「True Colors」
黒白分明

黒白分明 7

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学生最後の旅行は、野郎五人で和歌山へ。
要のことを考えて、安めの旅館に一部屋で雑魚寝だった。

夕陽も見れたし、温泉も堪能!
魚が美味くて、初日からご機嫌続き。

二日目は、パンダを見に、テーマパークへ行った。
予定を組む時、高野山と、どっちがいいか話し合ったんだけどさ。
パンダが去年生まれてて、もう見れるって聞いて、烈が行きたいって。

上野と違って、ゆっくり見れるらしいんだよな。
そう言えば、上野動物園に行った記憶はあるけど、パンダってよく覚えてない。

実物見ると、子どもはほんとにぬいぐるみみたいでさ。
人気があるのわかるよ、うん。
大人になったのは、よく見ると目つきが怖かったりしたけどね。

あ、ラッコもいたんだよ。
なんか、予想してたより、すっごく大きくて驚いた。
テレビで見て、可愛らしいイメージしかなかったからさ。
あんなデカいんだって、俺と烈が驚いて、要もじーっと観察してた。

昇平と由人は、何度も来たことあるから、俺たちが驚いてるの笑って見てた。



ほんっと、楽しかったなぁ。


昇平ん家と由人ん家、姉貴と兄貴に土産を買って。
そういうのも、楽しかったんだよ。
買い物なんか、めんどくさいとばかり思ってたけど。
ハワイ以来、土産を買うのが楽しくなった。

喜んでくれるかな、何が合うかな。
親しい人へ贈る物を選ぶのって、すっごく楽しいんだ。
そんなことも、こいつらと一緒に過ごしてくうちに、染み付いてたな。





「次は、みんなが落ちついてからやなぁ。
 しばらくは、無理やろけど、また行こな」


帰りも、交代で運転した。
眠ると危ないから、音楽流しながら、ワイワイ喋ってた。

昇平が、明るく言い切ったから、四人で「とーぜん!」って答えて、大笑いして。


「笙が帰ってきたら、一緒に行きたがるやろな。
 その時は、要と一部屋やな」


由人がからかうようにそう言っても、要は「そうだねー」って頷いてる。
焦ると思ってたから、みんな、肩透かし食らってる。


「言うようになったなぁ」


昇平が感心してると、要が不思議そう。


「いや、だってさ。いくらみんなを信用してても、笙だって嫌がるだろ?
 着替えとか見られるのとかさ。だからって、一人で一部屋は高いし」


要の返答に、昇平が吹き出した。


「俺ん家で雑魚寝してたけどな、高校ん時までは。
 さすがに、卒業してからは、ないわ」

「それ、俺が注意したんやって。
 あいつ、仲間内やと、自分のこと女やって忘れてるやろ。
 彩香ちゃんおれへんかったら、向こうのバンドメンバーとも雑魚寝してたからな。
 いい加減に自覚せぇて、つい説教してもうた」


昇平と由人の話を聞いてて、笙らしいなって思う。
烈や俺が、あいつと仲良くなれたのは、そういう部分が大きいし。

すっごく女らしくて、すっごく男らしいんだよ。
矛盾するようだけど、あいつには当てはまるんだ。


「サークルで一番の男前だよね。
 でも、サークルで一番、女らしい気もする」


俺の頭の中を、烈がそのまま喋ってて、思わず拍手しちゃった。
みんなも同意して頷いてるから、やっぱ正解。



俺の配属先は、梅田にある大阪本社の総務課に決まった。
内示が出たから、すぐに烈と昇平に報告して、引越し先を探した。

俺たちの希望通りの場所で、昇平がツテを使って探し出してくれた。

2LDKで、家賃は八万円+共益費三千円。
日当たりは悪くて古いけど、駅には近いし、内装は新しくなってて、烈も満足。
地下鉄もJRも使えるから、かなり便利な割に、周りは寺が多くて静か。

契約も済ませて、研修が始まる前には、引っ越し予定。

旅行の計画や予約と平行して、昇平が大活躍してくれた。
ほんと、感謝感謝だ。




「帰ったら、七海と烈は引っ越しかぁ。要は、いつから入れんねん?」


交代と休憩で、SAに寄る。
トイレに行き、コーヒーを買って、屋内で少しお喋り。
車の中で、さんざん喋ったのに、みんな元気で、まだまだ喋る。
ま、一番喋るのは昇平だったりするんだけどさ。


「空いてるのは空いてるから、いつでもいいらしいんだけどね。
 引っ越しちゃうと、バイトや大学遠くなるから、卒業式の後かな」

「ほな、三月中旬か。俺以外は、みんな研修やな。
 まぁ、荷物は少ないから、俺だけで充分やろ?」

「そうだね。家具や家電は、直前に買って寮に配達してもらうし。
 専門書は、全部処分するから、荷物は少ない。
 昇平には悪いけど、ワゴン出してもらえば、一度で終わるよ」


サラッと言ってのけて、俺たちは驚いて固まった。

あの本、全部処分するわけ?
研究者にはならないんだから、必要ないのはわかるけどさ。


「口頭試問までに、コピーは後輩や研究室に渡すことにしてる。
 よく行ってた学術書専門の古本屋にも、相談したら、引き取りに来てくれるって。
 仕事に必要な本が置けなくなるから、処分するしかないんだ」

「...買い叩かれたりすんなや。俺が立ち会おか?」


昇平が言い出すのも無理はない。
あんなに必死でバイトして、集めた本じゃん。
安く買い叩かれるなんて、俺だって許せない。
要は善人だから、足元見られたりしそうだもん。



「あ、大丈夫だよ。笙の知り合いの店だから」


その一言で、四人ともほっとした。


「ああ、光陽堂か。あそこなら、大丈夫やな」

「せやな。あそこのおっちゃん、昇平んとこおっちゃんといい勝負で、笙のファンやしな」


昇平と由人のやり取りを聞いて、烈が安心したのか、ニコニコと笑う。
俺は、さっきのほっとした空気も可笑しかったから、ガマンできずに吹き出した。


「いないのが不思議なくらい、存在感あるよな、あいつ。
 旅行でも、何度もあいつの話題出たしさ。
 ほんと、昇平と由人が言ってたのは、当たってたなぁ」


笑いが収まって、俺がそう言うと、今度は要がニコニコしてる。
褒められたのが嬉しいんだろうけどさ。
普通は、野郎が自分の彼女のことばっか話してたら、ヤキモチ妬かないか?
そこら辺も、似た者同士だよな。



「お前らなんか、まだ二年も経ってへんやんか。
 俺らなんか、小学生のちびの頃から、見せつけられてきてんぞ。
 あんなネタだらけのヤツ、他におるか」

「せやなぁ。俺かって、親に比べられてしんどい時あったし。
 宗次郎さんなんか、めっちゃ説教されてて、気の毒になること何度もあったで」

「あっこは、差がありすぎんねん。
 宗次郎さん、言うたら悪いけど、天然通り越してるからな」


ああ、兄貴が言ってた。
ルイに〆られたりしたんだっけ、宗次郎さん。




「さて、もうひと踏ん張り。大阪に帰るか」


昇平が立ち上がったのを合図に、みんなも立ち上がる。
晩御飯は、以前に連れてっていってくれた、大阪南部の寿司屋に予約してあるらしい。

二泊三日、ほとんど魚介類ばっかだったけど、美味しいせいか、不満はなかった。


「また、あそこの穴子食べられるんだ!
 感動したんだよね、最初食べた時」


烈が、弾んで車へと戻ってる。
一本の穴子をシャリにぐるっと巻いた穴子は、香ばしくて美味しかったよね。

グルメな昇平が計画しただけあって、最後まで食事には手抜かりなし。
要も由人も、空腹になってきたのか、車に急いでるのが可笑しかった。











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NoTitle

楽しい思い出が出来て良かったねー!
魚介が美味しかった? 日本人は昔、動物タンパクのほとんどが魚。よーく分かったんじゃないのかなあ(笑)。
こっちも美味しいものがたっくさんあるよ。

・・私も卒業旅行、行けばよかったな。  それにしても。笙さん、半端ないッ!!

帰ってきたら、どれだけバージョンアップしてるのかしら?

Re: NoTitle

笙、いないのが嘘みたいに、話題の中心(笑)

和歌山南部、大阪では身近な観光地です。
温泉やテーマパーク以外に、梅林があったりして、外国人旅行客にも人気があります。

是非、機会があれば行ってみてください。
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