「True Colors」
青天霹靂

青天霹靂 2

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烈に続いて、要も志望してた会社に内定をもらった。

はっきり言って、給与水準はそれほどでもない。
それでも、やりたい業種だから、本人は満足そうだ。


俺は、まだ決まらないまんま。

先輩や仲間にアドバイスもらって、頑張ってるつもりだけど、高望みしてるのかなぁ。

公務員試験用の勉強も続けてる。
受けるなら、大阪府か大阪市だろうな。
他の市町村は、やっぱりコネが大きいらしいから、俺には無理だしさ。



凹んでばかりはいられない、でも、焦って空回ってる気もする。

そんな時、兄貴から電話があった。


『仕事で大阪に行くついでに休みもらったから、晩御飯を一緒に食べないか』


今までも、大阪に来ることはあったけど、こんなことは言い出さなかった。
本人が嫌がるから、HAKONIWAのライブには行かない。
ドラマや映画のロケで、何日か滞在する時でも、電話かメールをくれるだけ。


あ、東京のマンション、もうなくなったからか。
兄貴が俺に会おうとしたら、こっちに来るしかなくなったもんな。


......淋しいんだろうなぁ。


神崎さんの友達に焼き増しやコピーしてもらって、式のビデオも写真も、目一杯送った。
もちろん、隠れ家にしてるマンションの方にだけど。

仕事から帰って見たらしくて、夜遅く、涙声で電話かけてきた。


『ちぃ、綺麗だなぁ。幸せそうだなぁ』


何度もそう言っててさ。
父親代わりだったから、安心したのもあるだろうけど、淋しくてしかたないってのもあると思う。






兄貴が指定したのは、よく使ってる高級ホテル。
ロビーに到着して電話かけたら、ベルボーイがすぐに近づいてきた。


「澤井様のお連れ様ですね。ご案内します」


小声で話しかけられて、高級ホテルなんか慣れてないからびびった。
大人しく後ろをついていこうとしたけど、物珍しくてキョロキョロ。

さすがに、マスコミはいないよな。
いても、客室までは上がって来れない仕組みみたいだし。

ロビーで待ち構えてるかもしれないけど、今、噂になってるアイドルは来てない。
待ち合わせの相手は俺なんだから、当たり前なんだけどさ。




「おー!画像や写真で見るより、ずっとスーツ姿が決まってるじゃないか」


部屋へ入ると、兄貴がニコニコして褒めてくれる。

ワンパターンだけど、挨拶の時のスーツ着てみたんだ。
ホテルの格が高いから、ジーンズはさすがに浮くと思ったし。


「次は、自分の金で作れるように、頑張るよ。
 にーちゃん、ありがと」

「何言ってるんだ。ちぃもななも遠慮し過ぎだよ。
 俺、売れてるの知ってるだろ?」


あれ?なんか、妙にテンション高い?
兄貴が、いつもと違ってて、勝手が違うんだけど...。


「すぐに料理が来るからな。冷蔵庫に飲み物あるから、好きなの取ってくれ」


言いながら、冷蔵庫を開けてビールを取り出してる。
強くないのに、空きっ腹に飲んで大丈夫なのかな。

俺はウーロン茶、兄貴はビール。
飲みながら喋ってると、ドアチャイムが鳴った。



ウェイターっぽい人が、テーブルに料理を並べて、俺たちにお辞儀する。
出ていくのかと思ったら、そばで待機してて、俺、なんかドギマギ。


「自分たちでやるから、今日はいいよ」

「はい。では、ごゆっくりお楽しみください」


あー、よかった。

店ならともかく、ホテルの高級感に圧倒されてたからさ。
他に人がいると、落ち着かなくって、食べた気がしないと思うんだ。


料理は、俺の好きな中華。
ホテルの中華なんて初めて食べたけど、見た目も味も上品な感じ。

フカヒレやアワビ、北京ダックに伊勢エビ。
兄貴とじゃないと、まず食べられない高級食材ばっかで、俺もテンション上がる。


夢中で食べて、喋って、笑って。
気がつけば、兄貴はビールからウィスキーに変えてて。

少しは強くなったのかな。
飲む機会が増えたから、マシになったのかも。
俺や姉貴みたいに、完全にダメな人間じゃなければ、強くなるらしいもんな。

そんな暢気なこと考えてたら、兄貴の笑顔に影が差した。



「ななが大阪で就職したら、俺、ほんとにひとりぼっちになるんだよな」


一瞬、何言ってるのか、本気でわからなくて。

わかった瞬間、脊髄反射で言い返してた。



「は?何言ってんの?勝手に一人で決めないでよね。
 俺だってねーちゃんだって、にーちゃん置いてくつもりなんかないって」


俺、マジでびっくりして、次にキレそうになった。
そりゃ、姉貴は結婚したし、これから子どもができて、そっちが優先になるのは当然。

だからって、あの姉貴が兄貴のこと忘れたりするわけないじゃん!


「にーちゃんとねーちゃんが家族なのは、一生変わらないからね。
 何、気弱になってるんだよ!俺たちのこと、そんな恩知らずだと思ってるわけ?
 世話になったからじゃない、にーちゃんだから大好きなのに!」

「ゴメンゴメン。俺だって、ちぃとなながそんなこと考えるなんて思ってないよ。
 でも、それぞれが自分の世界で頑張っていくんだなと思ったら、ついさ」

「なかなか会えなくて淋しいなら、さっさと本気の相手見つけろよ。
 今の奥さんだって、本気で好きな人ができたなら諦めるかもしれないし」



俺の言葉に、苦いモノ飲み込んだみたいな顔してる。

兄貴、ほんとに今日はどうしちゃったんだよ?!



「......好きな人はいるよ」

「いるんだったら、頑張ってみればいいじゃん!」

「無理なんだ。ずっと片想いってヤツでさ。
 諦めたいのに、全然、諦められなくて、自分でも情けないよ」


無理?兄貴ほどかっこよくても、無理ってありなの?


「無理なわけないじゃん!だって、にーちゃんだよ?!
 相手の人も結婚してるとかなわけ?」


ああ、わかってるけど、バカなこと言ってるな、俺。
いくら相手が独身だろうと、いくら兄貴がかっこよかろうと、ダメなことだってある。

頭ではわかってるのに、ブラコン全開になってるな。


「結婚してる。子どももいる。春樹より半年ちょっと後に生まれてる。
 顔を合わせては、諦められなくて胃が痛くなるんだ」


え...どういうこと?今、ドラマも映画も撮影終わってるよね?
それに、「ずっと」って言ってたよな?

そんな長い間、顔を合わせてるって?


俺の頭は、疑問と驚きで、パニック状態。


そこに来た、完全に酔っ払った兄貴の爆弾発言。



「コウセイなんだ」




聞き違いじゃないよな?

今、コウセイって言ったよな?
兄貴ってゲイ...じゃない、バイってこと?!

パニック通り越して、頭真っ白になって。

目の前にいるのが兄貴かどうかさえ、わからなくなりそうだった。


兄貴...だよな?


俺の知ってる兄貴が100%だとは、さすがにもう子どもじゃないからわかってるけどさ。

そんな爆弾抱えて、無理してきてたわけ?
んでさ、それをバラしちゃうくらい、今、弱ってるってこと?



「気持ち悪いか?男が相手って」


兄貴の顔がつらそうに歪む。

ああ、ちゃんと言わないとな。
たぶん、今がその時なんだろうな。

ガッカリさせなくて済むとか、この時は浮かびもしなかった。

ただ、少しでもいいから、兄貴が楽になればいい。
それしか頭になかったんだ。











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