「Double Fantasy」
SS/Double Fantasy 

Quest 5

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メールボックスには、瑞樹ちゃんからのメールが来てた。
すっかり忘れてたな、陽向も歩も、もうこんなに大きくなってるんだ。


「誠!大阪の仕事の時、帰りは一日延ばしてもいい?」

「お、瑞樹さんから、メールでも来たか?」


隣のPCで作業をしていた誠が、こっちを向いて笑ってくれた。
何か作業してたのかな?
鋭い目つきが一転して、すっごく優しい顔になる。


誠、ありがと。

俺の家族は、自分の家族だって考えてくれてるよね。
ほんっと、嬉しいし、ありがたいよ。



「うん、陽向と歩の七五三のお祝いだって!」

「ああ、そうか。もう六歳と四歳になったんだっけか。
 可愛いだろうなぁ、陽向ちゃんと歩君の七五三姿」


微笑んでる誠は、当たり前なんだけど、俺より大人っぽい。
少しだけ悔しいのは、まだまだ修行が足りないせいかな。


「写真は、もう撮ったから、添付ファイルで送ってくれたんだ。
 実家で、父さんたちとお祝いするんだって。
 俺たちにも、参加できるなら、是非にって」

「んじゃ、光と大下にも声かけるか。
 俺たちだけでお邪魔したら、光、拗ねるだろ」

「そうだね、大下さんも一度来てるし、緊張しなくて済むかな。
 うちの親、二人が再婚したの、喜んでたしね」


そう、やっとだよ。
去年、大下さんがプロポーズして、まず、二人はおつきあいを始めた。
先月、入籍して、仲間内でお祝いしたんだ。

誠の家族も一時帰国してたから、ちょうどよかったんだよね。
至さん、誠のお兄さんも、パートナーと一緒に参加してた。
パートナーさんは、フランス人で、誠と同い年なんだけど、とてもそうは見えなかった。

あ、涼さんと少し似てたっけ。
翠の瞳がすっごく綺麗で、じっと見られると、吸い込まれそうだったなぁ。


「俺と瑞樹ちゃんのこと、うちの親は面食いだって言うけどさ。
 至さんも三神のお父さんも、かなりの面食いだよね」

「ああ、だから、俺も面食いだって話じゃないか。
 わかってるだろ?」


グッと詰まってたら、誠は声を上げて笑いだした。
俺が容姿に自信ないの、わかってて言うんだよね。


「まーた、自信ないとか思ってんだろ?
 瑞樹さんが美人なんだから、そっくりなお前だって美人なんだよ。
 いい加減に認めたらどうだ。
 それに、見た目は関係ないって、何度も言ったよな?
 自分でほじくり返して、落ち込むのはやめとけって」

「......うん、ごめん」


男なんだから、中身で勝負!って、思い込めればいいんだけどさ。

いや、普段は忘れてるんだよ?

ただ、至さんのパートナーのアランさんとか、怜さんたちとかさ。
超がつくくらいに容姿が整ってる人に会うと、思い知らされるんだ。

男にしては、チビで華奢で、誠と一緒にジムに行っても、全然、筋肉つかないし。
だからって、女の子みたいに、柔らかくも色っぽくもない。
中途半端だなー、俺、って、つい思う。

あ、これが、いけないんだった。

最初は、見た目に惹かれて、次に肌に惹かれてた。
でも、中身を好きだと言ってくれたんだ。

俺だって、そう。
手に惹かれた、でも、つきあっていくうちに、どんどんどうでもよくなった。


「そうやって、ちゃんと立ち直るとこも、好きなんだぜ。
 わかってるだろ?」

「うん、ありがと」


俺も、きちんと言葉でも態度でも表現してくれるの、大好きだよ。
時々、照れくさくなるけどね。




光さんと大下さんに連絡して、四人で参加することにした。
実家は、リフォームしたから、ホテル取らなきゃね。

元は父さんの実家だった建物を、もう転勤はないからって、老後を見据えて改築した。
二階にあった俺たちの部屋は、もうない。
母さんの仕事部屋と二人の寝室にして、一階に広いリビングルーム。
たくさんの人が集まれるようになって、以前より、もっと近所の人や友達が来てる。

リビングに寝ることもできるけど、落ち着かないだろうし。
ちょびっとだけ淋しい気もしたけど、父さんたちの希望だもんね。
俺は、もうあそこには住むことはないんだから。


誠にも光さんにも、陽向と歩へのおみやげ買い過ぎないように釘を差して。
それでも、こっそり買ってるみたいだけど、黙認するしかないかな。

俺だって、ほんとはたっくさん買いたいんだよ。
でも、瑞樹ちゃんと智也さんが、気を遣うのわかってるからさ。

まぁ、そういう二人だから、余計に何かしてあげたくなるもわかるんだけどね。





大阪でのステージを終えて、打ち上げもそこそこにホテルへ引き上げた。
梅野さんと八木さんには、申し訳なかったな。
母さんたちは、招待しろって言ってくれたけど、誠が止めた。
まだ大下さんだって二回目なんだし、歩の人見知りが始まってるからって。

子どもには縁のない、俺たち。
特に、誠は興味もなかったはずなのに。

こんなに可愛く思えるなんて、幸せだと思う。



翌日、昼前に実家へ到着。

広くなったリビングには、大きなテーブルがどーんとあった。
父さん、母さん、瑞樹ちゃんのお手製料理が並べてあって、すっごく美味しそう。
おみやげと、ワインや日本酒を渡すと、みんながニコニコと喜んでくれた。

陽向と歩の写真を、改めて見せてもらった。
添付ファイル以外にも、何枚もあって可愛いんだ。
着物姿の二人は、少し緊張してたのかな?
顔が真剣そのもので、笑いそうになっちゃった。



「二人の写真見てると、あんたたちの七五三を思い出したわ」

「そうそう、満四歳で、二人一緒にやったんだったな。
 大樹が泣き出して、瑞樹が一生懸命に慰めてた」


母さんがしみじみ言ってるのに、父さんが頷いてる。
そんな写真あったっけ?!

驚いてると、母さんがアルバムを持ってきた。

そうだよ、俺がビービー泣いてる写真があった気がする。
あれって、七五三だったんだ。

瑞樹ちゃんに頼りっぱなしの、情けない俺。
子どもの頃って、ほんとそんな写真ばっかりだったような......。



「やめてー!それ見ないで!!」


必死で止めたけど、誠も光さんも興味津々で覗いてる。
あ、大下さんと智也さんまで......。


「うわ、そっくり!」

「ほんとだ。今も似てると思ってたけど。
 大樹って、女の子みたいに可愛かったんだ」


俺たちのアルバムは、酒の肴にぴったりだったみたい。
みんな、ワイワイ言いながら、離してくれない。

瑞樹ちゃんを見れば、余裕の表情。
母は強しって言うけど、これは違うよな。

どの写真の瑞樹ちゃんも、キリッと賢そうで可愛いしさ。


「...でもさ」


誠が、俺を見てる。
ヤバい!いつものくせが出ちゃうのかも。

両手で、誠の口を塞ぐ。
モゴモゴと何か言おうとしてるけど、阻止阻止!!


「帰ってから、ゆっくり聞くから。
 ここでは、やめてね」


目をじっと見て言えば、誠が頷いた。
途端に広がる、大きな笑い声。


「ほんっと、大樹は強くなったよね。
 誠が、素直に言うこと聞くなんて」


光さんが面白そうに言うのを、大下さんが何度も頷いてる。
誠は、少し恨めしそう。

ゴメンね。
でも、俺、人前では恥ずかしいんだってば!

可愛いとか愛してるは、二人だけの時でいいの!!











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本日は、久しぶりに「大樹・誠」コンビのSSをアップしてみました。
True Colors は、一日お休みさせていただきます。


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