が傷つけられたらヤバいぜ。
 あの体格だしな」


揃って苦笑いする、元メンバーたち。
自分に対して悪意を持っていないように思える。
驚いて、つい素に戻ってしまった。


「二人とも、怒らないの?」

「鮎川さんから聞いてる。気にしてくれたんだよね?
 俺は、あの時、驚きはしたけど、だからって、憎んだりしてないよ。
 逆に、気づかなくて申し訳ないと思ってた」

「ああ、優児がキレまくって、一緒になってキレてたけどな。
 康生から聞いて、俺も複雑だったよ」


鮎川が、グラスを傾けて、小さく笑う。


「みんな、ガキだったってことだろ。
 優児は、特にな」

「優児さん、自分が恵まれてるって、あんまりわかってないもんな。
 康生さんや長生さんみたいに、周りがよく見える性格でもないしさ」


英一が、鮎川の隣で、やはり、笑っている。


「優児んとこは、親父さんもお袋さんも、すごくいい人でさ。
 俺たち、みんな、可愛がってもらったんだ」

「俺、大好きだったなぁ。
 自分の親より、仲良かったと思う」


康生と長生の口ぶりには、懐かしさだけではない、何か他のものが含まれているようだ。
それが何かは、自分にはわからない。


「トーイがヴォーカルって言われて、優児悩んでた。
 俺は、キーボードも好きだから、気にするなって言ったんだ。
 あれでよかったんだと思ってるよ、今でも」

「うん、最初は、優児が受け入れたのが不思議だったんだけどさ。
 親父さんを安心させたかったって、俺も剛も納得したんだよ。
 お前も、社長と俺たちとの板挟みで苦労したよな。
 そこまで考えられなくて、悪かったと思ってる」


二人の言葉は、予想外だった。
どう反応していいのか困ってしまって、つい鮎川を見る。


「デビュー前の優児の音じゃ、あんなにバカ売れはしてねぇよ。
 REALが成功したのは、HAKONIWAでの経験があったからだ。
 じゃなけりゃ、ルイさんが、あんなプロデュースするわけねぇだろが」


康生と長生が、鮎川に頷いている。


「見た目だけじゃ、すぐに飽きられる。
 優児さんのソングライティングとギターは、確かに凄いよ。
 それでも、お前のヴォーカルとルイさんの読みがなければ、HAKONIWAは売れてない。
 事務所だって、お前を売り出すのに、かなり金かけてたしな」


ほぼ同時期にデビューした、SMS。
そのベーシストとして、冷静に業界を観察していた、英一。
英一には、当時の状況がきちんと見えていたということだろう。


「お前が、妹と弟のために、必死だったの、知らなかったんだ。
 後からエイチに聞いて、みんな反省したよ。
 優児も少しは大人になってる。
 だから、昔のことは水に流そうぜ」



ああ、サムって、昔からそうだったよな。
ユージと俺やスタッフの間を、なんとか取り持とうと頑張ってた。
ユージのフォローは、コウセイ担当って感じでさ。



四人で活動していた日々が、次々とフラッシュバックする。


「俺、ほんと考えなしだったんだよ。
 とにかく、稼がなきゃって、ずっと思っててさ。
 社長とマネージャーの言うこと聞いてればいいとしか思ってなかった。
 音楽に興味もないまんまだったから、ユージがキレるのも仕方ないよね。
 そのくせ、コンプレックスだけは一人前だったし。
 瞳と春樹のことでも、みんなに迷惑かけちゃった」


すらすらと、口から出るのは、素直な反省。
頑なな「トーイ」では、考えられないほどの。


「ハルは、いい子だよ。
 プロとして、自分の道をきちんと歩いてる。
 瞳も、快方に向かってるって、リンから聞いた。
 トーイ、今からでも遅くない。
 やりたいこと、考えてみたら?」


英一と同じように、自分のことを心配してくれていたのかと、嬉しくなった。
康生は、昔と変わらず、輝いて見える。

かすかに残っていた、劣情もコンプレックスも。
話しているうちに、洗い流されたように消え去っていた。

残っているのは、憧憬と少しの感傷。


「ありがとう。
 ユージにも伝えてくれる?俺が謝ってたって。
 それと、俺は、ずっとREALのファンだってこともね」


長生が、肩を抱いてきた。
くすぐったい思いが湧いてくる。

英一を見れば、片方だけ口の端を上げて、笑っている。




こうなるの、わかってたんだろ?

ほんとに、お前は面倒見がいいよな、エイチ。











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