「True Colors」
無色透明

無色透明 12

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ついこの前入学したと思ったのに、あっという間に、二年目の冬。

教養科目の単位はきっちり取ったし、専門基礎もまぁまぁの成績で来てる。
就活用に資格試験や公務員試験のダブルスクールを始めたヤツも、ちらほら出てきた。


姉貴は、無事に論文試験も突破して、来春からは予定通りに就職。
兄貴は、相変わらず、バンドではヒットを飛ばして、ドラマや映画も頑張ってる。


年末年始は、忙しい兄貴には会えなかった。
姉貴と二人でおせち作って、のんびりテレビで兄貴を見てた。

テレビはほとんど録画だったけど、ライブやイベントで忙しくてさ、兄貴。
単独でカウントダウンを演るって知って、すごく行きたかったけど、我慢した。


二日の午後、初詣の帰りに、姉貴の彼氏を紹介されて、ああ、やっぱり、と思った。
雰囲気が、素の兄貴に似てるんだ。

姉貴も相当なブラコンだもんな。

大学の先輩で、姉貴が就職するとことは別の監査法人に勤務してるって。
うちの事情も説明してるらしくて、何も聞いてこない。
しっかり者の姉貴が、なんか可愛く見えた。

年下の俺に、緊張しながら、礼儀正しく挨拶してくれて、俺も深々と頭を下げた。


『どうか、姉貴をよろしくお願いします』


ってね。

兄貴にも話はしてるけど、挨拶はまだらしい。
忙しいのと、兄貴は直接関わらない方がいいんじゃないかって、遠慮してる。




俺は、東京に戻らないって決めた。

できれば、大阪で就職したい。
採用後に、東京や別の地方へ飛ばされるのは仕方ない。
ただ、東京で就職して、ずっと東京に住むのは、止めた方がいいと思った。


ゲイバレだけじゃなくてさ。
東京にいる限り、兄貴と姉貴に頼っちゃいそうな気がするんだ。
それじゃ、いつまで経っても、末っ子の甘ったれのまんま。

淋しいのは淋しいけど、一度離れてみたら、たまに帰省で会えたらそれでいいと思えるようになった。
東京-大阪って近いし、メールも電話もできるんだしね。

姉貴には、立派な彼氏もいることだしさ。




大阪って、距離が近くて苦手だと思ったし、押しが強いのもなぁって、びびってたけど。

住めば都って言うじゃん?
この二年近くで、なんとなく慣れてきたし、若いヤツはそうでもないんだよな。

昇平に、いろいろ教わったのも大きい。

他所者の俺から見たら、「関西」って一括りにしてるけど、全然、違うんだよね。
大阪府内だけでも、かなり地域性があるしさ。


んで、とりあえず、有利な資格を取ろうと勉強してるところ。
昇平が、宅建とか不動産鑑定士とか取って、自分のとこ来いって言うけど、さすがにそれは遠慮してる。



烈は烈で、やっぱり大阪に残りたいって言ってる。

知らないうちに勉強してて、情報処理とかシスアドとか受けてるの。
Macも出たばっかのWindowsも、すっごく詳しくなっててさ。
俺、教えてもらってばっかで、恥ずかしいくらい。


だから、勤務地が近ければ、二人でアパートかマンション借りようって話になった。
ワンルーム借りるよりは、シェアした方が経済的だと思うし。
昇平が、引っ越す時は探してくれるって。


自立に向けて、少しずつ贅沢を止めて、自分たちで掃除や洗濯、炊事をやってる。
就職してまで仕送りしてもらうのは、さすがにマズいくらいの常識は持ってる。
烈も、お袋さんから逃げたいなら、貧乏は仕方ないと覚悟した。



家事は、俺が教えてる。
貧乏時代の経験が生きた。

一番やってなかった炊事でも、基本的なことはできる。
姉貴に聞いたり、レシピ本を買ってきたりして、レパートリーを増やした。

烈は、金持ちだけど、味には無頓着。
俺の方がうるさいぐらいだから、素直に食べてくれる。
教えた通りに作るから、問題ないものを作る。


器用なんだよな。
まともに包丁も持ったことなかったのに、教えたら、すぐに芋の皮むきもできるようになったし。
記憶力がいいから、同じことは質問してこない。

金持ちの坊っちゃんだから、難しいかなと思ってたのに、拍子抜けした。
つきあい長いのに、こいつのこと、よくわかってなかったって、また反省。






「ほな、満場一致で、来年度からの幹事は、嘉納昇平ということで。
 昇平、後は頼むわ。他の二年や一年も、昇平のフォローしたってや」


三月、月一のミーティング終わり、幹事の先輩が宣言した。

地元出身で、就活しないから、昇平が幹事なのは順当ってこと。
本人も納得してるし、他のヤツらも面倒なことはやりたくない。


「まぁ、幹事言うても、学祭エントリーの取りまとめや、大学に活動報告するだけ。
 偉そうにするつもりは、代々の幹事同様にないから、心配せんといてくれ。
 ああ、会費の徴収もあったか。それは、七海に頼んでもええか?」


いきなりの指名で、すっごく焦った。

前もって相談しろと思ったけど、断らないってわかってたんだろうな。
そのくらいなら手伝うつもりだったから、素直に頷いておいた。


「ああ、俺も手伝うから大丈夫だよ」


滅多に発言しない烈の言葉に、みんなが驚いてる。
でも、昇平は普通な顔して、「ありがとな」って言うだけだった。



要はと言えば、相変わらず、真面目に講義に出て、バイトして、成績も良くて。
週に一度の練習には、きっちり来て、合わせていく。

専門書に金がかかるからか、メガネは銀縁のまんま。
それでも、入学した頃から比べれば、すごく垢抜けて、バンドの見た目平均値を上げた。

一番人気は、昇平。
顔はそこまでじゃないけど、背は高いし、喋りが面白いから。
大阪って、面白くないとモテないんだよ。
ただ、将来のこと考えてるのか、特定の彼女は作らない。
ずっと、適当に遊んでる。


俺や烈は、キャーキャー言われるだけで、寄っては来ない。
烈が「寄ってくるな」オーラ出してるし、露骨に機嫌が悪くなるからさ。

で、いつも一緒にいるから、腐女子のヤツらには、格好のおかずになってる。
二人とも、開き直ってるから、気にしてない。


要は、おとなしめの女の子にモテる。
だけど、いつも「忙しいから」って断って、まだ彼女はいない。

おとなしめだけど、すぐに引き下がるタイプばかりじゃない。
断ったのに、寮に入ってこようとする女もいて、慌てて逃げ出したりしてる。
ほとんどは、昇平が間に入って、宥めて終わりになるけどね。



就職したい業種も絞って、資料集めたりなんかして。
統廃合がほとんど済んでるから、金融、それも銀行がいいんじゃないか。
それか、大阪に本社があるメーカーで、総務系なんかどうだろう。

そのために、社労士の資格試験を今年受験する。
併せて、始まったばかりのFPも受けてみようと思ってる。


それでも、まだ切羽詰まってなくて、バンドでイベントに出て、思いっきりタイコ叩いて。

時々は、兄貴や姉貴に電話して、声聞いて安心して。


そんな感じで、俺の大学生活は、半分が終わろうとしてた。











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