「Crossroad」
secret party

secret party 3   大樹

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月に何度かやる、ミーティングを兼ねた光さんのご飯会。
カルテットのメンバーが、すごく楽しみにしてるから、光さんも腕によりをかけるんだ。

俺もお手伝いはするけど、味付けは光さんに任せてる。
同じレシピなのに、光さんが作ると美味しくなるんだよね、不思議なんだけど。




「ああ、みんなのところにもメール来てると思うから、帰ったらチェックしてね」


何のことだろうと思ったら、大下さんがすぐに頷いてる。
喋らないのは、さっき、思いっきり炊き込みご飯を頬張ってたからだろうな。


「どこからなんだ?」

「川上さんからだよ。セットリストとスコアが添付されてたから、PCに来てるはず」


そっか、もうそろそろ打ち合わせしないとね。
散々、お世話になった斎藤さんのお祝いだもの。

俺は演奏はできない分、裏方に回ろうとしたけど、英一さんと駿さんに断られちゃったんだ。


『当日、カルテットの世話をすることで、手伝いは充分』


そう言われちゃった。



あー、すっごく楽しみなんだよなぁ。
光さんに話を聞いてから、ワクワクしっぱなしなんだ。





『あんたんとこにも、手伝ってもらいたいんやけど』


笙さんが頼み事?!

笙さんから電話もらった時、俺、最初、耳を疑ったもん。


内容聞いて、それ頼み事じゃないでしょって、思わずツッコんじゃった。
英一さんから、光さんとこにスケジュールの確認が来てたしさ。

英一さんが連絡取ったのは知ってたみたいだけど、きちんと自分で電話かけてくるとこは、やっぱり笙さんなんだよね。
任せっぱなしは筋が通らない、最初に縁を取り持ったのは自分だ、そう考えてるんだと思う。

律儀って言うか、それが笙さんだもんな。





斎藤さんのお祝いって、光さんが話したらさ。
「ノーギャラでいいから行かせてください!」って、全員が即答したよね。


だって、斎藤さんのおかげで、衣装どころかプライベートでも服に不自由してないもん。
野上関連のイベントでの仕事も回してもらって、SMSに起用してもらって、仕事の幅がかなり広がった。
全員が、事務所に所属しても、収入はダウンどころかアップしてる。

それは、所属ミュージシャンだけじゃない。
事務所を開く時に、光さんと予想してたより、ずっと俺と光さんの報酬も高くなった。
公務員やってた時の倍近くなるなんて、想像もしてなかったのにさ。


ほんっと、笙さんがくれたお祝いは、ずーっと俺たちを支えてくれてるんだ。


それだけお世話になってるんだから、笙さんと英一さんの話なら、受けないわけないじゃん。

それも斎藤さんのお祝いだよ?!

要らないって言われても、押しかけるくらいの勢いだったよね、みんな。
うちの事務所が恩返しできるとしたら、そういうことくらいだしさ。






「うは」


誠がモニタを見ながら、驚いてる。
どうしたんだろうって覗き込んだら、複雑な楽譜だったから、俺にはよくわかんない。
ただ、タイトルだけは見覚えがある。

これ、怜さんが高校の頃に作った曲だ。
英一さんとこに遊びに行った時、録画してたのを見せてもらったことがある。
まだ十九歳だった、怜さんたち三人と新治さんが演奏してたんだ。


俺は、聴く専なんだよね。
吹奏楽部に入ってはいたけど、俺にとっては黒歴史。
結局は、まともにサックス吹けないまんま、やめちゃったもんね。


誠は、真剣な顔で、画面をスクロールしてる。
仕事モードに入っちゃってるなら、声かけない方がいいよね。



「いやぁ、怜君って、マジで天才だな。
 十七歳でこれ作ったって、どんだけだよ?」


しばらくして、真剣な顔のまま、隣のPCで作業してた俺に、話しかけてきた。
クラッシックをきちんと勉強してきた誠が、それだけ感心するってこと?


「こんな複雑なコード進行で、転調も六回入ってるし。
 テンポも緩急がきっちりついてて、サビが最大限に活きるようになってる。
 ミニライブで歌とギターが巧いのはわかってたけど、ライティングもここまでかよ」

「あー、できないことはないんじゃないかって、俺も思ったことある。
 でも、必要がないことと興味がないことには、全然、見向きもしないんだよ。
 すっごく極端なんだよね。天才って、そういうものかもしれないけどさ」


誠が、キョトンとしてる。
まぁ、普段の怜さん見てたら、不思議に思うだろうな。


「見た目に関しては、一切、どうでもいいの。
 髪型も洋服も、全部、涼さん任せなんだ。ほっとくと、高校のジャージ着てたりしたって」

「はぁ?!」


一瞬、声を上げて驚いた後、想像したらしくて、爆笑してる。
オシャレが好きな誠からしたら、学校指定のジャージなんてありえないもんね。


「あんなに顔もスタイルもいいのに、指定ジャージかよ?
 そりゃあ、涼君も口出したくなるよな」


とかって、笑い続けてる。
口出すどころか、髪型もスーツのネクタイや靴下の組み合わせも、涼さんが決めてるはず。

つまり、涼さんが喜ぶならそれでいいってことなんだけどさ。


前に凹んでたから、これ以上は言わないでおこうっと。

弁護士さんだから法律に詳しいのは当たり前だけど、実は、斎藤さん並のトレーダーだったとか。
亡くなったお父さんの影響で、PCにすっごく詳しくて、自分でアプリの設計もできちゃうとか。
本気でキレたら、ハッキングって頭脳戦もできるし、物理的にもメチャクチャ強いとか、さ。


天は二物を与えずは、あの人たちには当てはまらない。
でも、才能だけじゃなくて、俺なんかには想像もできないくらいの努力を続けてきた結果なんだよね。

だから、素直に尊敬するし、ひがんだりもしない。
俺は俺でいい、努力を忘れなければ、ね。




「その曲、俺大好きなんだよね。誠たちが加わったら、どんな感じになるのかな。
 どんどん楽しみが増えてくよ。頑張ってね」

「任せとけって。英一さんのアレンジの癖は掴んでる。
 これでもプロなんだから、きっちり決めてやるって」


軽くウィンクしてくる誠が、得意げな顔してて、可愛くてさ。

思わずニコニコしちゃったらしくて、ギューっと抱きしめてきた。



「あー、その顔、最高に可愛いよな。
 バーティでは、あんまり見せないでくれよな」

「え、無意識に笑ってるのまでは、保証できないよ。
 それに、出席者に、俺のこと狙う人なんていないと思うよ?
 ほとんどがパートナーいるしさ」


俺の頭に頬ずりしながら、誠がブツブツ言ってる。
何言ってるのか、注意して聞いてみたら......


「わかってても、不安になるくらい可愛いんだって」


嬉しいけど、それ当日、言わないでね。
みんな、誠の浮世離れ加減は知ってるはずだけど。


俺が恥ずかしいんだから!!
 










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