「True Colors」
黄道吉日

黄道吉日 11

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出国手続きも入国手続も、烈の後ろをついてって、問題なし。
飛行機でゆっくり寝てたし、思ってたより、疲れなかった。

ホノルルに着いて、到着フロアに出たら、俺の名前が書かれてる紙を持ってる人がいた。
迎えの人だよなって、そのオジサンに近づいていって、ご挨拶。


「村尾七海です。こっちが、友達の江藤烈」

「ようこそ。私は、村尾様の担当の橋本です。
 ご滞在中、楽しんでいただけるよう、努めます」


橋本さんの他にも、もう一人オジサンがいて、俺たちのスーツケースを運んでくれた。

コンドミニアムは、空港から三十分くらいのとこ。
リムジンの中で、橋本さんが、いろいろ説明してくれた。

兄貴が教えてくれた通り、何も不自由しなさそうで、一安心。




夜十時過ぎに出発して、到着したのは、現地時間午前十一時。
時差は十九時間だから、日本では翌日の朝六時になるんだよな。

混乱しそうになるけど、別にガッツリ予定を組んでるわけでもないし。
すぐに慣れるんじゃないのと、気楽に構えてた。


コンドミニアムは、ビーチのすぐそば。
部屋も最上階のオーシャンビューだから、景色は最高!

ドーンと青い海と空が、目に飛び込んでくるんだよ。
部屋に案内してもらって、二人とも思わず叫んじゃった。


コーヒーが運ばれてきて、二人でとりあえず飲む。
部屋は広くて清潔だし、烈も満足そう。

んー、でも、烈の顔色が、あんましよくない気がする。
俺より体力ないし、神経質だから、飛行機では寝られなかったのかも。


「烈、ルームサービスで昼御飯頼んで、食べたら一休みしよう」

「ん?ビーチとか周りの探検するんじゃないの?」


ここで、疲れてるんじゃないかって言っちゃうと、烈は遠慮する。
兄貴に出してもらってるんだから、俺のやりたいこと優先だって考えるから。


「えっと、結構、寝たつもりだったんだけど、時差ボケなのかなぁ。
 部屋で落ち着くと、どっと眠くなってきたんだよね」

「そっか。じゃあ、何食べたい?」


お、見破られなかった。
俺も少しは進歩したかな。

烈が、メニューをパラパラとめくりながら、提案してくる。
日本人が多いだけあって、和食も載ってる。
でも、せっかくだからって、ハンバーガーを頼んでみた。


皿にドカンと乗ったハンバーガーに、俺が驚いてると、烈が笑う。
ハードロックカフェで食べるのより、まだデカい!!
フライドポテトも山盛りついてきた。

ファーストフードのみたいに、かぶりつくのは断念。
ナイフで切り分けて、パンの上に野菜とハンバーグ乗っけて食べてみる。
しっかり肉の味がして、すっごく美味しい。
烈も、美味しそうにパクパク食べてて、嬉しくなった。


「食事は、心配しなくてよさそうだね。
 ま、俺たち、昇平や笙みたいに、グルメじゃないしな」

「うん、俺もナナも、まだまだお子様舌だしね」


焼肉やステーキより、寿司や懐石が好きな昇平と笙。
寿司も懐石も嫌いじゃないけど、俺たちは、ガッツリ肉が食べたい派。
要と由人は、好き嫌いがないし、何でも美味しいって食べてる。

特に、要は、出てきたモノは、残さず綺麗に、行儀よく食べる。


烈との共同生活がうまくいったのは、食べ物の好みが似てるのも大きいよな。
どっちかにこだわりがあると、難しかっただろう。


食べ終えて、コーヒーを飲んでたら、烈の顔色は良くなってきた。
ただ、やっぱり飛行機では眠れてなかったんだろうな。
眠そうな顔をしては、あくびを連発してる。


「烈、ベッド行こう。軽く昼寝したい」


よっぽど眠いのか、ん、と頷いて、素直についてくる。
メインのベッドルームには、キングサイズのベッドが一台。

先に寝っ転がると、隣にコロンと横になって、すぐに寝息を立て始めた。
仕草も寝顔も、すっごく可愛くてさ。

ちょっとドキドキしたけど、ここは寝かせてあげなきゃな。

寝顔見てるうちに、俺も眠くなってきて、いつの間にか寝ちゃってた。




目が覚めると、烈が隣にいなかった。

眩しくて窓の外を見ると、夕陽が差し込んできてる。
ベランダには、烈が立ってて、夕陽を眺めてる。

俺もベランダに出て、烈の隣に立った。


「すっごく、綺麗だねー!
 親に連れられてきた時は、こんなに綺麗だとか思ったことなかったなぁ」

「そっかあ。俺は、水平線に沈む夕陽なんて、初めてだ」


うん、東京にいる時は、旅行なんて余裕なかったもんな。
経済的に大丈夫になっても、兄貴は忙しいし、姉貴と二人って、なんか照れくさかったし。

大学に入ってから、みんなで和歌山に行った時は、天気が悪くて見れなかった。
あの時、絶対にまた行こうって、夕陽を俺に見せるって、昇平が悔しがってたな。

俺が海に沈む夕陽を見たことないって話から、和歌山行きが決まったんだよね。
いつものように、昇平が仕切って、車出してくれて、要と烈と四人で温泉にも行って。

夕陽は見れなくても、すごく楽しかったの覚えてる。




「初日から晴れて、綺麗な夕陽見れたの、ラッキーだったね」


空がオレンジと青のグラデーションから、群青、闇に変わるのを、二人でじっと眺めてた。
完全に日が沈んで、暗くなってから、屋内へ戻ると、烈が嬉しそうに言う。


「幸先がいいってことだよね。明日からも楽しみ」


俺の返事に、ニコニコと頷く烈が、メチャクチャ可愛くて、またドキドキする。

家族みたいなものなのに、こんなにドキドキしてるの、なんか変じゃない?
いや、家族とセックスはしないけどさ。

でも、烈は、兄貴や姉貴と同じくらい大事な、俺の家族なんだけど。




「昼に、あんな大きなハンバーガー食べたのに、もうお腹空いてきちゃった。
 夜は、外に出る?確か、この近くに美味しいステーキハウスあるよ」


烈に話しかけられて、我に返った。
考えてたことは、脇に置いて、この旅行を楽しむことに意識を向ける。


「うん、コンシェルジェに予約頼んで、車出してもらおうか」

「歩いても、そんなにかからないよ」

「あ、じゃあ、探検も兼ねて、歩いて行こう」


烈が一緒でよかったなぁ。

予約だけをコンシェルジェに頼んで、返事を待った。
人気店だから、予約なしでは厳しいって、ガイドブックに書いてあったんだ。


『三十分後に、二名で予約できました』


お礼を言って、電話を切る。
ランチ前に、軽くシャワーは浴びたから、着替えるだけでいいか。


「貴重品は、きちんと金庫に入れておいてね。
 大金は持ち歩かない方がいいよ」

「うん、わかった。食事の分だけ持ってく」


ああ、ほんとにいつもとは逆で、烈が頼もしくて安心。


ビーチ沿いの道を歩きながら、さっきの夕陽の話をしてた。
烈が、何か思い出したのか、小さく声を上げた。



「昇平がね」

「うん、どしたの?」

「全員の卒業が決まったら、また白浜行こうって。
 研修前に二泊くらいなら、俺たちも行けるだろって」


昇平、覚えててくれたんだ。

ジーンと来て嬉しかったけど、なんとくなく照れくさくて、黙ってた。
烈は、気にせずに、話を続ける。


「今度は、みんなで夕陽を見れるといいね」











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