「True Colors」
無色透明

無色透明 3

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「ナナ、あいつ、好みだよね?」


晩メシ済ませて、マンションに帰り着いたら、大きな目で睨むような、烈。
高校からの三年間、ほぼ毎日一緒だから、俺のことなんかお見通しだもんな。


「ああ、バレバレ?でも、ノーマルもいいとこだろ。
 たぶん、女も知らないっぽいじゃん?
 俺、めんどくさいの嫌いだし」

「いいけどね。バンドの中で、ゴチャゴチャするの、ヤだよ」


それだけ言って、さっさと自分の部屋へ入ってった。

ってことは、今晩はおあずけかぁ。

遊びに行くのも、この時間からはめんどくさいしな。
だからって、この部屋へ呼び出すのは、ルール違反。
自分で決めたんだから、破るのはマズいか。



烈は俺と違って、欲が薄いのか、ヤリたい盛りでも、他に探したりしない。
東京にいる時も、中学の先輩だかとしかヤッてなかった。
そいつが引っ越していなくなった時、ちょうど高校で俺が声かけたから乗ってきただけで。

俺が他のヤツに声かけても、何も言わない。
ただ、夜、遊びに誘っても、俺が途中で消えるってわかったら、断ってくるようになった。
俺がいなくなったら、途端に誘われるのが鬱陶しくて我慢できないって。

ああ、それと、釘を差されたっけ。


『他と生でヤッてるなら、お前とは無理』


こいつ、マジで慎重で潔癖気味なんだって、ぼんやりと思ってたのが、くっきりはっきりした。


俺たちの関係は、親友とかって、そんな綺麗なもんじゃない。
だからって、セフレってほど、割り切れてるわけでもない。

バンドのメンバーで高校からの友達、たまにセックス。

周りには、説明しようがない、微妙な感じ。




烈には、六歳上の兄貴がいて、親は兄貴にしか興味がなかった。
ずっと、金だけ与えてほったらかしだった。

なのに、兄貴が結婚したら、母親から干渉されるようになった。
兄貴が奥さんにべったりで、完全にシカトされるようになったって。

急に「もう一人の息子」を思い出したんじゃないか、ってのが、烈の考え。
烈としては、今まで自由にしてたのに、進路に口出しとかされて、ブチ切れまくり。

父親はと言えば、跡取りの長男が、しっかり自分の会社で仕事して、家柄のいい嫁も来て、我が世の春。
だから、烈が俺と同じ大学って言っても、「好きにしろ」としか言わなかった。
母親は、ワンマンな父親には従うしかなかったから、ブチブチ言ってたらしいけどね。




『俺は、なんか欠落してるんだと思う。淋しいとかあまり感じたことないし。
 逆に、人がいる方が鬱陶しくて堪らない。何か一緒にやることでもない限りはね』


一緒にやること、それはセックスでもバンドでもいい。
んで、俺は、どっちも一緒にやれるし、あまり踏み込まない。
だから、一緒に住んでも大丈夫なんだと。


兄貴が用意してくれたマンションと仕送り、烈の仕送りで、俺たちは生活してる。
掃除や洗濯は、ハウスキーピングサービスだし、食事はほぼ外食。
姉貴がうるさいから、朝だけは、ヨーグルトやサラダ、果物食べて、バランスは考えてる。

学生とは思えないような生活してても、烈は生まれた時からそうだったせいか、違和感はないらしい。
俺は、高校入ってから、急に生活が贅沢になった。

人間、楽に慣れるのは早いって、ホントだよな。
節約節約って、姉貴と頑張って、買い物して家事やってたのにさ。


ただ、妬まれたり僻まれたりするのは、面倒なのは、わかってる。
それもあって、ここには誰も呼ばないって、二人で決めた。




今夜は、シャワー浴びて、さっさと寝よう。
飛び散る水飛沫を見て、昼間のことを思い出した。


第一印象裏切りまくりの、要のヴォーカル。
歌ってる時だけは、オーラ出してて、すっごく迫力あったよな。


......もったいないよなぁ。

あれで、髪型ちょっと弄ってさ。
メガネももっとオシャレなフレームにするか、コンタクトで。

それに、あのシャツとジーンズがいただけない。
ダサすぎる。

俺の持ってるのだと、あいつにはデカい。
かと言って、烈のだと小さいだろうし。


今度の練習の後、梅田にでも連れて行くか。

俺の好みに仕立てるのも、楽しそうじゃん?
懐かせて、こっち向いたら、それはそれでラッキーだしさ。


ま、それはないか。


九州の田舎モンだから、俺と烈がゲイだなんて知ったら、ドン引きするだろ。
男らしさにはこだわってないように見えるけど、中身はどうだか、まだわかんないしな。

でも、ステージであの服装は、許せないよな。
これは、さすがに烈も賛成するんじゃないか。
昇平は、当然、見た目も込みって考えてるだろう。

俺たちのテクも知らずに、パートだけで声かけたのでわかったもんな。
Quiet Life好きだしさ。

要のことも、よく見たら整ってるって、観察してたんじゃないかな。
歌だけだったら、誘ってないはず。


ああ、ヤバい。明日も一限からじゃん。
もう寝なきゃな。




「ナナ、もう起きて。間に合わないよ」


ドンドンと響くノックと、烈の声で、目が覚めた。
あ、目覚まし止めて、また寝てたな、俺。

メシ食う時間は...あるな。
シャワー浴びといてよかった。


慌てて着替えて、ダイニングに行くと、烈が朝メシ用意してくれてた。
と言っても、オレンジジュースにバナナ、ヨーグルト、デリで昨日買ったサラダ。

二人とも、朝はそんなに食べないから、これで充分。
その分、昼は、ガッツリと学食で食べてる。
味は大したことないけど、男子学生が多いせいか、量は半端ない。

烈も見た目と違って、すごく食べるから、学食は気に入ってる。
金持ちのくせに、味はそんなにこだわらないから、余計に。



二限が終わった昼休み。

さっそく、学食へ行ったら、昇平と要がいた。
隣が空いてたから、烈と座らせてもらうことにして。


「お前みたいな金持ちでも、学食で食べるんだな」


軽くジャブを打つと、即座にカウンター食らった。


「それは、こっちが言いたいわ。自分ら、めっちゃ金持ちやんか」


小声なのは、周りには聞こえないように、気を遣ってくれたんだろう。
やっぱり、こいつ、ガサツなわけじゃないんだな。


要を見ると、ニコニコと手作り弁当。
え、もう彼女とかいるわけ?

いや、そうだったら、一緒に食べるよな??


「自分で作ったの?」


同じように不思議だったんだろう。
すぐに、烈が質問してた。


「はい。俺、食費は一日五百円が上限ですからね。
 米だけは、親戚が送ってくれるんで、作ればなんとかなります」

「ごひゃくえん?!」


烈が固まってるけど、まぁ一人ならなんとかなるよな。
米を送ってもらえるなら、かなり助かるはずだしさ。

玉子焼きに昆布の佃煮、ほうれん草とニンジンの炒め物。
ご飯ギッシリ詰めて、真ん中に梅干し。


要の弁当は、中学の頃、姉貴が作ってくれたのに、よく似ててさ。

姉貴、就活頑張ってんのかなぁって、声が聞きたくなった。


バレるのが怖くて、逃げ出してきたくせに。 











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NoTitle

要さん、お弁当レベル高いっ!

私なんか、ご飯・海苔・そぼろ卵×2、のご飯に残り物のおかず・・、なお弁当よく作ってた。 あの頃から冷凍コロッケ使うの覚えたんだっけ。。

あ、梅干しはこっちに来てから毎年作ってます。梅酢が少ないと、梅干しに塩の結晶がつくくらいしょっぱいです(笑)。

笙さん、いつ出てくるのかなっ。
(七海と烈の話題は??

Re: NoTitle

昆布の佃煮と梅干しは、母親から送られてきたものですし、ほうれん草と玉子焼きは、朝。弁当と食べるわけで(笑)
ここの学生寮、八人でワンユニットのキッチン・トイレ・冷蔵庫なので、作れるものも保存スペースも工夫が必要ではあります。

笙は......もう少しお待ち下さい(汗)
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