「True Colors」
黄道吉日

黄道吉日 10

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ハワイ、ハワイ、ハワイーーー!!


生まれて初めての海外旅行だから、決めた最初の内は、俺、緊張してた。
でも、よく考えたら、日本語通じるらしいし、何より、烈は家族旅行で何度か行ってる。
心配しなくていいってわかったら、途端に舞い上がった。

そこら辺も、俺の悪い癖なんだろうけどさ。


伊丹空港までタク使って、関空までのリムジンバスへ乗る。
荷物もあるし、これが一番ラクだから。




決まってすぐに、俺と烈のパスポートを兄貴に送ったら、チケットと一緒に送り返されてきた。
マネージャーさんに頼んで、やってもらったんだろうな。
木下さん、ありがとうございました!

書留で受け取った後、これとパスポートを持って、搭乗手続きするのかって眺めてた。
そしたら、烈が「え゛」って、表現しようのない声で叫んだ。
問題があるのかと思って、烈を見ると、目をまんまるにして、チケットを凝視してる。


「これ、ビジネスクラスじゃん!」

「俺はよくわからないけど、兄貴が、「何時間も乗るから、ビジネスにしとくぞ」って。
 何かマズかった?っつーか、この暗号みたいなチケットで、よくわかったね」

「ほら、ここ。クラスのとこに、Cって書いてある」


へーって感心してる俺に、「そうじゃなくって!」って、烈がジタバタしてるんだけど。
どうしたんだろう?


「こんな時期にハワイ便でビジネスなんて、すっごく高いんだよ?!
 このチケット一人分だけで、パックツアーだと二回は軽く行けるんだって!」

「あー、烈でもビビるくらいなんだぁ。
 ま、兄貴のやることだから、気にしなくていいよ。
 甘えてくれるのも最後だって、張り切ってたからさ」



うん、贅沢なのは、よくわかってるんだよ。
でも、これが最後だから、烈も遠慮しないでくれるかな。

烈と二人だから、兄貴も気軽に出してくれるんだよ。

もっと大人数だったら、さすがに安いチケットだったと思う。
出せないわけじゃないだろうけど、目立ちすぎるだろうし。

何より、烈には、兄貴も姉貴もすっごく感謝してるから。




社会人になったら、もう甘えたりしない。

そう宣言したら、兄貴は淋しそうだったけど、ゴネずに納得してくれた。

どうも、姉貴に、前もって諭されてたらしいんだよね。
就活で四苦八苦してた時に、コネを紹介しようとして、止められたって。


『ななが頑張って成長しようとしてるのに、おにーちゃんが邪魔しちゃダメでしょ』


そう言われて、じっとガマンしたって、笑ってた。


『俺にとっては、いつまでも可愛い弟でも、もう社会人なんだもんな。
 ちぃに叱られて、弟離れしなきゃって、自覚した』

「一方的に甘えたりは、もうしないけど、家族なのは変わらないからね。
 助け合うのは、当たり前じゃん。俺にできることがあったら、すぐに言ってよ。
 兄貴や姉貴の助けになれるよう、早く一人前になれるように頑張る」


カッコいいこと言っちゃったなって、少し恥ずかしくなったけど、これは俺の決意表明。

俺と姉貴が施設に送られずに済んだのは、兄貴が決心してくれたおかげ。
自分は進学どころか卒業も諦めて、向いてない仕事で必死に働いてくれた。

もう、自分だけの幸せを考えて欲しい、そう喉元まで出たけど。
それは、言わないでおいた。



兄貴の片想いは、まだ続いてるっぽい。
だけど、可能性は、限りなくゼロに近い。
コウセイは、奥さんとラブラブで、息子も可愛がってるらしいのは、笙が教えてくれた。

吹っ切れたとしても、今の奥さんと向かい合うことは、難しいだろう。

そして、新しく好きな人ができても、相手がまたノーマルの男だったら...。
兄貴の哀しみと苦しみが、またリピートされるだけ。

できれば、もっと可能性のある相手を探して欲しい。
でも、そんなのは、俺が口出すことじゃないしね。





烈に教わって、持っていくモノを揃えて、ガイドブックを買った。
細かい計画は立てずに、思いついた時に行動しようって、話し合って決めた。

準備しながらも、ずっとワクワクしててさ。

昇平に連れられて、関西のあちこちを案内してもらった、一年の頃を思い出してた。
ほとんど日帰りだったけど、一泊とか温泉行ったりとか。
修学旅行以来だったんだよな、旅行なんて。

要がいる時は、昇平が安いとこ探してきてさ。
ガソリン代を出そうとしても、「経費で落とせる」って、受け取らなかった。

そんなことも、後から気がついたんだよ、鈍いよな。

すっごく楽しくて、いっつもつるんで、烈も馴染んでいって。





「旅行ってさ。準備してる時から、もう楽しいよな」


リムジンバスの中で、烈に話しかけたら、ニコニコして頷いてる。


「親と行く時は、楽しいなんて思えなかったけどさ。
 昇平が、あちこち連れてってくれたじゃん?
 あれで、みんなと一緒なら旅行も楽しいって、思うようになったんだ」

「俺は、由人みたいに、「カッコよく一人旅」なんて向いてない。
 どこへ行くかより、誰と行くかが、重要なんだって、よくわかったよ」


烈が、コクコクと何度も頷いてて、目を輝かせてる。
同じこと思ってたんだなって、すっごく嬉しい。

だって、俺にとって、烈が特別で大事な仲間なように、烈にとっても俺が大事ってことじゃん?
そう思ってもらえるのって、マジ、光栄だよな。



バスが、関空に到着した。
まだできて五年も経ってない、新しい空港。
ものすごく広くて、一階から四階まで吹き抜けになってるから、開放感がある。
ただ、俺、ちょっと方向音痴だから、烈とはぐれるとヤバいかも。

関空もウロウロしてみたいから、少し早めに来てみたんだ。


「まず、チェックインカウンターに行って、手続きしてしまおうか」


いつもと逆で、烈が先を歩いてくれる。
頼もしいなと思いながら、華奢な背中の後をついてく。


烈が喜んでくれるのが、とても嬉しい。
今回は、兄貴の力で自力じゃないのは、情けないけど。

いつか、自分の力で、こんな顔にしてあげられるといいな。
ううん、してみせる!
金をたくさん使わなくても楽しむことを、俺たちは、もう教えてもらってる。

ちょっと変わってるけど、最高に素敵な仲間たちに。




「次は、みんなで行こうな。安いパックツアーになっちゃうけど」


烈に追いついて、そう話しかけると、想像してるのか、笑いそうになってる。


「笙と昇平が、役割分担して、テキパキと仕切っちゃう気がする」

「ああ、俺たちの意見は聞いてくれても、手は出させてくれないだろうな」



顔を見合わせて、大笑いして。

人生初の、国際線チェックイン! 











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