「True Colors」
黄道吉日

黄道吉日 1

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気がつけばGWも過ぎて、俺の就活はまだ続いてる。

合同説明会で申し込んだ面接は、五社とも不採用。
ってかさ、そのうち二社は、こっちから確認したのに、再来年卒業予定だって勘違いしててさ。

『来年三月卒業者の募集は、締め切りました』とか、当日、俺の履歴書見直して言い出した。

早く言えっての!
時間も交通費もかけてんの、こっちは!

それよか、精神的にダメージ大きいんだってば......。
もう、ジリジリ削れていって、追い込まれてくんだよなぁ。



焦ってもしかたない。
俺が、甘かったんだから、自業自得。

そう思ってるつもりだったのに、もう心がザラザラになっちゃってる。
渇いて干からびて、軽く押さえただけで、バラバラに砕け散っていきそうな気がして。






「一旦、民間はペンディングして、公務員試験に集中してみたら?
 どっちつかずで受験するの、ヤバくない?」


何通目かの不採用通知を受け取って、リビングのソファでぐったりしてたら、烈が話しかけてきた。

烈の言いたいことはわかる。
俺のことを考えてくれてるのは、痛いほどわかってる。

そして、その意見が正しいってことも。

なのに、俺、どうかしてたんだよな。



「自分が早々と内定もらったからって、余裕だよな」


言った瞬間、しまったと思った。

烈が、すっごく哀しそうな顔してさ。

こんなの八つ当たりじゃん。
早く謝らなきゃって、焦ってるのに、言葉が出てこないの。


「気分悪くなるようなこと言って、ゴメン」


逆に、烈が謝ってきて、俺、何か言おうとしては、言葉が引っかかって出てこない。
自分のこと、ガキだ、考え足らずだ、そう反省したのに、何やってんだよ。

なんとか出てきた言葉が、また最低だった。



「烈は何も悪くないじゃん。何謝ってんのさ」



うわ、また棘のある言い方してるよ、俺。
なんで、こんな言い方しかできないかなぁ。

ほんっと、情けないけど、泣きそうでさ。
烈に申し訳なくて、自分がとことんみっともなく思えて、どうしていいかわからなくなって。


自分のせいなのに、烈の顔見てるのがつらくて、部屋へ戻った。





あーあ、俺って最低......。


何が、自立だよ。

烈に八つ当たりして、傷つけて...何してるんだか。

兄貴に頼りたくないなんて、プライドばっか一人前でさ。
どんどん余裕なくしてる。

なりふり構ってる場合じゃないのに。


烈、つらそうな顔してたよなぁ。

なーんにも、悪くないのにさ。
俺のサンドバッグになる義務なんか、ぜんっぜん、ないのに。

一番、そばにいてくれて、優しくしてくれるからって、俺、甘えすぎ。



...............謝らなきゃ。



恥ずかしさと情けなさで、頭がぐるぐるしてたのが、少しは冷静になってきた。



謝ろうと、部屋から出たら、なんだかシーンとしててさ。
烈の部屋をノックしても、返事がない。

焦って探し回ってたら、リビングで、烈のメモを見つけた。



『俺がいると邪魔みたいだから、しばらく昇平ん家に泊めてもらうことにした。
 ちゃんと食事と睡眠は取るんだよ。頑張ってね』



メモ読んだ瞬間、頭をガツンと殴られた気がした。


俺の自業自得で、切羽詰まってるだけじゃん。
烈のこと邪魔どころか、いないと淋しくて泣きそうになるんだって。

兄貴が借りてるからって、遠慮して出ていかなくてもいいのにさ。


烈、ゴメン。ほんと、ゴメン。

俺、バカだよなぁ。ほんっと、バカ。

何やってんだよ、最低じゃん。

ただのガキだろ、これじゃあ。


何が、少しは成長した、だよ。
よりにもよって、烈に八つ当たりするって。

もう情けなくって、とうとう涙が溢れてきて、声出して泣いてんの。


「ゴメンよぉ、烈。ゴメン」


ここで謝ったって、烈には聞こえないのにさ。



自分の部屋へ戻って、携帯を見る。

烈から、メールでも来てないかと思って。
来てないなら、こっちから謝ろうと思って。

でも、来てたのは、昇平からのメール。


『なんや知らんけど、ケンカでもしたんか?
 烈は、しばらく家に泊めるから、心配はせんでええ。
 就活が終わったら、連絡してくれとか言うてるで。
 ええか、最後の最後は、俺に言うてこい。忘れんなや』



ベッドに座り込んで、烈に謝りのメールを入力しようとした。
でも、「ゴメン」以外、どう書いていいのかわからなくて、ただ携帯の画面見てた。

そこへ、電話がかかってきて、誰かと思えば、笙だった。

まだ声は戻ってないけど、無視するわけにもいかないし。
とりあえず、応答ボタンを押した。


『七海さん、何やってんの?』


唐突に言われて、とっさに何のことかわからなくてさ。

それでも笙が呆れた口調だったから、もしかしてと思って、聞いてみた。


「烈から何か聞いた?」

『本人は、何も言うてきませんけどね。
 昇平んとこに、しばらく泊まるらしいですやん。
 そんなん、七海さんに気ぃ遣てる以外、何がありますのん?』


うわー、笙、怒ってる。
淡々とした喋り方してるけど、それが余計に怖い。

こいつのキレポイント、見事に踏んじゃってるもんな。

仲間を傷つけられると、こいつはキレる。
それが仲間同士なら、どれだけ仲が良かろうとも、間違ってる方にキレる。
少々のことなら、黙って見てるけど...烈が昇平を頼ったのを知って、俺にキレてる。
それをわかってて、こいつに連絡取ったってことは、昇平もキレてるんだろう。



『後がなくなってきて、焦るんはわかりますけど。
 烈さんが、家を出なあかんくらい、ピリビリしてたら、決まるもんも決まりませんよ』

「お前...エスパー?」

『二人の状況考えたら、幼稚園児でも予想つきますて。
 もう、コネはイヤやとか、言うてる場合ちゃうでしょ。
 烈さんに八つ当たりするて、相当、追い詰められてますやん』

「いや、ちょっとイライラしちゃってさ。
 ちゃんと、烈には謝るよ。俺、甘えすぎてたって、反省してる。
 お前や昇平にまで心配かけて、ほんと、ゴメン」


携帯の向こうで、ため息が聞こえた。
この期に及んで、まだコネを使おうとしないことに、呆れてるんだろう。

それでも、それが最後の意地になっちゃってるって、俺、気がついたんだよな。


『まだ公務員試験も残ってますしね。せいぜい、頑張ってください。
 決まるまでは、烈さんは帰しませんからね』

「え、マジで?俺、ちゃんと謝るって」

『それで、不採用やったら、また八つ当たりですか』


ものすごーく冷たい声で言われて、俺、黙るしかなかった。

あんなこと言うつもりなかったのに、傷つけてるんだから、言い訳できないよな。


「...ちゃんと内定もらってから、きちんと謝る。
 それまでは、烈のこと頼むよ」


わかりました、で、笙の電話は切れた。



広い豪華なマンションが、俺一人になると、分不相応だって身に沁みる。

何やってんだか、俺。











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~ Comment ~

NoTitle

ああ、きっと私も笙さんに冷たい目で見られるだろうな。。


七海、たまには逆立ちでもして気分転換!
無理やりでも笑顔でいると、気持ちも前向きになれるよー!

烈くんも辛いだろうけど、 ♪会えない時間が~~♪ の歌を贈る。 二人で乗り越えて。

笙さん、彼らの保護観察、お疲れ様です。 おいしい日本茶、送ります。
m(__)m

Re: NoTitle

笙って、基本的におせっかいなんですよね。
それも、対象者にはわかりにくいタイプの。
それで誤解されて、相手が離れていったら、それだけの縁と割り切ることもできますが。
英一と昌行に対してだけは、尊敬とか初恋とか申し訳無さとか、いろいろ絡んで、割り切ることができない(笑)

あ、笙はブラックコーヒーかチャイの砂糖抜き派なので、日本茶は要が飲むことになると思います(笑)
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