「True Colors」
黒白分明

黒白分明 2

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大学は週一、それ以外は、バイトと自動車学校。
どっちかが、厳しい教官に当たった日は、愚痴って発散。

夏休みが終わって、涼しくなってきて、もう長袖かなって日。
神崎さんから電話をもらった。


『予定日より早くて焦ったけど、無事、生まれたよ。
 女の子で、千秋も子どもも元気だから、心配しないで』

「......よかったぁ。おめでとうございます。
 会いに行くとしたら、いつぐらいがいいんでしょう?」

『次の連休には、退院して落ち着いてると思う。
 是非、顔を見に来てやってくれるかな。
 千秋も会いたがってるし』

「お母さんの体調はいかがですか」

『再発したのが嘘みたいに、元気だよ。
 孫フィーバーで張り切りすぎないように、父や弟たちが宥めてるくらいだ』



よかった、ほんとに。

子どもが無事に生まれたのは、もちろん、嬉しい。
そして、神崎さんのお母さんが元気で、喜んでくれるのが、嬉しさに拍車をかける。

姉貴のこと、すごく可愛がってくださってるのは、姉貴本人から聞いてた。
姉貴も、親がいない分、神崎のお母さんとお父さんのことは、大事にしてるし。

お袋が死んだ時のことを思い出す。
あの時の恐怖と不安と悲しみを、神崎さんや弟くんたちが抱えなきゃいけないんだよな。

誰だって死ぬのは、当たり前のことだけどさ。
できるだけ、できるだけ、遠い先であればいいと思う。

弟くんたちは、あの時の俺や姉貴の年に近いから、余計に思うのかもしれない。





連休に、会いに行く約束をして、電話を切った。

リビングに戻ると、烈が心配そうな顔して、俺を見てる。


「ナナ、どうしたの?なんで、泣いてるの?」


うわ、俺、泣いちゃってた?!
カッコ悪いなぁ、目頭が熱いなとは思ってたけど。


「ん、姉貴のとこ、無事に生まれた。女の子だって」

「よかったね!おめでとう。姪っ子かぁ。
 お祝い持って、会いに行くんでしょ?」

「次の連休にお邪魔することにしたんだ。
 烈も一緒に行ってくれる?」


少し首を横に傾げて、不思議そうな顔。
ああ、ちゃんと話してなかったな。


「最後に帰省してから、烈とはずっと会ってなかったじゃん?
 内定決まったら、一緒に遊びに来いって言われてたんだよね、姉貴から。
 子ども生まれたばっかだから、何かできるわけじゃないけど。
 顔見て、きちんと礼が言いたいらしいよ」


説明すると、パチパチと瞬きをしてて、余計に混乱してるっぽい。
覚えてないのかな?兄貴も姉貴も、烈にすっごく感謝してるって話。


「烈がいなかったら、俺は大阪で一人、生活できなかっただろうって。
 他人との共同生活を通して、他に友達も作って、就活も踏ん張れた。
 兄貴も姉貴も、そう思ってるんだよ」

「いや、前にも言ったけどさ。俺の方がもっとヤバかったんだってば。
 だから、感謝するのは、俺の方じゃん!」

「ん、また堂々巡りになるから、この話はここまでね。
 とりあえず、連休はつきあってくれる?」


スパンと、俺が話を切り上げたから、まだ納得してないっぽいけど。
姪っ子に会いに行くのは、頷いてくれたから、それでいいか。


「ハワイで買ったベビー服、送らないとね。
 大量だから、荷物になるでしょ」

「そうだよな。あ、お前は、家に帰る?
 俺は、ホテル予約するけど」


もう、俺には帰る家はない。
泊まっていけって言われるだろうけど、姉貴の家も神崎さんの実家も、気を遣う。

日帰りするのは、ちょっと面倒だし、久しぶりに東京で遊びたいのもある。
連休だから、取りにくいかもだけど、多少高くてもなんとかなるし。



烈は、これ以上ないくらいに顔をしかめて、首を横にブンブン振ってる。
お袋さんにキレて以来、一切、連絡取ってないまんまか。


「じゃあ、ツインでホテル探すか」


俺の提案に、ニコッと笑って、自分の部屋へと入っていく。
あれ?と思ってたら、振り返って、手招き。


「ネットで予約した方が安いんだ。一緒に探そう」


あ、そうか。そういうサイトがあるって、前に言ってたよな。
ADSLにしてから、回線早くなったし、料金気にしなくて良くなったんだっけ。

インターネットがすごく便利で、同時に怖いモノだってことは、烈が教えてくれた。




「一泊にする?それとも、二泊していく?」

「烈は、行きたいとこないの?アキバとかさ」

「今のところ、パーツは間に合ってる。
 それに、必要になっても、日本橋で充分だから。
 ナナは、中古盤探しはいいの?」

「んー、気がついたら、アナログは全然聴いてないんだよね。
 次に住むとこは、ここほど防音良くないだろうから、コンポも使わなくなってくんじゃない?」


うん、CD-Rが低価格化して、カセットデッキも必要なくなった。
アナログにこだわるほど、俺の耳は大したことないし。

ああ、DVDも一般化してきたら、VHSも必要なくなっていくんだろうな。

今のパソコンはDVDはROMだけ。
でも、いずれ、DVDだって書き込めるようになるんだろうしさ。
ハードディスクだって、どんどん大容量になってきたもんな。



「そうだよね。俺も、パソコンかiPodでしか、音楽聴かなくなってる」


烈もそうなんだ。
あ、SMS自体が、早くから、ネットやCD化を取り入れてたっけ。
DL販売だって、日本人の多くが、まだ抵抗があるうちから始めてたよな。

元から、コンピュータに興味がある烈にしてみれば、歓迎なはずだし。

SMS、って言うか、エイチの先を読む能力って、やっぱり凄いんだなぁ。


「そういう視点で考えても、SMSって凄いよな」


俺が、つい呟いたら、烈が嬉しそうな顔してる。
好きなバンドを褒められたら嬉しいのは、誰だって同じだよね。


「最初は音だけだったけど、ライブに行ってからは、演出とかさ。
 それに、ライブ用のアレンジだって、あれだけ変わるのも凄いよね。
 知れば知るほど、ハマってくんだよ!」

「俺も、いつか楽屋に連れてってもらいたいなぁ。
 あの笙が「兄貴」って思ってる人だろ?
 話を直接聞けたら、楽しいだろうな」


あれ?烈は、この前、連れて行ってもらったんだよね?
なんで、俺もって顔してるの?


「俺さぁ。この前は、緊張しまくって、悪い癖が出ちゃったんだ...」


ああ、人見知りしちゃったのか。烈らしい。
残念そうにポツリと言うのが、可哀そうなんだけど、可愛くも見えて。


「次の時は、笙に頼んで俺も行くから、大丈夫だって!」


軽く肩を抱いたら、真剣な顔してブンブン頷いてるの。



後で、笙にメールしとこう。

来年以降の話で、笑われると思うけど。


烈が喜ぶなら、鬼にだって笙にだって、笑われても構うもんか。











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