「True Colors」
黒白分明

黒白分明 1

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帰国して、三日後。
昇平と由人に、おみやげを渡すついでに、いつものファミレスで晩御飯。


「七海、あほほど黒なったなぁ」

「烈は、白いまんまやんか。別々に行動してたんか?」


二人は、まず俺を見て驚いて、烈が変わらないことにも驚いてる。


由人も、帰国したばっかで、おみやげ持ってきてくれた。


俺と由人が、それぞれの旅行の話をして、烈が合間に、俺の補足をしてくれて。

今まで意識してなかった、由人と昇平の話し方に注意してみる。


この二人の話題の豊富さ、ボケツッコミ、脱線しても元の話題にすんなりと戻していく、盛り上げる技術。
俺には、全然ないもので、笙の言った通りだよなって、素直に感心した。

あ、感心してるだけじゃ、ダメなんだよな。
すぐには無理でも、少しずつでもいいから、取り入れていかなきゃ。

烈みたいに、業種が決まってるわけじゃない。
もし、営業や広報なんかに回されても、向いてないとか言えないんだからさ。

希望してる総務関係だとしても、日常的にコミュニケーション取れないとキツいよな。
ただでさえ、俺、アルコールが一切ダメだから、条件厳しいんだし。


由人の画像は、イタリアやフランスの風景でいっぱい。
アパレルショップのウィンドウディスプレイが多いのは、俺たちと同じ理由だろうな。


「やっぱ、気になった?」

「まぁなぁ。元々、好っきやしなぁ」


烈が質問してるのに、ちょっと照れくさそうにしながらも、嬉しそうな由人。
それ見てて、なんとなく、心の中がもやっとする。


あれ?
これ、なんなんだろ?


何かが引っかかったんだけど、話が盛り上がってるし、そのまま考えずにいた。




「そう言えば、要は元気?」


昨日、急遽、地元に帰ったって聞いたんだ。
お袋さんの具合が悪くなったのかって、烈と二人で心配してた。


「ああ、卒論の目処がついたんで、お袋さんに顔見せに帰ってんねん。
 年末年始は、バイトで帰られへんよってな」

「そこまで詰めてるの?」

「ああ、卒論書いてて、自分もパソコン必要やって、身に沁みたらしい。
 今は、研究室の使ってるけど、卒業したら、使えんようになるし。
 あいつの仕事も、画像でのデータ管理が必須やし、なんとか買いたいんやと」

「じゃあ、俺、手伝おうかな。
 画像扱うなら、メモリやグラボの増設や交換した方がいいかもだし」


頼もしいなぁって、烈の顔見てた。

俺のも、新しいOSに変えようとしてるとこなんだ。
明日、烈に教えてもらいながら、データ保存と新しいソフトもインストする予定。



昇平が、俺の方見てるのに気がついて、「何?」って聞いてみた。


「お前ら、どこに住むねん?早めに教えとけや。
 シーズン入ったら、すぐに押さえるよってな」

「俺の配属が決まるの、年明けなんだよ。
 可能性としては、梅田か堺の二択なんだけど」

「烈は梅田やから、お前の配属次第やなぁ。
 堺やったら、ミナミか天王寺。梅田やったら、新大阪、江坂辺りか。
 便利で、二人ともが通勤しやすいとこ、ちゃんと探したるからな」


ああ、いっつも、俺たちを気にかけてくれて、面倒見てくれるよな。
根っからのリーダー気質って言うのかな。
笙とそういうとこ、よく似てる。


「ありがとな。世話かけてばっかで、ゴメン」

「あほ言え。ありがたいのは、こっちやっちゅうねん。
 自分らのおかげで、音楽続けられてんし、卒業してもまだ演れそうやんか。
 俺が、どんだけ嬉しいか、全然、わかってへんやろ」


こいつにとって、どれだけ音楽が大事で、仲間が大事か。

たぶん、俺が思ってる以上に、大きなことなんだよな。

オジサン臭いって、よくからかってるけどさ。
それは仕方ないことなのは、理解できるようになったから、許してくれるか。

状況が状況なんだ、俺たちより早く、そうならなきゃいけなかったってことだろ。
だからこそ、俺たちとつるんでる間は、素の自分に戻れる貴重な時間なんだよな。

こいつにとって、音楽だけじゃない、俺たちや笙は、すごく大事なんだって。
くすぐったいけど、メチャクチャ、嬉しい。

今は恥ずかしすぎて言えないけど。
俺も、いつか言うからさ、みんながとても大事だってこと。




俺も烈も、卒論はなし。

代わりにゼミの課題レポートを書いてる。
どう違うのかって話だけど、テーマは決められてるし、枚数もかなり少ない。
要や昇平より、かなり楽してると思う。

四年次必須以外は、三年で取り終えてるし、時間に余裕ができた。
そこで、烈と話し合って、教習所に通うことにした。

引越し費用は、なんとか貯めた。
二人で住むなら、家具や家電は、そのまま使える。
仕事用のスーツは、リクルートスーツと、昇平や由人に見立ててもらったヤツで充分だろう。

由人が俺たちを、入社するアパレルの特別販売会に連れてってくれたんだ。
セミオーダーでも、かなり価格が低くて、でも安っぽくないヤツが買えた。

烈が、最低でもセミオーダーじゃないと合わないから、由人が気を遣ったんだよな。
俺と要はついでに誘ってくれたんだろうけど、それでもありがたかった。

ま、烈は一人だとついていかないの、由人もわかってるはずだしね。




「昇平か由人が車出してくれてたから、俺たち楽してたね」


教習所から帰って、烈がしみじみと話してる。
んで、確かにその通りなんだよな。

大学までは、歩きですぐだし、スタジオまでは、どっちかが迎えに来てくれる。
駅にも近いから、梅田に出るにしても、就活でも、不便な思いはしたことがなかった。

でも、さすがに、普通免許くらいはあった方がいい。
就職してからは、学校に通う時間も余裕もないだろうし。
要は、仕事で必要だからって、会社入ってから取るらしい。
俺たちは、会社からは出してもらえないから、今のうち。

そう考えて通ってるけど、なんだか、烈は凹み気味。


「またイヤな教官に当たった?」


烈は、顔をしかめて、頷いてる。
あー、やっぱり。

俺も当たったことあるけど、言葉遣いがキツいんだよなぁ。
東京弁なのも気に入らないらしくて、ミスるとイヤミもキツい。


『阪大まで行ってて、こんなんも覚えられへんのか』


とか、ガンガン言ってくるから、萎縮しそうになるんだ。


「あのくらいで負けてたら、就職してからキツいよ。
 俺も頑張るから、烈も頑張ろう?
 今夜は、烈の好きなポテトサラダとハンバーグ、作るからさ」


言ってから、小学生じゃないんだからって、自分でツッコミそうになったけど。
烈は、嬉しそうに笑ってくれた。


その顔見たくて、いろんなことしてあげたくなるんだよ。

ずっと、そばにいてくれたらいいなぁ。


...ん?


今の、何なんだ?

最近、こーゆーの多いよな。

自分の感情なのに、よくわからない。
他人に説明どころか、言葉にもできない。


ま、いいか。
とりあえず、今は、烈が隣にいてくれてるし。











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