「True Colors」
黒白分明

黒白分明 6

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無事、ゼミレポート提出も運転免許も、コンプした。

あっという間に、年末に入って、要は卒論の仕上げとバイトに忙しい。
卒論を提出済みの昇平と由人が、お袋さんの作ったおかずやなんかを差し入れしてる。

ほんと、この二人はよく気がつくし面倒見がいいんだよな。
二人に聞くまで、俺も烈もそこまでは思いつかなくてさ。
協力できることは何だろうって、二人で考えてみた。


卒業旅行は、もう昇平が計画してる。
昇平ん家のワゴンを、交代で運転して、久しぶりの和歌山観光。
二泊三日の日程で、旅館も予約済。
俺たちの入社前研修が始まる前に、学生最後の旅行を楽しむんだ。




俺たちにできること...


「要のパソコン、作っちゃわない?」


烈の提案に、大乗り気になった。

まず、大前提の予算と最低限必要なスペックを、メールで聞いて、烈と話し合う。

就職先は、白物家電から、AV機器・PCへと軸足を移してるとこ。
烈に教わって、ソフトだけじゃなくハードも、猛勉強してる最中だから、ちょうどよかった。

昇平と由人にも話を回したら、ガンガンに協力してくれた。
社員寮の広さや業務内容といった情報を仕入れては、メールや電話で教えてくれる。
日本橋にパーツを買いに行く時は、車出してくれたりもした。



大晦日は、烈と二人で年越し。
去年に続いて二回目だけど、就職も卒業も決まってるから、ゆったりと過ごせる。

ほんと、去年は先が見えなくて、どうなることかと思ったもん。

二人とも、ガッツリおせちは好きじゃないから、年越しそばと餅だけ用意。
そして、元日は、やっぱり去年と同じように、昇平ん家にお邪魔した。
お袋さんが用意したおせちやオードブルをご馳走になって、すっごく幸せな気分になった。


昇平ん家は、俺や烈が知らない「両親揃って、家族みんなが仲良しな」家庭。
おばさんもおじさんも、「ザ大阪人」って感じで、すっごくお世話になった。
内緒にしてるけど、烈と初給料が出たら、何かプレゼントしようって、計画してる。

もちろん、兄貴と姉貴にも贈るけどさ。


昇平と知り合って、家に誘ってもらったことは、俺たちにとって、すごく大きなことだった。
おかげで、大阪に対する偏見もなくなったし、馴染んでいくこともできた。

最初は、そんなこと思いつかなかった。
だけど、就活を終えて、学生生活を振り返った時、烈と話してて気づいたんだ。
地元民の昇平と仲良くなってなかったら、俺たちは大阪に残る気にはならなかったってね。




「パソコンはどないや?」


ご馳走になって、後片付けを終えて、昇平の部屋でダラダラしてた。
昇平が、烈に進捗状況を聞いてくる。


「うん、昇平の友達が紹介してくれたとこで、かなり安く仕上がった。
 後は、OSとソフトだけだから、余った予算で余裕じゃないかな」

「ほな、俺のセキュリティコード使えばええやんか。
 あいつの負担、軽くなるやろ?」


それ聞いた瞬間、思わず、首を横にぶんぶん振っちゃった。
烈もシンクロしてて、昇平は苦笑い。


「それは、著作権侵害になっちゃうよ!
 要だって、絶対に嫌がると思う」

「そうそう、それに、もし要がうんと言ったとしてもさ。
 笙が帰ってきたら、キレまくるよ」


昇平の苦笑いから、笑いが消えた。
想像してみたんだろう、俺だって怖いもんな。


「ああ、そやなぁ。あの二人なら、そんなんは嫌がるか。
 それに、お前らは、二人とも、そういうことに気ぃつけなあかん業種やもんな。
 軽い学生ノリは、もうあかんねやな」


小さなため息を吐いて、昇平がそう言うと、なんとなくしんみりした。

そうだよな、もう学生じゃなくなるんだ。
バイトじゃない、正社員として、社会人になるんだよな。

あんなに必死だったのに、いざ目前に迫ってくると、不安になってくる。



あれ?でもさ。


「お前は、大学入った頃には、もう先のこと考えて行動してたじゃん」


単純に正直に、そう思った。
俺より、ずっと大人で、将来を見据えて行動してきたよな、お前は。


「それはそうやけどなぁ。やっぱ、学生やなくなるのは、俺かってデカい。
 もっと本気出さなあかんやんか。当たり前やけどな」

「立場が違うもんね。俺たちは、ただの新入社員。
 昇平は、未来の社長さんだもん。プレッシャーはきついよ」


昇平が答えて、烈が相槌を打って、俺は頷いて。
やっぱり、まだまだ考えが浅いって、反省する。


「あかん、新しい年の始めから、暗い顔になってもうたな。
 景気づけに、初詣でも行くか」

「お、いいね。由人も誘う?」

「じゃあ、メールしてみるね」


いつものように、サクッと決まって、それぞれが動く。
要を誘えないのは残念だけど、あいつの分も御守買おう。

あ、笙の分も買っておくかな。
あいつの言った通り、あっという間に半年だもんな。
パワーアップして帰ってくるのも、あっという間に違いない。


「要と笙の分、御守買おうよ」

「わかってるて。あったりまえやんけ」


さっきのしんみりが恥ずかしかったのか、ちょっと濃い目の大阪弁。
未だに、どこの地域がどう喋るのかは、わかってはいない。
それでも、昇平がそういう口調の時は、照れ隠しなのはわかる。

たまに「オジサン臭い」喋り方するのは、無意識らしい。
おじさんのお供をして、あちこち顔を出してるんだから、染まってくのは当たり前。

俺も、いつかはそうなるんだろうな。
Arixでの面接や手続きの時のことを思い出して、自分でも笑えてくる。


「また、何を笑てんねん?」

「いや、俺もお前みたいな喋り方になってくんだろうなって。
 考えだしたら、笑えてきてさ」

「ああ、お前、東京弁のまんまやけど、アクセントは、おかしなってきてるもんな」



ええ??

マジ?!


慌てて烈を見ると、深く頷いた。


「うん、東京に戻ると普通なんだけどね。
 大阪に帰ってくると、アクセントおかしくなってるよ。
 俺もそうなってるから、気づかなかっただけじゃない?」

「ぜんっぜん、気づいてなかったよ。
 ...まぁ、でも、周り中が関西アクセントなんだから、影響されてもおかしくないか」

「バンドマンのくせに、音に鈍いて。どんな耳してんねん」

「俺のリズム感は、バンドの誰よりも正確だってば!
 ドラムなんだから、それでいいだろ!!」


自分でも、変な抵抗してるとは思ったけど、なんとなく悔しくてさ。
なんとか反撃しようと、言葉を探してた。

昇平がニヤニヤして俺をからかってるの、烈が我慢できなくなって笑いだして。

その声が、すっごく明るくて楽しそうだったんだよね。
聞いちゃうと嬉しくなって、「ま、いっか」って気になった。


「見てろよ。いつかは、立派な「大阪のオジサン」になってやるからな!」

「どんな宣言やねん、それ」


昇平が、ツッコミながら吹き出した。


「うし、俺の勝ち!」


あ、こんな価値観も、影響されてるってことだよな。
意識してなかったけど、やっぱ、環境って怖い......。











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