「True Colors」
黒白分明

黒白分明 11

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烈に付き添ってもらって、タクシーで帰った。
まだ少し気持ち悪いけど、マンションに着く頃には、吐き気は治まってきた。

烈が自販機でポカリを買って渡してくれたから、ちびちびと飲む。
すぐに眠れそうになかったから、着替えだけして、リビングのソファで。



「下手したら、死んじゃうとこだったんだよ」


烈が、紅茶を淹れて、隣に座ってきた。
怒ってるの半分、安心したの半分な、烈の声。
ほんとに心配させちゃったんだ。


「ごめん。どうしていいか、わからなくなっちゃってさ。
 酔っぱらいの対応って、難しいね」


謝りながら、大げさなことになっちゃったことに、また反省。
何より、烈にこんなに迷惑も心配もかけるなんて...俺、進歩ない。


「ずっと、昇平が庇ってくれてたから、絡まれなくて済んでたもんね。
 うちみたいに、飲み会苦手なタイプばっかだと、すぐにお開きなんだけど。
 ナナのとこは、ノリが違うみたいだし」

「んー、勧めてきたのって、女の先輩なんだよね。
 だから、余計にわかんなくなっちゃった」



烈が目を丸くして驚いてる。
中川係長は、名前しか言わなかったから、まさか女だとは思わなかったんだろう。

ちょっと考えて、心底嫌そうな顔をした。
自分がそうなったらって、想像してみたのかな。



「...そんな状況だったら、俺も飲むかもしれない」


ああ、やっぱり。
シミューレーションしてみて、自分だったらって考えたんだ。



烈は、女の子と喋れるようになってはいるけど、触られると鳥肌が立つ。
笙ぐらいじゃないかな、肩叩かれても平気なの。

これは生理的なモノだから、どうしようもない。
男性恐怖症の女の子だって、男に触られるとダメらしいじゃん?


俺は、ゲイだけど、女性嫌悪とまではいかない。
関わるのがめんどくさかったのは、野郎も同じだったしね。

笙に、ガツンとやられてからは、きちんと向かい合うようになった。
元々、お袋と姉貴が大好きだから、それも大きいと思う。


でも、烈は、鈍い俺とは違う。

お袋さんのことを、強烈に嫌ってる。
女兄弟はいないし、小さい頃から、友達もほとんどいなかった。
うちの姉貴とは喋れてたけど、姉貴が踏み込まない性格だったからだ。

今の勤務先も、オタク率が高くて、野郎ばっか。
笙が勧めたのは、それもあるっぽい。




「まぁ、慌ててたらしいから、もう無理には飲ませないんじゃないかな。
 っつーか、そうしてほしいよ、マジで」

「うん、俺も祈っとく。電話もらった時、血の気が引いたよ。
 真っ青な顔で寝てるナナ見て、泣きそうになったしさ。
 意識が戻るまで、気が気じゃなかったもん」


思い出したのか、烈が泣きそうな顔してる。
申し訳なさと嬉しさが、ブワーって湧いてきて、思わず、ギューっとしちゃった。


「もう二度としないから、安心して。
 烈がいてくれて、ほんとに助かったよ」

「ん、風呂やシャワーは、明日にしてね。
 中で倒れたら、大変だから」


んって、返事した後に、思いついたことがあった。
慌てて、顔を離して、烈にお願い。


「今日のこと、昇平にも笙にも内緒にしてくれる?!
 あいつら、心配しまくって、何かしそうなんだもん」

「んー、対処法を教えてもらう方が、いいとは思うけど...。
 ナナが心配かけたくないのもわかるし、今回だけね」

「ありがと!烈、大好き」


烈の頭に頬ずりしたら、腕が回ってきた。
普段、烈はされるがままで、自分からは何もしないから、しがみつかれて、びっくり。




「次は、すぐに報告するからね!
 ギチギチに〆られるの覚悟してよ?」


しばらくじっと抱きついた後、そう言って烈は離れた。
俺が、ブンブンと頷いてるのを見て、くすっと笑う。


「んじゃ、俺は寝るね。
 ナナも、すぐに寝るんだよ」

「おやすみ。ほんと、ありがとね」


烈が自分の部屋へ入ってくのを見送って、ポカリを飲み干した。
言われた通り、さっさと寝た方がいいよな。

とりあえず、トイレ行って、歯磨きして。
シャワーは諦めて、絞ったタオルで軽く体を拭いた。

ベッドに入る頃には、気持ち悪いのも完全に治まって、どっと疲れと眠気が襲ってきた。




翌日、目が覚めたら、もう昼近くて。
洗濯しようと思ってたのに、烈に先越されてた。

とにかく、シャワーを浴びて、動けるようにならなきゃ。
烈は、どこかへ出かけたのかな。気配がしないけど。


シャワーを終わらせたとこへ、烈が帰ってきた。
どうやら、近くのコンビニに行ってたみたい。


「今週、俺が洗濯当番じゃん!」

「来週やってくれればいいよ。うどん作るけど、ナナも食べるでしょ?」

「あ、俺が作る!それぐらいはやらせてよ」


今度こそ!と思って、台所を占領。
冷蔵庫を開けると、昨日買ったのか、かまぼことタマゴがあった。

野菜室のエノキやニンジン、キャベツも使って、月見あんかけにしようっと。

乾麺のうどんを茹でる間に、野菜やかまぼこを切って炒める。
めんつゆをお湯で薄めて、茹で上がったうどんの湯を切って、丼へ。
炒めた野菜に味付けして、最後は片栗粉を水で解いて、回しかける。

熱々のあんかけにタマゴを乗っけて、出来上がり。

昨夜から、まともに食べてないせいか、お腹の虫が騒いでる。
我ながら、美味く作れたんじゃないかな。



「烈ー、できたよー」


声をかけると、烈もお腹が空いてるらしくて、飛んできた。
丼を見て、嬉しそうな顔。

うん、その顔見るの、俺、大好き。
昨日みたいな心配そうな顔は、もうさせちゃいけないよね。



「美味しそう!こういう風に、冷蔵庫の中身で手早く作れるの、すごいよね。
 俺は、きちんと材料揃えないと作れないもん。
 うどんも、月見しか思いつかなかった」

「烈もすぐ慣れるって!
 ほら、冷めないうちに、食べて食べて」


まだ暑いとまではいかない、ちょうどいい季節。
二人で、熱々のうどんを、フーフー、食べる。


「めんつゆって便利だよな、煮物にも使えるしさ」

「うん、ナナに料理教えてもらったレシピで、きちんと作るのも楽しいけどね。
 就職してからは、時間短縮になるから、めんつゆは必需品になった。
 最初のうちは、それも無理だったこと考えると、俺はまだマシだよ。
 遠慮しないで、俺にもっと頼ってよ」

「えー、頼りっぱなしになるの、悪いじゃん。
 俺、要領悪いから、まだしばらくは遅くなると思うよ」

「俺がまともなモノ食べたいの。一人分も二人分も、手間変わらないしさ。
 外で食べて帰った時は、朝食べるか次の日に回すから、大丈夫!」 


二人とも忙しかったから、晩御飯は、ずっと外食かコンビニだったもんね。
味に無頓着だったのに、昇平の影響で、俺も烈も、お子様舌じゃなくなってきてる。



「俺が余裕が出て来る頃には、笙が帰ってくるよね。
 あの寿司屋に、また集まろうよ。
 まだ、昇平の親父さんとお袋さんに、プレゼントも渡してないしさ」



俺の言葉に、ニッコリ頷きながら、烈がうどんを食べてる。

何の変哲もない、普通の休日なんだけど、すっごく幸せな気分になった。











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