「True Colors」
黄道吉日

黄道吉日 5

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「烈、おかえり!昇平、ありがと!!」


烈が、帰ってきた!
昇平に送ってもらって、荷物と一緒に。

運び出す時は、マンションの下まで烈一人で頑張った。
でも、今日は、昇平に手伝ってもらって、部屋まで運んだ。

もう笙も来てるし、この際、メンバーや由人は部屋にも呼ぼうって。
烈に話したら、即、賛成してくれたんだ。



「コーヒー、さっきセットしたから、すぐだよ。昇平も飲んでって」

「おう、ありがとな。しかし、俺まで入ってよかったんか?」

「実は、笙も一度来てるんだ。緊急だったから、特例にしたけどさ。
 これからは、メンバーと由人には、遊びに来てもらおうって、二人で決めた」


昇平が、すっごくニコニコしてて、照れくさい。
でも、今さらって言われてもおかしくないのに、喜んでくれるのは嬉しい。


「ほんと、面倒ばっかかけて、ゴメン。
 俺たち、世話になってばっかなのに、部屋にも入れないって、失礼だったよね。
 みんなの家には、呼んでもらってたのにさ」

「まぁ、俺らは実家やし、自分らはルームシェアやろ?
 どっかで線引きせんと、共同生活なんか上手くいかんのは、わかるしな。
 でも、二人が、俺らのこと信用してくれんのは、めっちゃ嬉しい」


烈も昇平に頭を下げてる。

そして、俺に向かって説明してくれた。


「最初はさ、安いマンスリーマンション紹介してって頼んだんだよ。
 でも、家に来いって、即断してくれた。
 こんな時だけ、甘えちゃって申し訳ないと思ったけど。
 笙まで、家にも空いてる部屋あるって、言い出してさ」


ありがたいと思ったの同時に、笙のつめたーい声思い出して、ゾクッとした。
ほんと、キレた時のあいつって、迫力あるんだよ。
普段、仲間にはすっごく優しく気を遣ってくれる分、差が激しくって。



「ああ、親父とケンカした時なんか、笙ん家に泊めてもうてたわ。
 親父さんとも顔見知りやし、お袋さんが面倒見のええ人でな。
 料理もお菓子作りも、めっちゃ上手ぁて、ありがたかったなぁ」

「お前でも、親父さんとケンカしたりしてたんだ」

「そりゃ、俺かって、将来決めつけられて、悩んだりもしてたで。
 笙と話してるうちに、なんとなく落ち着いてたけどな」


昇平の話を聞いて、中学生や高校生の笙が、想像できる気がした。
今よりは、もっと幼いんだろうけど、それでも、今の俺より大人だったんだろうな。


コーヒーを飲み終わると、昇平は帰っていった。
夜、迎えに来てくれる約束をして。



久しぶりに、二人っきり。

電話で言いそびれたことを、ちゃんと言おうと身構えた。
気配でわかったのか、烈は、ニッコリ笑って、首を横に振ってる。


「もう謝るのは、お互いナシね。
 ナナが焦ってるのわかってたのに、俺も、無神経だったと思うしさ」

「でも、俺のは、完全に八つ当たりだったじゃん。
 で、謝るって言うより、きちんとお礼を言おうと思ってたんだ。
 ずっと協力してくれて、ほんと、ありがと」


烈のニコニコ顔が、照れくさそうな笑いに変わった。

この顔も、すっごく、可愛いんだよな。
仲間には、見せるようになってるよな、そんな顔も。
もう俺だけのものじゃないのが、少し残念。

んー、この感情って、ブラコンみたいなもの?
そんな疑問が湧いてきたけど、とにかく烈と仲直りできたのが嬉しくて。


深く考えなかったんだよ、その時は。







「七海の就職内定を祝って、カンパイ!」


昇平が音頭を取ってくれて、メンバー+由人で乾杯。
まぁ、乾杯って言っても、全員が日本茶なんだけどさ。

今日のメインは、俺がみんなに「迷惑かけたおわびに、寿司奢る」だから。

元から飲めない、俺と烈、未成年の笙、車で来てる昇平と由人。
要は、強いし、嫌いじゃないけど、一人で飲むのはつまらないらしい。


大トロとかアワビみたいな高級ネタ以外は、きちんと値段が書いてある。
カウンターとテーブル席が二つに、座敷が一室だけ。
回転寿司よりは、本格的だけど、オール時価の店よりは、かなり庶民的。

昇平が子どもの頃から、親父さんに連れてきてもらってた、馴染みの店だ。
話を聞いて、烈が行ってみたいって言ってたんだよね。



「みんな、迷惑かけて、ほんっとゴメン。
 今日は奮発するから、心配せずにガンガン食べて!」

「おまかせで握りを頼んであるよって、人数分出て来る。
 好き嫌いは、お互いに話し合い、な」



最初に、透き通ったイカのお造りとゲソの塩焼きが運ばれてくる。


「え?握りだけやで、頼んだん」


昇平が焦った声で質問すると、持ってきた若い板前さんが、ニヤニヤしてる。


「大将から、「笙ちゃんが来てるから、サービス」やそうです」


座敷に、納得した空気が漂った。

笙は、洋食より和食、肉より魚が好き。
親父さんの給料日や自分の誕生日に、ここの寿司を食べるのが、すっごく楽しみだったらしい。
昇平の親父さんにも連れられて、たまに来てたって話してたしな。


「めっちゃ嬉しい!大将に、お礼言わな。
 こんな透き通ったイカ、ここらやと、この店でしか食べられへんもん」

「店に入った時、笙の顔見つけて、嬉しそうな顔してたなぁ。
 ほんま、笙は、どこ行っても、おっちゃんらのアイドルやねんな」


由人が、感心してるような、呆れてるような、どっちかわからない口調で言う。
それが可笑しくて、つい笑ったら、烈も昇平も要も、同じように笑ってる。


「ま、それで、俺らも得してんねんから、笙に感謝せんならんな。
 せっかくの新鮮な造りや、いただこうか」


昇平の言葉を合図に、みんなで箸を伸ばす。

イカは、細く切られてるのに、まだ生きてるみたいに色が変わったり、動いたり。
しっかりした歯ごたえと、独特の甘みと旨味が、最高!

寿司なら、東京の方が美味しいと思ってたんだよね。
昇平に連れられて、大阪の南部に行って、それは思い込みに過ぎないって知った。

地元の人ばっかの寿司屋で、美味さと安さに驚いたんだ。
漁港が近いせいで、安く済むらしい。

ここは、大阪でも北だからか、そこよりは高いけど、美味しさはいい勝負。



「笙から話を聞いて、行ってみたいと思ってたんだ。
 肉が好きな俺でも、ここのなら満足するって、太鼓判押してたし。
 最初のイカから、こんなに美味しいなら、納得かな」


烈が、美味しそうに食べるのを見て、すっごく嬉しかった。


イカをあっという間に食べ終わると、握りが次々と運ばれてきた。

はまち、マグロ、エビ、穴子、貝柱にウニやイクラ。
アジやサンマなんかの青魚もあって、全然、生臭くないのに驚く。

ふっと見たら、要が笙のイクラを食べてて、笙は要のウニを食べてた。
何も言わずに、当たり前のように交換しててさ。
お互いの好き嫌いをわかって、自然に行動してるのが、なんだか微笑ましく思えた。


俺も真似して、烈の皿に、そっと穴子を置いておいた。
気づいた烈が、嬉しそうに頬張ってて、自分が食べるより、満足。
烈も、俺の皿に漬けの赤身を置いてくれて。

賑やかに楽しく食べながら、とても幸せな気分になった。











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Re: NoTitle

活きが良いイカって最高ですよね...ああ、食べたい。

> 七海クンたち、笙さんの恩恵にあずかりまくり(笑)。
> 美味しいものをみんなで食べると幸せ感も倍増。 その嬉しさを忘れないでね。

美味しいモノを、親しい人と一緒に食べる。
一人で食べるより、美味しく感じるんですよね。
七海も烈も、その楽しみを学習したことと思います(笑)
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