「Crossroad」
secret party

secret party 7   涼

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「竜二と虎太郎さんが来れないのは、残念だけど。
 二人とも、奥さんが妊娠中なら、仕方ないね」


健太が、晩御飯の時に、出欠はがきを怜ちゃんに渡してきた。

仕事が忙しくて、練習のタイミングが合わなかったから、プレイするのは無理。
でも、父さんのお祝いだから、絶対に行きたい!って、二人とも言ってたのにね。



「しっかし、あいつらなぁ。結婚したのも同時で、一人目も同時。
 今度の二人目も、ほぼ同時に妊娠発覚って、タイミング良すぎだろ」


父さんが、おかしくて仕方ないみたいで、ずっと笑ってる。
それ見てるのも、楽しかったりするけど、俺はちょっと不思議だった。


「すぐに生まれるわけじゃないのに、出席できないの?
 それに二人目だったら、余裕あるんじゃないの?」

「バカ、二人目だからって、安全とは限らないだろ。
 東京だと、奥さんに何かあったら、すぐに駆けつけられない。
 あの子煩悩で奥さんラブな二人が、仕事でもないのに、そんなことするわけないじゃないか」



そんなものなのかぁ。

俺には、よくわかんない感覚だから、なんか納得できないけど。
怜ちゃんが言うことは、絶対だもんね。

俺がまだよくわかんないって顔してたからか、怜ちゃんが質問してくる。


「俺が入院してた時、お前、どこにも遊びに行かなかったろ?」

「当たり前じゃん!怜ちゃんがリハビリ頑張ってるのに!」


とっさに返事したけど、父さんと健太がニヤニヤしてる。
あ、そーゆーことか。


「わかったみたいだな。同じだよ、あの二人も」


やっぱり、俺って、まだまだなんだなぁ。
怜ちゃんが、わかりやすく例えてくれて、やっと理解できるなんてさ。


反省してると、怜ちゃんがお陽さまみたいに笑って、頭を撫でてくれる。
大丈夫だよ、怜ちゃん。
約束したもんね、反省はするけど、焦ったりしないって。





パーティの話してたら、父さんが俺の方を向いた


「滝沢が腹を括ってくれたのも、涼の功績がデカい。
 今度の祝いが早まったのは、お前のおかげだ。
 ほんとに、ありがとな」


真面目な顔で、俺に向かって、頭を下げてる。
健太も揃って、「ありがと」だって。

もうっ、水くさいなぁ!


「父さんと健太が、無事に社長交代するのが、俺たち四人の目標でしょ?
 俺にできることは、全力でやるに決まってるじゃん。
 何を今さら、かしこまってるのさ。
 まだ、健太の分が残ってるんだから、ここでがっくり老け込んだりしないでよ?!」

「んー、でも、今回は、俺の出番はほとんどなかったしなぁ。
 涼が得意分野で頑張ったのは、大きいんじゃないか」

「え、怜ちゃんだって、翼君のことをすぐに調べたり、動いてくれたでしょ?
 そんなこと言い出したら、一番、役に立ってないの僕だよ?」


怜ちゃんと顔を見合わせて、思わず瞬きしちゃった。
こんな時、以心伝心って言葉が、頭に浮かぶんだよね。

ま、俺たちが言うまでもないかな。



「お前がいなきゃ、誰も、ここまで頑張ってねぇっての。
 建設の仕事もあるんだし、笙っていう戦力を口説き落としたのもお前だ。
 役立たずなんて、どの口が言ってんだ?!」



ほらね。

父さんが、健太にツッコんでる。
俺も怜ちゃんも、何のために走ってきたと思ってるんだよ?

健太とずっと家族でいたいからに決まってるじゃん。
父さんの息子になったのだって、元はと言えば、健太の信頼してる相手だからだよ。


俺もまだまだだけど、健太もたまに出るよね。

「自信のなさ」って、弱点がさ。




「だって......」


父さんに言い聞かされて、ゴニョゴニョ言ってるのは、高校時代と変わらない。

だけど、大きな違いがあるんだ。



「また、悪い癖が出ちゃったね」


顔を上げて、ニッコリと余裕の笑顔。


そう、父さんや俺たちが慰めたり、宥めたりしなくても、すぐに自分で切り替えられる。

それが、健太の大きな変化で、成長したって証拠。



「それぞれができることを、きちんとやればいい。
 今回は、涼ちゃんの得意分野だったから、頑張ってもらった。
 僕が何もしなかったわけでもない。
 ここで、卑屈になったり凹むのは、みんなにも失礼だ」

「ああ、お前は、笙さんも冬馬さんも、しっかり口説き落とした。
 次は、建設なんだから、それはお前が中心になってやらないとだろ?
 関東大手に食い込んで、オリンピック関連の受注だって獲得した。
 開催後には交代できるように、頑張ろうな」


怜ちゃんの励ましに、力強く頷いて、健太はニッコリ笑顔。
完全に、社長さんが板についたよね。




商事と違って、建設の方が規模が大きい分、時間はかかる。
それが、俺たちの見込みだから、焦っちゃダメ。

一番、それをわかってるのは、健太でしょ?

父さんが、今は無役でずっと健太についてるんだし、本社内の人事管理は、笙さんが把握してる。
冬馬さんだって、覚悟を決めて、社長見習いとして頑張ってる。

こんなに心強い味方に囲まれてるんだもん。






「完全にプライベートの集まりなのに、二百人越えちゃったね。
 怜ちゃんの読み、また当たってた。
 俺、利害関係なら読めるようになったけど、今回は違うのに、よくわかるよね」


二人になってから、出席者リストのチェック。
俺がはがきを読み上げて、怜ちゃんが入力。

返事は全部来たから、これで人数は確定。
ただ、当日に飛び込みが来るかもしれないって、料理なんかは余裕持ってオーダーする。
そこら辺は、怜ちゃんが、このリストを送信した後、笙さんが、聡志さんと翼に相談する。


「SMSや弦屋にBANZAI-SANSHO、藤原と竹井さんに、聡志さんを中心としたCrossroad関係。
 東京は、読みやすいじゃないか。
 こっちからは、竜二と虎太郎さんが行けなくなったのだけが、計算外だったけどな」

「父さんと英一さんの約束、やっと果たせるね。
 健太も、父さんと二人でベースなら、そんなに緊張しなくて済むだろうし」

「ああ、それに、健太は本番になったら、腹が据わるだろ。
 ずーっと、そうだったじゃないか」



そうだったね。

本番直前まで、真っ青な顔してブツブツ言ってて。
竜二と怜ちゃんが、必死に宥めて励まして。

でも、本番が始まったら、別人みたいに、竜二とがっちりリズムを支えてくれた。
あの二人だったから、俺たちは自由に音を楽しむことができたんだ。

俺は、怜ちゃんのヴォーカルが活きることしか考えてなかったけどさ。
振り返ったら、うちのバンドのリズムがあの二人でよかったって。

竜二の後に将が入った頃のこと思い出して、しみじみ思ったもんなぁ。 
健太が将に合わせて、頑張ってくれたんだなって。
大学入ってからは、帰省する度に、竜二とスタジオで遊んでて、やっぱりやりやすかったし。


普通の感覚がわかるようになって、たまに緊張することもあるけどさ。
やっぱり、俺ってどっか鈍いらしくて、父さんや健太みたいにはならないんだよね。

今度も、吾市さんと並んで弾くって聞いて、ちょっとびびったりもしたけど。
みんなと練習してるうちに、「なんとかなるんじゃないの」って思ってるもんね。




「健太もすぐに切り替えられるようになった。
 お前はお前で、緊張することを覚えた。
 俺は、他人ばかりじゃなく、自分を優先して考えることもできるようになった。
 なんだかんだ言って、成長したよな」


怜ちゃんが、いつものお陽さま笑顔で、そう言って。
すっごく嬉しくなって、抱きついたら、ボソボソ何か言ってる。


「こういう可愛いとこは変わらないよな。その方がいいけど」


あー、ほんっと嬉しい!

俺だって、怜ちゃんの変わらないお陽さま笑顔、大好き!!











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Re: NoTitle

Mさん、こんばんは。

> 大人になっていく彼らの、夢中になっていられる時間がSOULD OUTなのでしょうか。
> そういう時間があるのは幸せですね。

音楽が好きで、それを信頼してる家族と楽しむことができるのは、幸せだろうなと想います。
今では、笙と要も加わって、ストレス解消にもなっているようですし(笑)

SOLD OUTはねぇ...。
我ながら、長く書きすぎました。整理して書き直そうかと思いましたが、現状は無理っす(汗)
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