「True Colors」
無色透明

無色透明 5

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中学まではさ、貧乏で生活するだけで精一杯だったから、深く考えずにいた。
一応、知識としては、学校の授業で習ってたけど、実感はなかった。

そういう意味では、ガキだったんだと思う。


中ニの時、寝てる間に暴発させちゃって、股間の冷たさで目が覚めた。
六畳一間のアパートで、隣の布団では姉貴が寝てる。

かっこ悪くてどうしようかと思ってたら、仕事を終わらせた兄貴が帰ってきた。

姉貴を起こさないように、そっと布団抜け出して、風呂場でパンツとパジャマ洗ってたんだよ。
半泣きのところ、兄貴に見つかって、頭撫でられて、待ってろって言われてさ。
布団やシーツまでは汚れてないって、確認してきてくれたんだ。

その時、自分で出す方法を教えてくれたけど、それでも、まだピンと来なかった。
女の裸とかさ、見てもドキドキなんかしないんだよ。

そう言ったら、兄貴が、ちょっとだけ暗い顔になったんだよね。
理由はわかんなかったから、黙って流した。



でも、マンションに引っ越して、自分の部屋もらって、家事もほとんどやらなくなるとさ。
時間が余っちゃって、どうしても向き合うしかなくなった。

俺、ホモってやつじゃないの?

だって、女の裸見てもドキドキしないのに、体育の着替えでドキッとしたりさ。
妙に気になるヤツがいて、それが男だったりしてさ。

兄貴にやり方教えてもらってからは、そいつが自分でヤッてるとこ想像してた。

これ、完全にアウトじゃん?

兄貴が暗い顔してたのって、これ心配してたから?



いくらガキでも、ゲイが少数派で差別されるくらいは、わかるしさ。
それで、俺が完全にゲイだって知ったら、兄貴と姉貴は哀しむと思ったんだよな。

兄貴が有名人なら、もし、俺の存在がバレるとかなりマズいことになるんじゃない?
せっかく、兄貴が頑張ってるのに、足引っ張る真似はしたくない。

一番は怖かったのはさ......二人に、気持ち悪いとか思われること。

俺の家族は、兄貴と姉貴しかいないんだ。

ゲイなら、結婚なんかできないし、子どもも作れないしさ。
大好きな兄貴と姉貴に嫌われたら、俺、生きていけない。


だから、逃げた。

大好きだけど、ずっと顔合わせてたら、バレそうで、逃げた。


高校入って、烈って仲間も見つけてさ。
姉貴や兄貴に叱られない程度に、夜遊びしては、ストレス発散して。

姉貴が東大受かったから、俺は京大とか思ってたけどさ。
頑張っても、京大ギリギリだったんだよね。

だったら、適度に都会で、確実に受かる阪大でいいじゃんって。

そんな感じで軽く考えてて、三者面談で兄貴ががっくりしたのを見て、申し訳なくなった。
だからって、兄貴は反対しなかったんだよな。


『阪大でも充分だろ?お前が行きたいなら、それでいいよ』


そう言ってくれたんだ。






俺にとって、家族は兄貴と姉貴だけ。

どうも、兄貴も、俺と姉貴だけが大事らしい。
結構、いろんなアイドルとかつまみ食いしてたけど、一度も本気にはならなかった。

だから、「外堀埋められて、出来ちゃった婚」って、姉貴の説明聞いて、祝う気にはなれなかった。
だって、兄貴が本気じゃないの、わかるしさ。

まだ、二十四だよ?結婚したいわけがないじゃん。

それに、ずっと言ってたもんな、姉貴が嫁に行くまでは結婚しない、ってさ。
姉貴は姉貴で、さっさと自立するから、自分のことは気にしないでって、言い続けてたけど。


まぁ、完全なブラコンでシスコンってこと。



テレビ消して、ソファに座り込んでたら、携帯が鳴った。


兄貴からだ。


『なな?心配かけて悪いな。ちぃから聞いた。
 お前らのことは、バラしてないし、そっちにマスコミが行くこともない。
 安心して、今まで通り勉強してろ。
 金は、ちぃに任せてあるけど、言いにくい時は、直接、連絡しろよ』

「うん...いつも、ありがと。でもさ...」

『ん?どした?』

「兄貴は大丈夫?」


俺、答えは知ってたけど、つい質問した。


『大丈夫だって!向こうが飽きるまでだろ、どーせ。
 子どもだって、俺の子かどうかもわかんないしさ。
 この世界、離婚なんか珍しくないし、適当にやり過ごす。
 お前が心配することじゃないよ』


そう言って、笑って電話は切れた。
忙しいのに、姉貴から連絡来て、慌てて電話してくれたんだ。
メールで済ますこともできたのに。

お袋とおんなじ。

無理してでも笑って、俺たちを一生懸命に守ろうとして。


兄貴は、凄い人気があるけど、その分、スキャンダルで叩かれやすい。
女の方が寄っていくんだから、仕方ないじゃんと、俺は思ってる。

俺たちのことで苦労したんだから、多少遊んたって、罰は当たらないんじゃないの?
兄貴の性格とかわかってて、寄っていって、「自分だけのものにならない」って泣いてるのは、自業自得。

ただ、今度ばかりは、兄貴も油断したのか、相手の粘り勝ちなんだろうな。


でもさ、子ども生んだからって、兄貴が自分だけのものになるって、大きな勘違いだと思うよ。

会うことなんかないだろうけどさ。
まぁ、頑張ってみて、未来のお義姉さん。





「お兄さん?」


いつの間にか、烈がリビングに出てきてて、俺のこと見てた。
こいつ、気配消すの巧いから、全然、気づかなかったな。


烈にだけは、兄貴のことを話してある。
さすがに、金の出処とか、はっきりしてないと不審がるだろうから。
他の人間とは最低限度のつきあいしかしないから、言いふらすような心配もないしな。


「ん、いつもどおり、心配するなって。
 ああ、帰省するのも、姉貴が就職するまでは、今のマンションでいいっぽい。
 お前も、一緒に帰るか?」

「自分ん家に帰るよ。じゃないと、ばばぁがうるさいし。
 昼間は、満喫とかで時間潰すつもり」

「じゃあさ、課題は一緒にやろうぜ。
 姉貴は忙しくて、家は誰もいなくなるしな」


こっくりと頷いて、晩メシの注文を始めた。

今夜は、ピザの気分らしい。
Lサイズのクォーターと、ポテトを頼んでる。

食べたいモノがあるやつがオーダーして、金払う。
特にない時は、交互に決める。

共同生活三ヶ月で、自然と決まっていったルール。



三十分もしたら、ピザが来て、チーズの匂いで腹が鳴った。
食欲なかったのに、俺って単純。


ダイニングテーブルにピザを広げて、冷蔵庫のウーロン茶を出して。
朝のサラダの残りと、ポテトも並べて、さぁ、晩メシ。

いつもなら、テレビ見ながら食べるのに、烈は点けなかった。
もしかしたら、俺に気を遣ったのかもしれない。


リモコンでテレビの電源を入れる。
今日は、BSの音楽番組に、SMSが出るはずなんだよな。


「録画予約してるから、別にいいのに」


ボソッと言う烈が、なんか、おかしかった。











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