「True Colors」
青天霹靂

青天霹靂 6

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要と笙は、オープンにしたって言うのに、全く変わらない。

笙の出発までは、二人っきりにしようとしても、二人とも嫌がる。
照れてるのかと思ったけど、そういうわけでもないらしい。


「彼氏ができたからて、自分の世界が狭くなるんは、アホらしい。
 お互いが信用できひんのやったら、つきあうなんて、ようしませんわ」


サバサバと言い切ってるとこが、笙だよなぁ。
普通なら、彼氏の女友達にもヤキモチ妬いたりするんだろうけどさ。

笙自身、男友達の方が多いし、要が女友達と飲み会に行っても、何も言わない。




「一年も遠恋って、つらくない?」


素朴な疑問をぶつけると、少しだけ考えてる。


「んー、たった一年離れただけで切れる縁なら、それまでのもんやと思いますよ。
 要は、院試受験しない代わりに、卒論には全力出すて言うてるし。
 三月には、入社前研修も始まって、しばらくは仕事覚えるんで必死でしょ?
 私も、せっかく行くなら、集中したいし。ちょうどよかったんちゃいますか」

「冷静だよなぁ......」



確かに、学生と社会人だと、自由になる時間が違う。
彼氏が社会人になったら、途端に会える時間が少なくなって、自然消滅とかよく聞くもんな。

たった一年って言い切れるとこも、やっぱ精神的に強くて大人なんだろう。
学生の感覚なら、一年は長いと感じると思うもん。




「ただねぇ...戻ってきた時には、就活出遅れそうなんで、それだけが不安ですわ」

「は?お前が?」


意外すぎて、大声で聞き返した。


「そりゃ、私でも不安になりますよ。これだけ就職難で、それも女ですからね」

「お前、情報もコネも、目一杯持ってるじゃん!」


動じない笙が、珍しく苦笑いしてる。

声、大き過ぎたかな。
周り中が、こっち見てるような気がする。



「私、自分のためには、コネ使いませんよ。
 正味の実力で就活するつもりです。
 七海さんみたいに、公務員試験も受ける予定ですしね」

「なんでだよ、もったいない!」

「コネやってバレると、入ってからが面倒くさいし。
 それと、可愛がってくれた人らに、「コネ目当てやったんか」って思われんのもイヤなんで」



ああ、お前らしいよ、ほんとにさ。

世話になった人たちに対して、必要以上に甘えたくないんだよな。
返せない恩は受けたくないって、普段から言ってるし。

それに、コネだとバレて、引け目を感じるのもイヤなんだ。
お前なら、実力で認めさせることは、充分にできそうだけど......。


イヤな言い方だけど、女だもんなぁ。
実力発揮しようとしても、女のくせにとか足引っ張られそうだ。



自分が男だから、最初のうちは気づかなかったんだけど。
関西って、結構、男尊女卑な雰囲気あるよな。

飲み会とかでも、女の子がお酌するのが当たり前とかさ。
女の子がそんなことしちゃダメ、みたいなこと、言うヤツが多いんだ。



「私、見た目がこんなんでしょ?
 女のくせに生意気とか言われること、しょっちゅうあったんですよ。
 好きで背ぇ高うなったんちゃうのに」

「何でもできるから、コンプレックス刺激されるんだよ。
 それで、卑怯なバカは、なんとか攻撃しようとして、そんなこと言うんだ」

「せやから、入ってからのこと考えると、余計にコネは使われへんのです。
 そういうアホの攻撃材料が、増えてしまいますやん」


そこまで考えたのか...用意周到って、お前のためにある言葉だよな。


「公務員は、なるべく避けたいんですけどね。 
 したい仕事が見つかってないから、贅沢は言えません」


ふっと軽く笑って立ち上がると、最後にそう言った。



公務員...確かに似合わないけど、女でも差別されなさそうだし、いいんじゃないか。
そう言おうと思ったけど、何か理由がありそうだから、黙って見送った。


第一さ、笙の心配してる余裕ないよな、俺。




もう、何社受けたっけ......。

こんなことなら、もっと真剣に資格とか取っとけばよかったなぁ。

つか、ボランティアとかもさ。
笙に誘われた時、要みたいに素直についてけばよかったかも。

サークルは軽音とかバンド演ってるのは、履歴書には書いてない。
偏見かもだけど、不利になりそうだし。

でも、他にないから、趣味は音楽鑑賞と読書って、無難なことしか書けない。
資格のとこも、社労士の学科試験合格とTOEIC600点だけ。


そんでさ、東京出身なのに、どうして大阪なのかって、よく聞かれるんだ。
なんか、敵意を感じるんだけど、気のせい?





「それはなぁ、しゃあないわ」



昇平が晩御飯誘ってくれて、二人で焼肉屋へ行った。
俺が悪戦苦闘してるから、景気づけに奢ってくれるらしい。



「大阪人て、変なとこで意固地やねん。
 東京に対してコンプレックス持ってるとこもあるしな。
 お前は、背ぇもそこそこあるし、見た目もいいし、オシャレやんか。
 ちょい軽く見られる上に、東京出身やから、警戒されとんねやろ」

「んー、そんなに、俺ってチャラそう?」

「まぁな、リクルートスーツ着てるのに、リクルートスーツに見えへん。
 体育会系のノリは、絶対に無理な感じするやん?
 向こうは、若々しいやる気とか熱意とか、言うこと聞きそうか、とか。
 烈みたいな特技でもない限り、そんなもんでしか計れんしな」

「あー、そう言われれば、そうかもなぁ」


焼けた肉を、昇平が皿に置いてくれる。
タレを漬けてチシャに乗せて、大口開けてかぶりついた。


「演技でけへんとこが、お前のええとこでもあるけどな。
 チャラそうに見えて、実は不器用やし。
 かっこ悪うても開き直って、もう少し前のめりになってみたらどうや」

「要なんか、一発で決まってたよね。やっぱ、人を見てるってことかぁ」



昇平に指摘されて、頑張ってるつもりでも、まだまだ甘かったんだって思う。

どこかで、なんとかなるような気持ちでいたんだよな。


はっきり言って、ここまで苦戦するとは思ってなかった。
実際、去年の末までは、まだ三年だしってタカをくくってた気がする。

それが、年が明けて、年度も変わって、時間だけが過ぎて。
何度も何度も、不採用通知もらって、焦って空回って、負のスパイラルに陥ってる。



「最後の最後は、うちの会社に来い。
 お前なら、親父かって「うん」って言うわ。
 あれでも、人を見る目はあるし、お前らのことは、気に入ってるしな」

「ありがと。でも、ギリギリまでは頑張るよ。
 笙も言ってたけど、コネだと、入ってから苦労するしさ。
 それに......」

「それに、なんや?」

「お前とは、ずっと対等な友達でいたいからさ。
 雇用主と被雇用者には、なりたくないんだ」



うわ、今、俺、なんか恥ずかしいこと言っちゃった。
アルコールも入ってないのに、顔が熱いって!


「......俺かって、そうや。せやから、最後の最後や言うてるやろ」


言われた昇平も、気恥ずかしかったのか、真っ赤な顔で横向いて、そう返事した。











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Re: NoTitle

Mさん、七海に声援ありがとうございます。

> 就活は、結構メンタルに来るらしいよ、七海くん。
> ゴメン、未経験だから先輩としてのアドバイスはできないんだ。💦
> でも、チャンスは来るから。 しっかり捕まえて!

来ますねー、私も来ましたよ(遠い目)
落ち続けて、どれだけ焦ったかを思い出しつつ、書いております(苦笑)
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