「True Colors」
千紫万紅

千紫万紅 3

 ←千紫万紅 2 →千紫万紅 4

最初の波が去った後、シャワーで汗を流して、お互いを洗いっこ。
目が合えばキスして、二人ともクスクスと笑っちゃって。

そうしてるうちに、また腰が疼いてくる。


「ね、まだ大丈夫?」

「ん、ベッド行く?ここ狭いし」


明日は仕事だから、無理させちゃいけない。
わかっていても、烈が欲しくてたまらない。

まだ昼間だし、いいよね?

自分に言い訳して、それでも気になるから、烈に聞いてみた。

烈も、まだ冷めてない。
これも、初めてだ。

最後までヤった時は、一度イッたら、それで終了。
俺がねだっても、さっさとシャワーに行っちゃってた。


背中を流してくれながら、烈が面白そうに喋ってる。


「ナナって、俺よりずっとデカいのに、なんだか子犬みたいなんだよね」


へ?

...まぁ、どっちかって言うと、猫より犬だろうな。

そう言ってる烈は、限りなく猫っぽいよね。
高校の時、よく思ってたもん。

警戒心が強くて、プライベートスペースがないとストレスが溜まる。
なかなか人には甘えてこないとこも、なんか猫っぽいと思ってた。

そういうの、すっかりなくなってたから、忘れてたな。
まぁ、今の烈も、犬のイメージはないか。
人懐こい猫?って感じだよね。



髪の毛を乾かして、冷蔵庫から麦茶を出す。
冷たい麦茶で少しは落ち着くと思ったのに。

烈が飲んでる姿を見て、またドキドキがやってくる。
口の端から零れたのを舐めとる舌が、エロ過ぎるんだって...。

そんなの、何度も見てたはずなのにね。
意識しちゃうと、見え方まで変わるなんて、大発見だよ。


「俺が見てるのわかってて、それやってる?」

「ん?何を?」

「無意識なの?それ、外ではやらないでよ、お願いだから」


あー、俺、ヤキモチ妬きなんだな。
まともな恋愛ってしたことないから、わかってなかっただけか。

どーしよ?ガチガチに縛って、嫌われちゃいそうな気がする......。


飲み干したグラスを取り上げて、右手でシンクに置いた。
左手は、しっかり烈の腰に回ってる。

抱きしめて、耳元で「好き」って囁くと、烈はその度に頷いてくれる。

最高に幸せって、こういうことなのかもしれないね。

体中に、「好き」と「嬉しい」が、次から次へと湧いてくる。






「も...無理....」


烈が、クタッとへたり込んだ。

白い体には、俺がつけた痕がたっくさん。

あー、ワイシャツでギリ隠れるかな?
後で、烈に叱られちゃうかも。

冷静になっても、烈が可愛いのは変わらない。
さっきまでのドキドキが消えてって、今度は、ジワーっと温かいものが広がってくる。


これが、俺の、彼氏。

ずっと、一緒にいたい、相棒。


隣に寝転んで頬を撫でると、烈が嬉しそうに笑ってくれた。

好きだよ、そう言おうとした瞬間、お腹がぐぅと音を立てた。

烈が吹き出して、笑ってる。
カッコ悪いなぁと思いつつ、俺も可笑しくなって笑う。

時計を見れば、午後三時を回ったとこ。

うっわ、お腹減るはずだよ、昼食べてないもんね。


「ちょっと待ってて。何か買ってくる」

「うん、ありがと。お願いしていいかな」


だるくて動けないんだろう、珍しくお願いされちゃった。
額にキスを落として、エアコンの温度を上げておく。

軽くシャワーを浴びて、近所のコンビニへ。
晩御飯のことを考えると、おにぎりよりはパンの方がいいよね。



サンドイッチや菓子パン、野菜ジュースに冷たいコーヒー。
買って戻ると、烈はシャワーを浴びたところ。
シーツも換えてくれてたみたいで、洗濯機が回ってる。


「大丈夫?つらくない?」

「ちょっと、腰がガクガクするかな。
 でも、動けるよ。買ってきてくれて、ありがとね」

「食べよ、お腹すいたでしょ」


ダイニングテーブルで、二人ともパンをがっついた。
さっきまでの甘い空気なんか忘れちゃってるみたいで、少し心配になる。


「心配しないで。夢じゃないからね」

「また、俺の頭の中読んでる...」

「ナナ、わかりやすいもん。見た目とは違ってさ」


あ、そうだった。

第一印象裏切るってよく言われるし、仲良くなったヤツには、すぐ読まれる。

会社で顔に出さないようにしなきゃ...。
気を抜くとニヤニヤして、加藤辺りにツッコまれるのは目に見えてるし。




「んーとね、恥ずかしいかもだけど」


食べ終わった烈が、おずおずと言ってくる。
何?俺、烈の言うこと、何でも聞くよ!
ずっと我慢してくれてたんだもん。

それに、好きな人には、喜んで欲しいじゃん?


「来週、スタジオ行くでしょ?みんなには、報告したいんだよね」

「.........」

「あ、ナナがイヤなら、内緒でいいよ!」

「いや、恥ずかしいとは思うけど、報告はしないといけないよね。
 みんなには、世話になってるんだし、どうせバレるだろうし」


烈が困った顔になった。

ってことは...もしかしてさぁ、もうバレてるの?

俺たちがゲイなのを、みんな知ってるのは知ってる。

だけど、烈が俺のこと好きだとか、俺が鈍くて振り回してるとか、さ。
知られてるとしたら、恥ずかしさが倍増するんだけど......。


「うん、笙と要は気づいてた。愚痴聞いてもらったこともある。
 由人には、本気で告られた時、理由を話して断ったよ。
 昇平はどうかなぁ。「二人でくっついてまえ」とか笑ってたけど」

「え?由人に告られたの?!」

「...去年、ナナが出張だった時、二人で晩御飯食べたんだ。
 その時に、真剣な顔して「腐れ縁はオシマイにしろ、俺じゃなくてもいいから」って。
 俺のこと本気だったから、心配してくれたんだと思うんだよね。
 だから、真剣に答えなきゃって、全部話した」


パパパッとメンバーの顔が、頭に浮かんだ。

昨日と同じくらい、いや、もっとか?!
自分の鈍さが恥ずかしくて、転げ回りたくなる。


..................。


あっちこちに飛んだ意識を、深呼吸で落ち着かせる。
目の前の烈は、心配そうな顔してる。


「ごめん。ほんっと、ごめんね。
 俺が鈍いせいで、烈にもみんなにも、すっごい迷惑かけてたね」

「もう、謝らなくていいんだって。
 ナナが鈍いのは、みんな知ってるんだし、それが悪いとも思ってないじゃん!
 俺だって、ナナがどうするのか待ってるつもりだったのに、つい言っちゃったしさ」

「言ってくれて、よかったと思う。
 じゃないと、いつまでもわからなかったかもしれないしさ」


次の言葉を口にしようとして、背筋が寒くなった。

あのまま、烈が言わなくて、俺が鈍いまんま傷つけ続けたとしたら......。
烈は、いなくなってたかもしれないってことじゃん!!



「......諦めないでいてくれて、ありがと」



四年前の、あの淋しさと嬉しさを思い出して、涙が膝にぽとりと落ちた。











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ 3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ 3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ 3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ 3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ 3kaku_s_L.png Time After Time
総もくじ 3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ  3kaku_s_L.png Time After Time
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【千紫万紅 2】へ
  • 【千紫万紅 4】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【千紫万紅 2】へ
  • 【千紫万紅 4】へ