「True Colors」
千紫万紅

千紫万紅 6

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正月休みが明けて、恒例の嵐に突入。
忙しくても、終電には乗れてるし、土日のどっちかは休めてるから、少しは進歩してきたかな。

要と笙のパーティについては、主役より、言い出した二人の方が張り切ってる感じ。
昇平がスケジュールを立てて全体を仕切って、由人が連絡調整って役割分担。

俺と烈は、招待客に渡すプレゼントを任された。

安く上がって、ちゃんと使える、オリジナルものってことで、烈がマウスパッドを提案した。
みんなが賛成したから、俺がデザインを考えてる。
裏面には、二人の名前と日付、メッセージを入れる予定。

姉貴の時は、何もしてやれなかったから、すっごくワクワクするんだ。
烈はもちろん特別だけど、メンバーも家族みたいに大事だからさ。

鈍くて迷惑かけたのに、じっと見守ってくれてたんだ。
烈のことだけじゃなく、俺のことも考えてくれてた。

姉貴や高校の先生が、「大学時代の友人は、一生モノになる」って言ってたな。
聞いた時は、ふーんって流したけど、本当かもしれない。




年々、時間が過ぎるのが早くなってく。

嵐が過ぎ去ったら、もう新年度。
社会人生活も、五年目に入った。


GWは、要と笙のパーティの打ち合わせや作業。
二人は申し訳ないって謝ってたけど、気にすることないのにな。
好きでやってるし、烈と作業してるの楽しいしね。

ああ、それと。
久しぶりに、サークルのヤツらのライブに行く。
笙がよく面倒見てたバンドが、イベントに出演するんだ。
応援がてら、みんなで集まりたいだけってとこかな。


「へー、中学生のバンドも出るんだ」


ネットでイベントを調べてた烈が、感心したように言った。


「え、あのイベントって、競争率高くなかったっけ?」

「うん、確か、そうだったはずだよ。
 中学生は一組だけだね。他は、大学生やフリーターだし。
 ああ、笙の幼馴染のバンドも出るみたい」

「俺たちが大学入った年は、五月末だったよね」

「そうそう、要が加入して、最初のライブだった!」


こんな思い出話も、つきあいだしてからは、新鮮に感じるから不思議。
ずっと一緒だったんだなぁって、今さらのように思うんだ。






「ここ、久しぶりだね」


イベント当日。

大学近くの大きな公園。
野外ステージを目指して、みんなで歩く。

要が、嬉しそうに話しかけてきた。
烈と二人で、思わず笑っちゃう。


「四人になってから、初めて演った場所だよね」

「それ以上に、要にとっては、人生変わった場所でもあるやんか」


烈が応えてたら、昇平が続いた。
意味がわからなくて、昇平を見る。

要はニコニコ笑ってるけど、どういうこと?


「笙が、高校のヤツらと出てたんや。
 お前らは、覚えてへんかったやろ?」

「え、マジ?」


......確かに、他のバンドなんか覚えてない。


「そうそう、挨拶に行った、行った。
 七海さんも烈さんも、視界に入ってない感じやったわ。
 昇平から聞いてたから、気にはしてへんかったけど」

「今考えると、俺もナナも、ほんと失礼なヤツだったよね」


うん、烈の言う通りだ。

自分の鈍さにも気づかずに、斜に構えて、カッコつけてた。
兄貴たちに甘えっぱなしの、ただの子どもだったくせにね。



「今日は、後輩だけやのうて、楽しみにしてた組がいてるんです」

「おう、虎太郎の弟が出んねやろ?」

「へー、弟もベースか?」

「ううん、ドラムやって。
 まだ中学生やけど、オリジナルも演るらしいわ」


ああ、ネットで見た中学生バンドか。
笙が楽しみって言うんなら、そこそこは聴けるってことだね。


ステージに近づくと、中学生くらいの女の子が、たくさんいた。
そのバンドの子の友達かな?

兄貴たちのライブみたいに、派手な服装はしてない。
もっと幼い感じだけど、ワクワクしてるのは、おんなじ。


中学生バンドが、最初に登場。
女の子たちの歓声が、耳に痛いくらい。

出てきた子たちは、中学生とは思えないくらい、堂々としてる。
それに...見た目がすっごくカッコよくて、騒がれるのはよくわかった。


「全員、俺より背が高そう。中学生には見えないよ」


ポソッと烈が呟いてて、同じこと思ったのが可笑しかった。


ドラムのカウントから始まった、初っ端はビートルズの「Please Please Me」
ギターの子が、すっごく正確なピッキングで驚いてたら、歌が始まってもっと驚いた。

ほんとに、中学生なわけ?

発音もネイティブみたいだし、何より巧くて声がいい。

ドラムもベースも派手じゃないけど、しっかり基礎ができてるって感じなんだよ。
コーラスだって、ギターとベースが、きちんとかぶせてる。

その驚きは、オリジナルが始まって、さらに大きくなった。

まだ荒削りなのはしかたない、でも、歌詞も曲もすごく気になる。
才能があるのは、間違いないんだろうな。

コピー二曲、オリジナル四曲。
お辞儀して四人が退場するのを見送った。



「......すごくない?」

「いや、すごいわ。ほんまに中学生か?」


思わず口にしたら、昇平も感心してる。
それは、みんな同じみたい。

笙だけは、知ってたのかな?
驚いてるっていうより、ニコニコと嬉しそうな顔。
友達の弟だし、誉められたら嬉しいのかもね。


全部の組が終わって、後輩に差し入れ。
頑張ってたけど、一番よかったのは、あの中学生バンドだよな。
後輩たちも、そう思ったみたいで、ちょっと悔しそうだった。


久しぶりにここまで来たからと、昇平の家で晩御飯をご馳走になった。

親父さんは、酒を勧めるけど、由人は車だし、笙は翌日仕事。
要だけがお相手してたら、いつものようにご機嫌で潰れちゃった。

片づけを手伝って、お礼を言う。
帰りは、由人が送ってくれるって。
要は、昇平に捕まって、泊まってく。



「健太君のベース、昌兄にそっくりやったね」

「は?え?!あ、あれ、跡取り息子か?」


発車してから、笙が嬉しそうに話す。
由人の問いかけに、笙は黙って頷いた。

えーっと、昌兄って、例の人だよな。
話がよく見えないけど、ツッコむのは悪い気がする。


「生き生きと楽しそうにプレイしてたなぁ。
 英兄たちの中学生時代、思い出したわ」

「英一さんらは、俺たちのヒーローやったもんなぁ。
 ルイに影響されてギター始めたけどな。
 バンド組みたいと思たんわ、SMS見たからや」


隣の烈を見ると、二人の話をじーっと聞いてた。
大好きなエイチことだから、知りたいだろうけど、自分からは聞けない感じかな。

昇平の家から、笙の家までは、車で五分もかからない。
あっという間に到着して、笙は降りていった。

振り返ると、玄関前で手を振る笙が見える。


「二人とも、よう我慢したなぁ」


由人が、バックミラーを覗きながら、そう言った。











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