「Happiness!」
山あり谷あり

山あり谷あり 12

 ←山あり谷あり 11 →二十四時間 1

週末、Crossroadには、俺たち四人+イクヤで向かった。
サトシさん、シュウさん、ツバサさん、カズヤさん、エイチにシュン。
いつものメンバーに、大阪組の五人が加わって、広い方の個室に勢揃い。

イクヤには、前もって注意しておいたけど、心配はしてない。
カンより、よっぽど安心できるもんね。


引き合わせたら、イクヤはきちんと挨拶をして、サトシさんたちはニコニコと受け入れてくれた。
俺の自慢の友達だから、すっごく嬉しい。

人数が多いから、会話はいくつかに分かれる。
でも、完全に別ってわけじゃなくて、気軽に質問が飛び交ったりもする。

この雰囲気が、俺は大好き。


今日はカオルとロウも来てるから、カナの画像を見て、みんなが楽しそうなのも嬉しくなる。
ゲイバーなのに、この部屋の中だけは、男も女も関係なくてさ。
仲間の子どもだから、みんなが成長を喜んでるんだよね。


そんな光景を眺めてたら、カオルが何かに気がついた。
マサユキさんとショウさんに向かって、声をかけてる。


「私、気になりませんから、どうぞ吸ってください」


あ、何か違うと思ったら、二人がタバコを吸ってないんだ。
カオルがいるから気にしてるのかな。


仲間内で喫煙者は、この二人だけ。

俺たちに気を遣って、なるべく吸わないようにはしてるけど、アルコールが入るとガマンできないらしい。
副流煙とか言うけど、たまのことだし、俺もカンも気にしてないんだけどね。
エイチが二人に遠慮するなって、いつも言ってるしさ。



「あー、禁煙してるんだ。酒かタバコかどっちか辞めようと思ってね」

「同じく、俺もだ。一番デカい目標は達成したしな。
 いい加減、止めようと思ってたら、笙が禁煙するって言い出したから、便乗だ」


苦笑いする二人に、レイとリョウ、ケンタさんが、エールを送る。


「大気汚染の方がよっぽど体に悪いらしいけどさ。
 笙さんの場合は、定期検診で数値に出ちゃったからしかたないよね。
 俺たち、応援してるから、頑張って」

「そうだよ。笙さんは、元々、心臓が弱いんだから、血行が悪くなるのマズいでしょ?」

「自分で言い出したんだから、この二人は大丈夫だよ」



え?心臓弱いの?


「ショウさん、心臓悪いんすか?」


俺が思うよりも早く、カンが質問してた。


「なんかねー、大動脈が少し細いんだって。
 生まれつきだから、しかたないんだけどさ。
 でも、激しい運動がダメなだけで、日常生活は問題ないよ」

「冷え性じゃん!夏でも長袖ばっか着てるしさ。
 折島さんも心配してたよ」


珍しいなぁ、ショウさんの苦笑い。

なんて思ってたら、カンが肘でつついてくる。

ああ、ミーティングまで待つことないか。
関係者が揃ってるんだし、親父とキャシーにはもう話したしね。



「俺も、心臓の割に体がデカすぎるらしいんです。
 末梢神経障害になりやすいから、気をつけろって言われました」


なるべく軽く聞こえるように言ったつもりだったけど、ロウとカオルが固まった。
手の麻痺のこと、思い出しちゃったよね。
でも、大丈夫だからさ。



「また麻痺が出たのかよ?手か?」


シュンが即座に質問してきた。
こういう時、「さすが、マネージャー」って思うんだよね。


「いえ、左足の裏です。ほんの狭い範囲なんで、仕事に支障はありません。
 大学病院で検査したら、血流量が少ないって言われました」

「あー、お前、猫背だしなぁ。それも良くないから気をつけろ。
 ま、気持ちはわかるけどよ」


シュンは、俺と変わらないくらい背が高い。
だけど、姿勢はビシっと決まってるのは、気をつけてるからかぁ。


「筋トレとストレッチ、食事と入浴、俺が見張ってでも気をつけさせます。
 だから、ロウ、カオル。心配すんなって!」


カンが安心させるように言い切って、ロウとカオルの緊張がほぐれた。
ごめんね、驚かせちゃって。

安心してくれたみたいで、俺、ほっとした。




「人生、何が起こるかわかんねぇのは、みんな、おんなじだよな。
 体冷やさないようなレシピ、後でPCの方に送っとく!」


ツバサさんが、ニッコリ笑ってそう言ってくれた。
隣のカズヤさんが、少し遅れてから、口を開く。


「じゃあ、俺は体幹トレーニングの方法でも」

「お前、そーゆーの得意だもんな!」


二人のやり取りが微笑ましくて、空気が和んだ。
ツバサさんの魔法は、本当によく効くよな。




「もし、またギターが弾けなくなった時は、裏方に回る覚悟はしてます。
 曲は作るつもりだし、耳さえ無事なら音響も頑張れるし」


もう暗くならないよね?
ちょうどいいから、決意表明しておこうっと。



エイチが、俺の言葉で、ニヤッと笑う。


「そういうとこも、優児さんに似てるよな。
 俺や親父とは、やっぱ違う」


ルイがいないと歌えない、レンさんはそう言った。
他のメンバーも、ルイ以外のギターを加入させるのはイヤがった。


ゴイチも、以前、言ってたよな。


『誰一人欠けても、SMSじゃなくなるんだ。
 宗次郎さんも新治さんも、そう言ってる』


ソングライティングと司令塔、両方を兼ねてるから、エイチのいないSMSは考えられない。

でも、俺たちの司令塔は、ロウだ。
ギターだって、俺じゃなくてもいい曲作りになってる。

それは、カナが生まれた時から、意識してきたこと。
いつ、誰が抜けてもカバーできるように、俺の癖をなるべくなくしてアレンジしてきたんだ。



「はい、悔しいですけど、親父には影響されてるみたいです」

「そんなもんだよ。俺も自覚なかったけど、傍から見るとよく似てるってよ」


そう言ってエイチが笑う。
隣のシュンが肩を抱く。


「仕事の時の怖さは、最強だもんな、二人とも」


カンがブツブツ言ってるのが聞こえてきたから、今度はこっちから肘でつついた。

ヤバいって顔してるけど、みんなには聞こえちゃったみたいだよ?


だって、ロウとカオル以外、爆笑してるもん。
エイチなんか、自分のこと言われてるのにさ。



「ま、お前らも、もう何年かしたら、そう後輩に言われるようになるって」


エイチには、そう言われたけど、なれるかなぁ?
スキルじゃなくてさ、マインドの強さが、俺には足りてない気がするんだよね。


「ああ、なるなる。特に、海な。音に一番うるさいしよ」


シュンが同意したもんだから、俺、すっごく驚いた。
でも、うちのメンバーがみんな頷いてる!

他人から見たら、俺ってそうなの?!

軽くショック受けてたら、ショウさんのダメ押し。



「客観性に、少し欠けるとこがあるよね、海は」


あー、もう。
ニッコリ笑って厳しいのは、エイチとほんとに似てるよなぁ。











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ 3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ 3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ 3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ 3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ 3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png SOLD OUT
総もくじ  3kaku_s_L.png Double Fantasy
総もくじ  3kaku_s_L.png Blue Sky,True Mind
総もくじ  3kaku_s_L.png Happiness!
総もくじ  3kaku_s_L.png True Colors
総もくじ  3kaku_s_L.png Crossroad
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【山あり谷あり 11】へ
  • 【二十四時間 1】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【山あり谷あり 11】へ
  • 【二十四時間 1】へ