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「Time After Time」
午後十時の薄明かり

午後十時の薄明かり 4   幸宏

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体力、落ちてんなぁ。
昨日もしっかり寝たはずなのによ。



目覚めれば、日はとっくに昇っていた。

カーテン越しに、ぼんやりと光を感じれば、はっきりとしてくる視界。
卓也が、自分をじっと覗き込んでいるのが見える。

触れ合った瞬間、飢えていたことを思い出し、互いを貪り合った。
最後の方は、記憶がほとんどない。



「バカ、起こせばいいだろ」

「ん、寝顔見るのも久しぶりだからな」



ちょっと前までなら、すぐにねだってたよな。
笑ってる顔見てるだけで満足なんて、嘘みてぇ。



起き上がって、小用を済ませ、朝食の用意。
昼食を兼ねる時間だから、しっかりとした献立に変更する。

卓也は、コーヒーメーカーをセットしている。
朝食後のコーヒーは、二人で過ごす時の必須アイテム。


「智也さんと仲いいのな、あの子」

「ああ、兄貴、嫁さん家族全員と仲がいいんだ。
 俺も遊びに行ったことがある。
 気持ちのいい、親父さんとお袋さんだよ」


卓也は、兄の智也と一つ違い。
兄弟のいない自分には、想像がつかないが、かなりの仲の良さだと思う。
二人とも穏やかで真面目な性格のせいか、高校に入る頃にはケンカもしなくなったらしい。

そして、親には話していない秘密を、お互い共有している。

卓也はゲイであること、智也は他人と直接触れ合えないこと。





「あのさぁ......」

「なんだ?大樹君と会わせた理由か?」


コーヒーを飲みながら、質問しようとすれば、穏やかな笑顔で言い当てられる。
こんな風に、自分の思考を理解する人間は、卓也しかいない。


「簡単だよ。お前、仕事ばかりしてるだろ。
 そろそろ落ち着く頃なんだし、いい加減、外にも目を向けろ」

「そんな時間があれば、卓也と話してぇじゃん!
 つか、日帰りしてでも大阪に帰るって!!」

「俺もそうしたいけどな。今度は、俺が忙しいんだ。
 しばらくの間、アメリカ本社へ行かなきゃならなくなった」

「............」


淋しいとは言えない。
これまでは、自分が忙しいと我慢を強いてきた。

頭では理解していても、強烈な悔しさが湧いてくる。
時間ができると、一息吐いていたところだから、余計に。


「そんな顔するな。
 行けなくなってしまうだろ」

「俺、そんなガキじゃねぇし。
 卓也こそ、メシが不味いって泣くんじゃねぇぞ」


半分泣きそうになりながら、憎まれ口を叩いた。
そうでもしないと、心が千切れそうだったから。


卓也の右手が伸びてくる。
ゆっくりと、慈しむように、自分の頬を撫でている。

大きくて温かい、卓也の手。
頬から、全身に愛しさが巡るようだ。


「お前は、背負い込むからな。
 誰か一人でいい。俺以外に弱音を吐ける人間を作れ。
 あいつらとも、連絡取ってないんだろ?」

「卓也がいれば、それでいい。
 他人に弱音吐くほど、俺、やわじゃねぇってば」

「今にも折れそうな顔して、何言ってるんだ。
 年末からこっち、ずっと我慢してたのくらい、丸わかりだ」


一瞬、卓也の表情が曇った。

何か、言いにくいことがあるのだろう。
長期出張以外にも。


「あの部屋、契約更新しないつもりなんだ」

「!!」

「半年は帰ってこれない。
 兄貴や瑞樹さんが、風を通してくれるって言ってくれるけどな。
 二人とも忙しいし、迷惑はかけられない。
 レンタル倉庫に家具と家電は置いておく。
 お前の荷物は、ここに送ってもいいか」

「......俺が家賃払う。様子も見に行く」

「そんな時間があるなら、自分を自由にしてやれ。
 心配しなくても、帰ったら、また一緒に住めるような部屋を探す。
 だから、聞き分けてくれ。頼む」


力強く、引き寄せられた。
抱きしめてくる腕は、すっぽりと自分の体を包む。


「...タイミング、悪すぎだろ。
 なんで、卓也がアメリカ行くんだよ」


我儘なのはわかっている。
それでも、温かく甘い卓也の体温が、駄々っ子のような本心を剥き出しにする。


「ごめんな。昼夜逆転するから、なかなか、通話もできなくなる。
 メールは送るから、それで我慢してくれ」

「謝んなよ。俺の我儘なのは、わかってっから。
 俺のせいで会えなかったのは、ちゃんとわかってる」


情けない、そう思っても、涙が溢れる。
いつも穏やかで優しい、卓也の声。
今だけは、ほんの少しの苦さが混じる。


「明日の昼まで、ゆっくり過ごそう。
 買い物、先に行っておくか」

「ん、昨日、全部済ませてある」


子どもをあやすように、卓也の手が、背中をゆっくり軽く叩く。
そのリズムに自然と呼吸が合わさり、波立った感情が落ち着いていく。



ほんっと、俺って弱えよなぁ。
甘やかされて、ガキみてぇなんだもんよ。
卓也といると、鎧も壁も、全部がどっか行っちまう。



「あの部屋、なくなっちまうんだな」


声に出せば、思った以上に淋しくなった。
卓也と過ごした時間が、消えて失くなるように思えて。


「金が貯まったし、帰ったらマンション買うぞ。
 お前も、どこがいいか考えておけ」


そこまで考えていてくれたのかと、胸が熱くなる。

では、自分は?

自分が、卓也にしてやれることは、何だ?


「おとなしく、待ってる。
 大阪に帰れるように、転職も考える。
 だから、心配すんな」


口先だけではなく、自然とそう思えた。
この腕を離したくないならば、自分も努力しなければ。


次はいつ会えるのか。

聞いてしまえば、途端に距離を感じてしまいそうで、聞けなかった。











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